すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第625号 「ゲートウェイ」の破綻

2008-10-08 20:33:28 | Mie Report
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【Mie】留学仲介の旅行会社「ゲートウェイ」が破綻した。留学を希望する人たちから数年先の留学費用を前払いさせ、それを会社の運転資金に充てていたという。前払いする資金に困る人には会社の紹介でローンを組ませていたというから、やり方がかなり悪質である。

何のことはない。他人にローンを組ませ、その金で会社の資金繰りをしていたわけで、詐欺的行為といわれても仕方ないだろう。気の毒なことに、留学のために今の仕事をやめ、お金を振り込んだのに会社が潰れてしまい、結局、留学もできず、お金も返ってこず、仕事もやめて収入先も絶たれ、ローンの支払いだけが残るという、それこそ踏んだりけったりである。

テレビでは社長が土下座して被害者に謝罪し、罵詈雑言を浴びせられている場面が大写しにされたが、それも当然だろう。一方、社長の邸宅が映し出され、そこには高級外車やゴルフ練習設備、プールなどの映像も流され、それまでの社長の高収入ぶりが窺えた。

社長は数千万円の自己資産を会社に投入し自宅も売りに出されたという。このように会社の倒産は多くの人に多大な損害を与え、経済的にも精神的にも多くの被害者を生み出すことから社会的影響が極めて大きく、重大な問題である。

私はここ数年、これと似たようなケースを数多く目にしてきた。つまり「ライブドア」のホリエモン、投資ファンドの村上某、派遣会社「グッドウィル」の社長、英会話「NOVA」の社長などである。

考えてみると、これらのケースには何かしら共通点があるような気がする。まず年齢が30~50代と比較的若い。そしていずれもワンマンで、強力なリーダーシップにより会社を運営してきたことである。社長だからそれも当然といえば当然かもしれないが。

またこれらの会社はIT関連や投資ファンド、派遣会社、英会話、留学などすべてが最近になって急成長した新興企業で、どの会社も歴史が浅い。その時代背景としてコンピューター社会、利益至上主義の格差社会、会社の雇用形態の多様化、グローバル化などがあるだろう。

そして利益追求のため事業を拡大し、その過程で法を犯したり、事業拡大が裏目にでて資金繰りが悪化し破綻するというパターンである。それまではワンマン社長として高収入を得て贅沢な暮らしを享受し、中には複数の愛人もいて…という絵に描いたような人物像である。

時代の波にのって会社経営が順調なときはめざましい発展を遂げるが、いったん挫折すると坂道を転げ落ちるように破綻へとまっしぐら、というパターンである。むろんすべてが破綻したわけではないが、全盛時と比べると衰退ぶりは明らかだ。

どうしてこうなるのだろう?経済の専門家でもない私には詳しい原因は分からないが、時代の波にのって急成長した会社は、いったんブレーキがかかると転落するのもまた早いのだろうか。もちろん時の運、不運はあるだろうし、経営者の見通しの甘さや堅実さに欠けた側面もあるだろう。

でも私が思うには、今の時代は変化のスピードがあまりにも早く、そのために急成長した会社は先の見通しを誤りやすいのではないだろうか? 冷静に考えると、この10年の社会の変遷には凄まじいものがある。

私たちは10年前に果たして今のような生活を想像しただろうか? つまり、インターネット、Eメール、ネット通販、ブログ、携帯電話、デジカメやデジタル音楽プレイヤー、薄型液晶テレビ、DVDレコーダー 、ブルーレイディスク ets…枚挙にいとまがないが、いずれもここ10年以内に急速に普及した社会現象である。

パソコンや携帯電話、薄型テレビ、デジカメ、デジタル音楽プレイヤーなどは、半年もするとより機能の優れた新製品が販売されるため、買った製品がすぐに古くなってしまう。そんな変化の激しい時代背景も新興企業の栄枯盛衰に関係があるような気がする。私は、そんな社会が本当に豊かな良い社会なのかどうか疑問に思うのだが…。
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