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すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1956号 ようやく訪ねた虎塚古墳の壁画

2024-11-03 12:13:14 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】「これは何だ⁉︎」と仰天させられて、もう半世紀が過ぎてしまった。石室の壁面いっぱいに色が塗られ、不思議な紋様が描かれている。なかでも正面奥の二つの環は、じっとこちらを睨むモノノケの眼のようである。初めて見たのは1973年9月12日の、壁画発見を伝える新聞記事だった。だが新聞では色は判らない。改めてその彩色にも驚き、「これはいつか見に行かなければならない」と決心したのだった。茨城県ひたちなか市の虎塚古墳である。 . . . 本文を読む
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第1955号 上野で同級会と「はにわ」展

2024-10-22 10:50:46 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】茨城県行方市の大日塚古墳出土と伝わる、6世紀の「猿型埴輪」である。子猿を背負った母猿であるらしいことは、背中の剥離した土の跡から推察される。顔は赤く塗られ、少しこちらを向いた表情は優しい。頭部は握り拳ほどで、胴の途中から以下は失われている。東京国立博物館で始まった「はにわ」展で、私は最も会いたかった「猿」の前に佇んでいる。単純な造形ながらニホンザルの特質が的確に捉えられ、子を想う母猿の愛情が伝わって来る。 . . . 本文を読む
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第1954号 42年ぶりはBUSANだった

2024-10-18 00:03:25 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】「釜山」の読み方は、子どものころ「Fuzan」と覚えた。その後「Pusanが正しいらしい」と知って久しくなるのだが、今回42年ぶりに訪問すると、「表記はBusanに統一された」と聞かされた。街の人の会話では「Pu」の方が近いように聞こえるのだけれど、朝鮮語の「Pu」と「Bu」には微妙な韻の違いがあるのだろう。いずれにせよ釜山は、半島最南部にあって人口330万人。ソウルに次ぐ韓国第2の大都会で、世界有数の港湾都市である。 . . . 本文を読む
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第1953号 慶州で念願の瞻星台に再会する

2024-10-16 11:54:21 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】42年ぶりの慶州で、瞻星台(せんせいだい)と再会する瞬間が待ち遠しかった。入口も出口もない、石を積んで空洞の円筒形を築いただけの塔である。7世紀前半の築造だとされるものの、いつ、誰が、何のために建てたのか、一切が不明の謎の建造物だ。私はなぜこれほどに再会を待ち望んでいたのか。それはただ、ひたすら「そのフォルムに惹きつけられる」からだ。「用途」など、私にとってはどうでもいい。私はこの姿が堪らなく好きなのである。 . . . 本文を読む
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第1952号 慶州再訪で仏国寺に行く

2024-10-13 15:55:58 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】新羅・百済・高句麗の3国が覇を競っていた古代朝鮮の三国時代(4-7世紀)、慶州は新羅の金城(首都)として栄えた。日本海に近い韓国南東部の内陸部にあって、現在は人口26万人ほどの地方都市である。私にとっては42年ぶりの慶州になる。高校の先輩に誘われての初めての海外で、仏国寺、石窟庵、天馬塚、瞻星台(せんせいだい)と回り、韓国は「石の国」だと知った。そしてその山河は、大和の飛鳥にそっくりであることに驚いたのだった。 . . . 本文を読む
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第1951号 世界の仮面に囲まれて安東国際仮面フェスティバル

2024-10-08 17:36:48 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】安東市の市街地は、韓国一の大河・洛東江の畔に広がっている。北から下って来た流れは街の手前で西に折れ、市街の南部を洗って下って行く。上流の北方20キロには「陶山書院」があり、下流20キロには「河回村」がある。韓国性理学を代表する学び舎と、朝鮮時代の暮らしを静かに守ってきた村の二つの世界文化遺産が、街を挟んで同じ流れで繋がっている。韓半島南部内陸にある安東市は、まことに「韓国精神文化の首都」と言うに相応しい。 . . . 本文を読む
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第1950号 安東河回で朝鮮王朝時代の村に迷い込む

2024-10-06 09:15:38 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】石を練り込んだ築地や風雪にさらされた土塀が延びている。築地塀の内は瓦屋根の両班(ヤンバン)のお屋敷、藁を拭いた「草の家」は常人以下の庶民の家だ。「建陽多慶 立春大吉」などと大書された紙が貼られた門からは、黒い帽子の「カッ」を被り、チョゴリにパジの韓服(ハンボク)姿の両班が、お供を連れて出て来そうである。一方、草の家に帰って来たのは、1日の労働を終えて疲れた農夫であろうか。私は李氏朝鮮時代の村に迷い込んでいる。 . . . 本文を読む
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第1949号 韓国の精神文化を訊ねて陶山書院に行く

