<国立歴史民俗博物館>
数ある銅鐸の図柄の中でも、
希少かつユニークな文様として知られるのが、
「邪視文(じゃしもん)」と呼ばれる
「眼」を模したような文様です。
邪視文は、悪霊や邪悪なものににらみを利かす
「邪視(じゃし)」を表現した絵であり、
邪視文が描かれた銅鐸には、人間らしき顔と
水鳥とがセットで描かれている場合が多いと聞きます。
ちなみに、先日から記事にしている猿田彦という神は、
邪視の神あるいは邪視防御の神とされ、
「ニニギの前に立ちはだかった猿田彦の眼は、
八咫鏡のように輝き怪しい光を放っていた」
という内容の一文が、『日本書紀』の
天孫降臨の段に記されていました。
このとき、猿田彦の眼力を唯一跳ね返したのが、
天岩戸の件で手に鐸(さなぎ)の矛を持って
舞った天鈿女なのだとか……。
つまり、邪視文銅鐸に描かれていた「眼」は
「猿田彦の目」でもあり、
以前ご紹介した「鹿文様」と同様、
「地霊鎮め」としての力を秘めた
サイキックな図柄だったのでしょう。