まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

春うららのベラスケス

2018年04月05日 | 日記

国立西洋美術館です。
ベラスケスを観に行って来ました。
春うららの上野の森は絶好の美術館日和でした。

マドリードのプラド美術館から
ベラスケスの傑作が一挙に7点もやって来ました。
これは「事件」と言うしかありません。
ディエゴ・ベラスケスはスペインを代表するバロックの画家で
国王フェリペ四世に使えた宮廷画家です。
この馬上の凛々しきお坊ちゃんは
確かフェリペ四世の長男でカルロス皇太子ですね。
ベラスケスの代表作の一つです。

教皇イノケンティウス十世の肖像画です。
宗教界の頂点に立つ人らしい威圧感と尊大さに満ちています。
ただ、その裏には欲望や猜疑心も見え隠れして
ここまで描いてもええのかいなと
ちょっと心配になるような迫真の写実力ですよねえ。
ベラスケスの写実の特徴は
近くで見ると荒々しいタッチで抽象画のように見えるのに
離れてみると驚くほどリアリティにあふれ
人物の内面までが透けて見えるような写実なんですねえ。

矯人セバスティアン・デ・モーラ。
矯人〈きょうじん〉とは欠点や不具合のある異形の人間たちのことで
当時の宮廷では「慰み者」として囲われていました。
巨人や小人、超肥満体、身体障碍者、白痴・・・
今からするととんでもないことですが
当時の宮廷は治外法権的な場所で
彼らはいわば「聖」と「俗」の象徴だったんですねえ。
この男性も人形のような小さな足を放り出して
眼光鋭くこちらを睨みつけています。
ベラスケスはそんな「見世物」となっている彼らの
怒りと悲しみを実にリアルに描いています。
かなりショッキングな絵でした。

混みあっている館内で
そこだけ静謐が支配していたのがこの絵の前でした。
『十字架上のキリスト』
ゴルゴダの丘で磔にされたというキリスト最後の姿。
それを決して偶像化するのではなく
生々しい人間の姿として描き切ったリアリティーは凄いです。

やっぱりベラスケスはいいなあ・・・
俺には逆立ちしても描けない絵だけれど
やっぱりいいなあ・・・
などと実に凡庸な感想に終わってしまったのでした。