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すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1895号 谷津で出会ったダイサギと薔薇

2023-11-05 16:39:17 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】この一輪に出会えただけで、今日はここまでやって来た甲斐があったと、いささか大仰な思いになるほど美しい薔薇である。快晴の陽を浴びる黄金の一輪は、程よく開花し切った瞬間にあり、どの花びらにもまだ一片のシミもない。秋バラが見ごろを迎えている「習志野市谷津バラ園」で、私はうっとりと立ち尽くしている。「世界のバラ800種類7500株」の園内は色彩と笑顔が溢れ、余りにうっとりしてしまった私は、品種名を確認し損ねた。 . . . 本文を読む
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第1894号 モヤモヤ解消へ津田沼に向かう

2023-11-04 17:17:01 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】東京・三鷹駅と千葉駅を結ぶJRの路線がある。車体の黄色いラインが目印の「中央総武線各駅停車」だ。私は三鷹に住んでいるのでよく利用するのだが、この呼称が正式な路線名かどうか、いまだ知らない。また「三鷹発津田沼行き」という電車が多いので、津田沼という駅名は馴染みがある。ところが津田沼は行ったことがないから知らない街だ。よく利用するのに知らないまま乗っているわけで、いつもモヤモヤした気分が残る電車なのである。 . . . 本文を読む
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第1892号 新潟で喜寿のジジババ同級会

2023-10-23 20:46:54 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】新潟市の美術館に、『読書』と題するレジェのモザイク画が展示されている。私はその二人を15歳だと推察している。15歳といえば中学3年生である。大雑把に言えば「多感なお年ごろ」であろうか。本人たちは「もう子供じゃないモン」などと背伸びしているのだろうが、それから60年も経って卒業写真を眺めてごらんなさい、「ああ、こんなに幼気な可愛さであったか」と自分で自分に感動するに違いない。その新潟で、中学の同級会が開かれた。 . . . 本文を読む
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第1891号 函館は箱館ではない秋の暮れ

2023-10-17 08:01:17 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ホテルの朝食バイキングは飽きたから、函館は朝市で食べようと駅前の市場街をブラブラする。そこへ小型トラックがやって来て、市場の働き手と判る男たちが集まってきた。どさどさと、保冷庫から黄色いプラスチックケースを道路に投げ下ろす。「わー、蟹だ!」「泡を吹いているから生きているのね!」などと歓声を挙げているのは観光客ばかりだ。寡黙な男たちは朝市の稼ぎ頭だろうに、蟹を存外乱暴に扱い、仕分けしてどこかに運んで行った。 . . . 本文を読む
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第1890号 白老の駅からウポポイへ、虹の道

2023-10-16 11:34:43 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】「ウポポイ」はアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」の意味だという。正式呼称は「民族共生象徴空間」と難解な国立施設だ。愛称が優しい響きのウポポイとなったのは良かったけれど、「アイヌ文化の復興・創造等のナショナルセンターです」と、役人的表現の自己紹介はいただけない。もっと素直に「長く不当にアイヌ民族を差別してきた日本政府が、謝罪と和解のために設けました」と言った方が解りいい。道央・白老町のポロト湖畔、広大な空間である。 . . . 本文を読む
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第1889号 雷雨の中の余市・リタロード

2023-10-15 10:41:30 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】札幌行きのバスに大粒の雨が叩きつける。水たまりに突っ込むタイヤから、窓まで水しぶきが飛んでくる。岩内からの帰り、まだ「画家になった漁師」のことを考えている。有島武郎は「芸術は実生活の上に玉座を占むべきもの」と書くが、今ここに、一家の生活がある漁師・木田金次郎には、そんなことでは解決できない悩みが「生まれ出づる」のである。芸術を玉座だと特別視してはいけない。漁とも農とも同じ列に並ぶ、人間の生き様の一つに過ぎない。 . . . 本文を読む
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第1888号 時雨に打たれ、岩内まで絵を観に行く

2023-10-14 11:12:15 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】直行バスの「高速いわない号」でも札幌から2時間半と遠い。しかも予報は嵐が近づいているとしきりに警告している。それでも岩内に行きたい私は、早朝のバスに乗る。小樽を過ぎ、余市に着く前には海を離れ、原野のような樹林を行く。積丹半島を横断しているのだろう、遠く稲光りが暴れているものの、雨はまだ本降りではない。半島を西に抜けると平野が広がり、雨に濡れる岩内に着く。ニシン漁最盛時には、小樽を凌ぐ賑わいをみせた漁師街である。 . . . 本文を読む
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第1887号 札幌で「芸術の森」を堪能する

