たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

邪視文

2019-07-26 09:28:50 | 鉄の神々2

<国立歴史民俗博物館>

 

数ある銅鐸の図柄の中でも、

希少かつユニークな文様として知られるのが、

「邪視文(じゃしもん)」と呼ばれる

「眼」を模したような文様です。

邪視文は、悪霊や邪悪なものににらみを利かす

「邪視(じゃし)」を表現した絵であり、

邪視文が描かれた銅鐸には、人間らしき顔と

水鳥とがセットで描かれている場合が多いと聞きます。

 

ちなみに、先日から記事にしている猿田彦という神は、

邪視の神あるいは邪視防御の神とされ、

「ニニギの前に立ちはだかった猿田彦の眼は、

八咫鏡のように輝き怪しい光を放っていた」

という内容の一文が、『日本書紀』の

天孫降臨の段に記されていました。

 

このとき、猿田彦の眼力を唯一跳ね返したのが、

天岩戸の件で手に鐸(さなぎ)の矛を持って

舞った天鈿女なのだとか……。

つまり、邪視文銅鐸に描かれていた「眼」は

「猿田彦の目」でもあり、

以前ご紹介した「鹿文様」と同様、

「地霊鎮め」としての力を秘めた

サイキックな図柄だったのでしょう。