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Narashino Geography 32  世界の諸地域・ヨーロッパ

2021-05-29 01:40:13 | 地理学

世界の諸地域・ヨーロッパ

EU(ヨーロッパ連合)

現在のヨーロッパは、英国、スイスを除いてEUに統合されています。現在の加盟国は27カ国(アイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク)、原加盟国はイタリア、オランダ、ドイツ(加盟時は西ドイツ)、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの6カ国でした。
ヨーロッパの国々は第二次世界大戦直後にヨーロッパで3度目の戦争が起きないようEURATOM(核管理)、ECSC(エネルギー管理)、ECC(経済統合)の3つの機関を設置しました。その後、EC(ヨーロッパ共同体)へと発展し、さらにEU(ヨーロッパ連合)となったのでした。

動画:EUの歴史



EU成立後、東西冷戦が終結すると、かつての東側諸国なども加盟してEUの拡大が進んでいきました。EUは地域統合を進め共通通貨ユーロが加盟国のうち19カ国が採用し、2002年から通貨ユーロが流通しました。
EUは2117年には加盟国が28カ国に増えています。(その後イギリスが離脱して、今は27カ国)

第二次大戦中からヨーロッパでは終戦後の平和構築が構想され、長い時間をかけて現在の地域統合へと進められてきました。地域統合は単なる経済の問題ではなく、平和構築の理念でもあります。ですから、世界のほとんどの地域がヨーロッパ型の地域統合による平和構築と経済圏構築を進めています。

EUは、今後EU圏が拡大していくのか、英国離脱のような分裂の方向に進むのかが課題です。


もう一つは、EU憲法制定ができるかです。現在、EU憲法はリスボン条約が代替しています。


EU圏の基本法整備は今後も模索されていく課題です。


(コラム)EUの礎を築いたリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵の母は日本人だった

  クーデンホーフ=カレルギー光子(Mitsuko Coudenhove-Kalergi, 1874年 - 1941年)、旧名:青山 みつは、オーストリア=ハンガリー帝国の貴族ハインリヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵の妻で、パン・ヨーロッパ運動によりEUの礎を築いたリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵(下の写真)の母。


そのため「パン・ヨーロッパの母」と言われ、現代においては「EUの母」と言われる。
映画「カサブランカ」で主人公リック(ハンフリー・ボガード)のもとから妻イルザ(イングリッド・バーグマン:リックの元恋人)と共に去っていくドイツ抵抗運動指導者ラズロ(ポール・ヘンリード)のモデルは、このカレルギー伯だと言われています。

映画「カサブランカ」 とクーデンホーフ・カレルギー伯 : 三道楽ノート

難民問題や移民排斥でゆらぐEU「地域統合」の理念

EUの基本理念は、多様な個性を認め合う地域統合ということでしょう。所期のヨーロッパの平和構築は果たされていますが、難民問題や移民排斥で社会不安が高まる動きが心配です。

北欧・西欧はプロテスタント、南欧はカトリック、東欧は正教会

統合が進んできたヨーロッパですが、北欧、西欧、南欧、東欧と区分することができます。文化的には北欧、西欧はキリスト教のプロテスタント、南欧はカトリック、東欧では正教会(東方正教会とも呼ばれる)が主流となっています。


キリスト教という視点では文化的基盤は共通ともいえます。しかし、同じキリスト教でもさまざま教派や、国によって教会の組織に違いがあります。日本の仏教にも曹洞宗や浄土真宗など、いろいろな宗派が存在するのと同じです。ヨーロッパは大きく見れば、キリスト教世界と呼べますが、その中に色合いの違いが見られることも知っておくべきでしょう。

イスラームに対する無理解やヨーロッパの価値感を押しつけるフランスなどの排他的傾向が文化的摩擦や事件を引き起こしている

ヨーロッパ統合の理念は多様性を認めることを基調にしています。「偏狭なナショナリズムのような均一性を求めることにならないような」工夫をしているということです。それでもフランスなどではイスラームに対する無理解やヨーロッパの価値感を押し付ける傾向も見られます。

「シャルリー・エブド」の風刺画はヘイトなのか?

(2019.10.31Pars todayの記事)
フランスで、イスラム教徒女性の被り物ヘジャーブを禁止する法案が可決

フランス上院が、イスラム教徒の女性の特有の被り物ヘジャーブを着用した母親に対し、同国の学校の校外活動に参加する子どもへの同伴を禁じる法案を可決しました。

ユーロニュースによりますと、この法案はフランスの極右政党「共和国運動」の議員らが提案したもので、30日水曜、フランス上院にて賛成163票、反対114票、棄権40票で可決されました。

この法案によれば、児童生徒の母親はヘジャーブを外した場合にのみ、学校外の子どもの特別活動に同伴できることになります。

フランスのジャン=ミシェル・ブランケール国民教育・青少年大臣は、この法案への強い反対派の1人です。

フランスには、ヨーロッパ最大のイスラム教徒のコミュニティーが存在します。

フランスではこの数ヶ月間で、国内のイスラム教徒に対する政府の一連の厳しい制限措置が激増しています。

(ここまでPars todayの記事)