2023-10-13 08:23:20 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】札幌を再訪する機会があれば、必ず行ってみようと思っていた。「札幌芸術の森」である。市の中心部から南へ約15キロ、地下鉄の終点・真駒内駅からバスで真駒内川を遡る。ずいぶん遠いと感じたけれど、さほど山の中というわけではない。「芸術の森」は南区のれっきとした町名なのであって、40ヘクタールに広がる芸術公園と、札幌市立大学がほぼ全域を占めている。アートが点在する森の小道。私はこうしたロケーションにめっぽう弱い。 . . . 本文を読む
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第1886号 札幌の夜景を見ながら開拓使時代を思う

2023-10-11 15:17:35 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】藻岩山から札幌の夜景を楽しんでいると、東の空に月が昇った。顔を出したばかりの天球はオレンジ色に怪しく燃え、人口197万の大都会を照らし始める。中秋の名月からさほど経っていないのに、もう半分近く欠けている。時の移ろいの何と早いことか、などと言うのは年寄りくさいから止す。それよりも、開拓の拠点となったころは暗闇に覆われていたらしいこの大地の夜が、わずか150年で、これほど果てしない煌めきになったことに驚く。 . . . 本文を読む
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第1885号 国境と風を資源に頑張る稚内

2023-09-30 19:06:24 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】私が覚えた街の名で、「稚内」は最も早い一つではなかったか。小さな手で兄の地図帳を繰り、日本で一番北にある街を探して覚えたのだった。以来70年、何度も訪ねようとしたが叶わない。古希を迎えた幼なじみ三人組で、北海道(ほぼ)1周旅行を企画し、稚内のホテルも予約したのに、胆振地方を巨大地震が襲い、旅を自粛したこともあった。しかしすでに喜寿。最後の機会だと妻を誘ってやって来た。丘から街を見晴らし、私なりの感慨に耽る。 . . . 本文を読む
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第1884号 稚内の丘から樺太を望む

2023-09-30 19:01:03 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】海があるから内陸部ほど気温は下がらないものの、11月から4月いっぱいは非常に寒く、なかでも12月から3月は「最高気温が氷点下を越えるのは数日だけ」と極寒の日々が続く。夏の2ヶ月を除けば「風の街」で、冬場は25メートル超の暴風で外出が危険なほどになる。春は遅く桜の開花は5月半ば。短い夏は快適だが霧雨に烟り、秋には雷が多発するーー。以上は稚内地方気象台の「宗谷の四季」に描かれる最北の街・稚内の一年である。 . . . 本文を読む
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第1883号 サロベツ原野で枯れ草に埋まる

2023-09-19 10:22:14 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】サロベツ原野を少しだけ歩いてみる。環境省が「釧路湿原や尾瀬ヶ原とともに残る代表的な湿原だ」と強調する「利尻礼文サロベツ国立公園」の一角である。花の季節はほぼ終わり、木道を行きながらひたすら枯れ草を眺める。茫漠とした野の向こうに、遠く利尻山が裾を広げているのが僅かなアクセントだ。かつてアイヌの人たちが川で魚を獲り、内地からの入植者が酪農を夢見て土地を広げてきた遥か以前から、泥炭化する植物が積もる大地だ。 . . . 本文を読む
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第1882号 すべからく昆布とウニと利尻山

2023-09-16 16:41:33 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】海上からも空の上からも、そして上陸して近くから眺めても飽きることがない。北海道最北の日本海に浮かぶ利尻山である。海の上に、整った形の円錐をそっと置いたような姿だ。鹿児島の開聞岳とよく似ているけれど、標高が倍近い利尻(1720m)は迫力が違う。山がすなわち利尻島で、ほぼ全域が利尻礼文サロベツ国立公園に含まれる。その雄大な山容は約30キロ離れたサロベツ原野からも望まれる。自然の造形力の何と偉大であることか。 . . . 本文を読む
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第1881号 花は終えても礼文の海は青く澄み

2023-09-15 10:46:46 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】稚内から2時間ほどフェリーに揺られ、西方60キロに浮かぶ礼文島に渡る。日本海最北の離島である。島は南北に細長く、面積は伊豆の大島より小さいけれど八丈島より大きいから、人の暮らしは十分に成り立つ広さだ。ただ気象条件が極めて厳しく、稲作や畑作はもちろん酪農も不可能で、海産物以外の食糧は全て本土から運ばれている。全島が礼文町で、1955年には9800人を超えた人口は、直近では1244世帯2305人になっている。 . . . 本文を読む
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第1880号 宗谷岬で樺太の島影を望む

2023-09-13 14:07:45 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】宗谷岬にやって来た。つまり列島の北端に来たことになる。穏やかに晴れ渡っているせいだろうか、海辺の小さな広場は「最北の岬」から連想される厳しさや寂しさを感じさせない。だが目を凝らすと、微かにサハリンの稜線が望まれ、国境の宗谷海峡を強く意識させられる地ではある。北極星にちなむ碑で、観光客がおどけたポーズで写真を撮り合っている。少し離れて立つ間宮林蔵と私は、彼女らは何をはしゃいでいるのだろうと訝むばかりである。 . . . 本文を読む
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