すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第643号 社会不安爆発を危惧する

2008-12-12 20:56:55 | Tokyo-k Report
.
【Tokyo-k】以下は、1年前(2007.11.17)にこのブログに書いたことである。私が恐れていた事態が、それ以上の深刻さで進行しているように思えてならない。特に、雇用問題である。今日開かれた通商産業大臣と企業トップの懇談会で、大臣は「雇用問題が政治問題になっている」と発言したが、そんな認識だからますます事態は深刻になるのだ。政治問題などではない、雇用問題はもはや社会問題なのだ。何の対応もできない現政権が、勝手に政治問題化させているに過ぎない。社会問題はやがて社会不安を増大する。こんな時代に巡り会わせた若者が、可哀想でならない。

1年前、私はこう書いた。ーー得体の知れない、とんでもない事態が進行しているのではないだろうか。米国のサブプライムローン問題と、異様な原油高騰のことである。私のアンテナは「世界経済は、じわじわと《恐慌》に向かっている」と警告している。ブラック・マンデーにおける瞬間的大恐慌発生とは違い、21世紀型の新恐慌がすでに始まっているという惧れである。だとすれば、この日本にも超インフレが忍び寄っているはずである。

米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)については、詳しい仕組みは知らないのだが、何やらかつての日本の住専か、それ以上のとんでもないバブル的乱脈設計のマネーゲームのように思われる。その破綻の規模の巨大さは、日本では余り実感が湧かないものの、とんでもない深刻さになっているのではと私は疑っている。

そして原油高騰である。この有限の天然資源は、産油地が特定の地域に偏っている上に、すでに人類の生活をがんじがらめに縛り上げている。その影響はこの島国にも確実に現れており、冬に備えて灯油を購入したら、最高値だった昨年よりさらに30%ほども価格が跳ね上がっていた。もはや「灯油は安い」などというのは伝説である。

原油高は産油国の思惑もあるのだろうが、サブプライムローンで火傷をした投機マネーが、利ざやを稼ごうと血眼になって流れ込んでいる結果らしい。こんなに危うい世界経済の仕組みの上で、「住宅需要が堅調な米国経済が牽引する世界経済は、人類が初めて到達した繁栄の中にある」などとノタモウていた経済評論家諸氏は、今、どこでどんな顔をしていることか。

私のような貧しい年金生活者にまで、「これからは株ですよ、公社債投信を解約して株式比率を高めるのが賢い投資ですよ」などと無礼な電話をかけてきた三菱何とか銀行の若造は、「うるさい!」という私の一喝以来沈黙しているものの、そうやって勧誘した不明を果たして恥じているか。

ミニ・バブルに踊り始めた観のあった日本経済には、ちょうどいいショック療法になったかもしれない。しかし米国経済の「破綻」が深刻化すれば、日本も「人類が初めて体験する種類の不況」に巻き込まれて行くことだろう。少なくとも来年は、暗い一年になるに違いない。そして北京オリンピックが終わり、中国経済のバブルがはじけたとき、世界はどうなる?

ーー素人の私でさえ、1年前にこんな恐れを感じたのだ。それなのに政治は、何をして来たのか。その意味でこの状況は大いに政治問題である。世界は恐慌前夜である。いや、すでに恐慌に陥っているのかもしれない。

それにしても、受注の増減に伴って好き勝手に雇用し解雇できる派遣労働の仕組みを、誰が考え、誰が企業にとってこんなにも使い勝手良くしたのだろうか。これでは経営努力などいらない。いつでも生産ラインを調整できるのだから。

しかし期間労働者はロボットではない。契約切れの間も生きて行かなければならない。「雇用する」とは、そこまでの責任を持つということだ。われわれの社会は、いつから人間をロボット扱いするようになったのか。われわれは何か、とんでもなく変な社会を創り始めているのではないか。

昨今の社会不安が、取り返しのつかない暴発を起こす前に、もっと違った仕組みで経済を維持して行く方法を見出し、構造転換して行かなければならない。年金生活者はのんびり傍観していればいい、というほど事態は軽くない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第642号 《みぞれ》を観に行く | トップ | 第644号 雨イカ干ダコ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Tokyo-k Report」カテゴリの最新記事