2024-10-04 08:54:46 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】朝鮮半島南部(韓国)のほぼ真ん中に、安東市という小さな盆地の街がある。大邱からは高速道路を2時間ほど北上する。読み方は「Andong」だが、日本語で表記すれば「アンドン」となろうか。人口15万人程の鄙びた街なのだが、大邱が広域市に指定されたからか、慶尚北道の道都として道庁が置かれている。ただ市民にとっては「道都」よりも「韓国精神文化の首都」を名乗る方が誇らしいに違いない。何しろ「陶山書院」が営まれた地なのだ。 . . . 本文を読む
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第1948号 大邱で韓国の経済発展を目の当たりにする

2024-10-02 10:06:29 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】大邱(テグ)は大韓民国の内陸南東部にある広域市だ。韓国には日本の政令指定市に似た「広域市」という行政規定があって、6つの大都市が指定されている。特別市のソウルを別格とすれば、人口250万人の大邱は釜山、仁川に次ぐ韓国第3の広域市だ。私は18年ぶりとなる今回の旅で、韓国の経済発展の現場に触れることができるのではと、大邱の街歩きを楽しみにやって来た。ただ釜山の空港から2時間余も車に揺られ、いささか疲れている。 . . . 本文を読む
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第1947号 初めて来たのに懐かしい 城下町・飯山

2024-09-16 14:04:20 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】飯山市は長野県最北の街で、新潟県の妙高市に隣接する小さな盆地だ。長野県の市では最も少ない18000人ほどが暮らしている。私がこの街の名を覚えたのは小学校低学年に遡るから、どんな街だろうと思い続けて70年も経過したことになる。越後の妻有庄を南下して長野県に入り、栄村を抜けると飯山市の家並みが見え始める。私は「とうとう来ることができた」と、全く個人的な感慨に浸ったのだった。その理由は大したことではない。 . . . 本文を読む
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第1946号 人々が黙して向かう津南の空

2024-09-14 16:44:53 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】夏空に白雲が浮かぶ彼方へ、黒いシルエットの人々が歩いて行く。その大きくて懐かしい風景が私を惹きつける。越後・妻有庄の南端までやって来て、『「記憶―記録」足滝の人々』と題する「大地の芸術祭」の作品を眺めている。黒いシルエットは、地元・足滝集落の住民を等身大で写し取っていて、集落の人たちは全て誰かが判るという。事前に芸術祭の出品作をネットでチェックしていて、「これだけは観たい」と思った作品だ。津南町の最南部である。 . . . 本文を読む
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第1945号 松之山 山の中にて薬の湯

2024-09-13 17:31:10 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】山に籠る時間が長くなると、無性に海が見たくなる。逆に海の開放感に浸っていると、今度は山に分け入り、内向きの気分を味わってみたくなる。これは私が常々感じている自身の性癖なのだが、坂口安吾も「夏が来て、あのうらうらと浮く綿のやうな雲を見ると、山岳へ浸らずにはゐられない」と書いている。「都会に足を留めねばならぬとき、彼は一種神経的な激しい枯渇を感じて、五感に奇妙な乾きを覚え、不眠症に犯されてしまふ」というのだ。 . . . 本文を読む
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第1944号 晴れ晴れと松代・星峠の棚田

2024-09-12 17:15:06 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】なんと晴れ晴れとした眺望だろう。眼前に広がる水田は「星峠の棚田」と呼ばれ、越後松代(まつだい)棚田群でも傑出した人気スポットだという。200枚ほど連なる田は収穫の時期が近づき、少し色づき始めている。新潟県南部、頸城丘陵山中の標高339メートル地点だ。私は北を向いている。日本海は西へ20キロと近い。里人の営農の結晶である美しく穏やかな大地は、日本列島の中心域を縦断するフォッサマグナ(大きな溝)の上にある。 . . . 本文を読む
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第1943号 笹山遺跡に火焔型土器の故地を訪ねる

2024-09-10 14:10:50 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ネットで「笹山」を検索すると、全国の地名や山の名がいくつかヒットする。ただ私が今日、訪れている新潟県十日町市の「笹山」は、ごく狭い地域の呼称だったのだろう、地名としては登場しない。ただし「遺跡」を加えれば、あの国宝・火焔型土器の出土地として堂々の存在なのである。私を魅了する縄文の深鉢土器は、市の博物館で見ることができるけれど、今度は、それが作られ使われていた土地の風景に、たまらなく浸ってみたくなったのである。 . . . 本文を読む
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第1942号 楽園で観る「人生いろいろ」

2024-07-20 09:29:06 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】今回のハワイ旅行で、強く記憶に残った家族がいる。パールハーバーに隣接するアロハスタジアムで開催されるフリーマーケット「スワップミート」に行った際のことだ、マーケットのはずれ辺りで食べ物の露店を出す母親と、姉・弟の家族を見かけた。前夜から準備したのであろうパックを並べ終え、「さあこれから店開き」といった緊張の一瞬に私は通りかかったようだった。髪を整え、精一杯こざっぱりした服装の3人に、「生きる覚悟」を見たのだ。 . . . 本文を読む
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