「地理教育のアウトリーチ」をテーマに発表しました
8月15日に福島市で開かれた「地理教育研究会うつくしま・ふくしま大会」で住みたい習志野に連載している「Narashino Geography」を紹介しました。
連載を頼まれたときには地理教育メインでなく、時事問題へのコメントを中心にしようと考えていたのですが、数回連載して、自分がやってきた地理の授業を市民向けにまとめてみようと考えて現在に至っています。
ボクは地理学者ではないので、全体の構想を立ててから項目立てをしたものではありません。また、文部科学省の学習指導要領に沿っているわけでもありません。ほぼ思いつきで書いてきました。
女子大生と取り組んだアウトリーチ「地理×女子」
「アウトリーチ」※と言う言葉は多方面に使われている言葉ですが、ボクが聞いたのは御茶ノ水女子大学の長谷川直子さん(専門は気候学・陸水学、フィールドは諏訪など)とお茶大の学生と取り組んだ「地理×女子」というプロジェクトの話をしたときでした。
※アウトリーチ(outreach)は、英語で「手を伸ばす」という意味。元は社会福祉の分野で、助けが必要であるにもかかわらず自ら申し出ない人たちに対して、公共機関などが積極的に働きかけ、支援を届けることを指した。
待っているのではなく、こちらから手を差し伸べるアウトリーチという手法。研究者が一般の人に研究内容・成果を分かりやすく伝えたり、対話などで双方向のコミュニケーションを行う活動のこと
地理業界の外にアピールしたいということで、「女子大生」ブランドを利用したのでした。この活動は業界誌の雑誌「地理」の別冊にまとめられ、さらに「タモリ倶楽部」で取り上げられて話題になりました。実際に活動した学生たちは「地理より、女子が注目された」とチョッと不満だと言っていました。しかし、現在も「地理×女子」として活動が続いています。
研究会で「ナラジオNarashino Geography」を紹介
ボクの発表では、地理業界以外の一般市民に興味を持ってもらえればと連載を続けています。
「住みたい習志野」というブログは、地理業界の外にあるので、地理をアピールするには良いフィールドになりました。そんな思いをこめて発表させてもらいました。
発表は授業や教職人生を振り返る“漫談”のようになりましたが、参加者は知り合いがほとんどなので、暖かく聞いてもらえました。
これからの Narashino Geography テーマについてご意見をお寄せください
発表では、今までのテーマを示して、今後取り上げるべきテーマを参加者に書いてもらいました。ボクの先輩地理教員などから、下のようなテーマを提出していただけました。
2021年8月15日:地教研大会「地理教育のアウトリーチ」
- 地理とは何か、答えのない問題
- 世界の人々の共通の生活の願いとは何か
(よい環境、平和、人間らしい、人権)
- 憲法の精神を考えさせる
- 地理は現代史の一局面
- 日本で暮らす外国籍の子どもたち
- 防災、ヒロシマ・ナガサキ、水俣、フクシマ
- 人間の個性について
- 教員になったわけ
- 習志野の今
- ウイルスと千葉
今後、上記テーマを参考に連載のテーマも幅を広げたいと思っています。みなさんも新しいテーマのご希望があれば、「住みたい習志野」ブログへの「コメント」などでご意見をお寄せください。
日本国憲法はそもそも国際主義を前提としている
(前川喜平さんの講演会に参加して)
先日(8月27日)、千葉市年金者組合主催の「平和の集い」前川喜平講演会に参加しました。
前川さんの話は5回ほど聞いたことがあるのですが、この日は日本国憲法をテキストに平和主義や国際主義について話しをされて、わかりやすい「授業」でした。
印象に残ったのは、日本国憲法はそもそも国際主義を前提していると強調されたことでした。
「憲法前文には『諸国民の公正と信義に信頼して』『国際社会において名誉ある地位を占めたい』とあり、日本が国際社会でどのように振る舞うか宣言している」という話しは、改めて日本国憲法の意義を確認させられました。
ボクも現代社会の授業では日本国憲法をテキストに授業を進めていたので、自分自身の授業の振り返りになりました。70歳近くなっても気づきの経験は貴重だと思っています。
Narashino Geographyのバックナンバー紹介
「Narashino Geography」、これまでのバックナンバーをご紹介します。
Narashino Geography(習志野地理学)の連載開始にあたって(自己紹介) - 住みたい習志野
NarashinoGeography② DVは「暴力による支配」だけではない - 住みたい習志野
NarashinoGeography③ 高校で新しく始まる「地理総合」という科目 - 住みたい習志野
Narashino Geography④ 自然地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑤ 習志野の地理と昔の想い出 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑥ 人文地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑦ 地誌 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑧ GIGAスクール構想 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑨ 統合地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑩ 空間認識 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑪ 地図 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑫ コビッド19パンデミックが世界を変える? - 住みたい習志野
Narashino Geography ⑬ 考える地理授業 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑭ 自然地理 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑮ 大地形と小地形 - 住みたい習志野
Narashino Geography⑯ 世界を知ることが、世界平和への一歩 - 住みたい習志野
タモリ倶楽部「しいたげられた地理教師たちの逆襲」(Narashino Geography番外編) - 住みたい習志野
Narashino Geography ⑰ 世界の気候環境 - 住みたい習志野
Narashino Geography ⑱ 自然改造 - 住みたい習志野
Narashino Geography ⑲ 人文地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography ⑳ 世界のほとんどの地域に居住する人類と移動 - 住みたい習志野
Narashino Geography 21 水産業と鉱業 - 住みたい習志野
Narashino Geography 22 産業革命と工業 - 住みたい習志野
Narashino Geography 23 ポストモダニティのネットワーク社会 - 住みたい習志野
Narashino Geography 24 社会地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography 25 文化地理学 - 住みたい習志野
Narashino Geography 26 フィールドワーク - 住みたい習志野
Narashino Geography 27 市民性育成 - 住みたい習志野
Narashino Geography 28 多文化共生と異文化理解 - 住みたい習志野
Narashino Geography 29 多様な世界のリアリティ - 住みたい習志野
Narashino Geography 30 日本の地域区分 - 住みたい習志野
Narashino Geography 31 世界の諸地域・アジア - 住みたい習志野
Narashino Geography 32 世界の諸地域・ヨーロッパ - 住みたい習志野
Narashino Geography 33 世界の諸地域・アメリカ - 住みたい習志野
Narashino Geography 34 世界の諸地域・オセアニア - 住みたい習志野
Narashino Geography 35 世界の諸地域・アフリカ - 住みたい習志野
Narashino Geography 36 氷に覆われた南極大陸 - 住みたい習志野
Narashino Geography 37 「地理総合」はじめます - 住みたい習志野
Narashino Geography 38 「主体的、対話的な深い学び」と言うけれど - 住みたい習志野
Narashino Geography 39 「暗記の地理」から「考える地理」へ - 住みたい習志野
Narashino Geography 40 「アクティブラーニング」を始めたけれど - 住みたい習志野
Narashino Geography 41 「医療地理学」を知っていますか - 住みたい習志野
Narashino Geography 42 「地理総合」の四本柱「GIS」「SDGs」「国際理解」「防災地理」 - 住みたい習志野
Narashino Geography 43 1945年敗戦、今年で76年 - 住みたい習志野
Narashino Geography 44 オリンピックはもういらない - 住みたい習志野
Narashino Geography 45 「地政学」を考えてみる - 住みたい習志野
Narashino Geography 46 「国際主義」について考える - 住みたい習志野
(近)
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