フランスに比べると日本の方がイスラームに寛容

フランスの学校では女性生徒が髪を覆うスカーフ(ヘジャーブと言います)をかぶることは、イスラーム的だと禁じられています。日本の学校では、禁じられることはないでしょう。ある千葉県立高校に20年ほど前にインドネシアから短期留学したムスリマ(イスラームの女性信徒のこと)の生徒は校内でスカーフを付けることも、礼拝の場所も認められました。ボクの知り合いの家庭科教員はムスリマのアフガニスタン人の生徒のために調理実習の材料を工夫して、豚肉抜きで調味料もアルコールのないものを探して授業をしていました。

イスラームの教えでは、1日3回(又は5回)お祈りをすることになっており、豚肉やアルコールを口にすることは禁じられています。

日本の男性と結婚して来日30年ほどになるムスリマは「日本は差別がなく暮らしやすい」と教えてくれました。モロッコ人の彼女は、非ムスリム(ムスリムとはイスラームの男性信徒のこと)とは正式に結婚できないので、日本人の男性がイスラム教徒になりました。2人は幸せに暮らしています。

ドイツではトルコ移民が警察官(公務員)になる、という設定のテレビドラマまである

チョッと横路にそれました。15年ほど前、WEBでドイツのテレビドラマを観ると、主人公の警察官がトルコからの移民でした。この番組、人気があって今も続いているようです。


エルドゥアン・アタライという「トルコ系ドイツ人」(下の写真)が主演のアクションドラマです



ドイツは戦後の1950年代労働力不足を補うため、当時失業率の高かったトルコからの要請もあり、最初は2年契約の労働者としてトルコ人を受け入れ、それが定着。家族を呼び寄せ、トルコ人の人口が多くなりました。そのトルコ移民が公務員をやっていることがテレビドラマでフツーに描かれていて勉強になりました。しかも、この警察官のボスは女性ということで、日本の刑事ドラマではめったにない設定でした。こういう設定がされるのは、日常を反映しているからです。女性のメルケル首相がいる国ですから、驚くことはないでしょう。

ただ最近ではそのドイツでも、移民排斥を叫ぶ極右政党の登場などで状況が変わってきているようです。

勝てばドイツ人、負ければ移民」という人種差別に抗議して、トルコ系移民がサッカーのドイツ代表を辞退

エジル氏の悲劇なぜ? 独トルコ系、翻弄の半世紀

ドイツで生まれ育ったのに、なぜドイツ人として受け入れられないのか――。サッカーのドイツ代表として活躍してきたトルコ系のメスト・エジル選手(2...

日本経済新聞

 

移民排斥や難民の受け入れ拒否を掲げて勢力を伸ばす極右政党

ドイツに限らず、ヨーロッパが移民や難民を受容してきた時代は終わりつつあるようで、フランスやイタリアなど各国で、極右と呼ばれる政党が、移民排斥や難民の受け入れ拒否を掲げて勢力を伸ばしつつあります。



(2019年の選挙で勢力を伸ばす極右政党)

人権尊重や人道の基本理念が相対化され、右派が台頭する現在

ヨーロッパでも人権尊重や人道が相対化されてきています。EUには、1950年に欧州人権条約(European Convention on Human Rights)が締結され、その後、自由権の尊重についてバージョンアップされています。

ヨーロッパの基本理念と右派勢力の台頭は矛盾しているようですが、世界的な分断と右傾化と同期している傾向と考えられます。

日本でも安倍政権誕生以降右派勢力の活動が目立つようになっている

日本でも安倍政権誕生のころから、日本会議の活動活発化や最近の愛知県知事リコール運動不正事件など右派勢力の活動が目立つようになっています。

日本会議での国会議員発言


安倍首相「右翼と呼ぶなら呼べ」(2013年)

「表現の自由展」騒動からリコール運動不正事件まで


一方、これとは逆に左派ムーブメントや環境問題が注目を浴びている

しかし、こうした右傾化とは逆の方向の運動も活発化しています。

グレタ・トゥンベリさんが勇気を持って発信してきた地球環境問題が若者の間に広がり、アメリカのBLM(黒人の命も大切だ)運動も全世界に広がっています。

スペインでは、新興革新政党「ポデモス(スペイン語で「我々はできる we can」という意味)」が躍進

スペイン総選挙でポデモス躍進:欧州政治に「フォースの覚醒」(ブレイディみかこ) - Yahoo!ニュース

失速したと言われていたポデモスが、スペイン総選挙で第3党に躍進した。難民問題やテロの脅威へと政治の焦点が移行していると言われる欧州で、一時は...

Yahoo!ニュース 個人

 

ドイツでは環境政党「緑の党」党首がメルケルさんの次の首相候補に躍り出ています。

メルケルから政権奪回? ドイツの次期首相候補は「緑の党」党首の40歳女性 | 環境政党なのにビジネス界からの支持者もいる現実主義者

 

クーリエ・ジャポン

 

世界が転換期を迎えているようです。(近)

 

 

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