(習志野市民「あらかん」さんからの投稿です)
教科書の「従軍慰安婦」「強制連行」の記述訂正問題
用語の修正は、真実をゆがめる
文部科学省は、9月8日、第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」「強制連行」の記述について、教科書会社5社から記述の削除や変更の訂正申請があり、承認したことを明らかにした。現在使用されている教科書や来春から使われる教科書には、別の表現が使われる。
従軍慰安婦は「慰安婦」強制連行は「徴用」に代わる。
「従軍慰安婦」「強制連行」 教科書会社5社の訂正申請を承認 | NHKニュース
「日本維新の会」の質問書が政府の見解を「簡単に」変えてしまう恐ろしさ
ことの発端は、衆議院で日本維新の会の馬場伸幸議員が「強制連行」「強制労働」という表現についての質問書を提出し、4月27日に日本政府が閣議決定し、答弁書で公式回答したことによる。
詳しいやり取りは以下をご覧ください。
第204回国会 98 「強制連行」「強制労働」という表現に関する質問主意書 (shugiin.go.jp)
「強制連行は任意の応募ではなくて、国家の動員計画のもとで、労務動員が行われていた。」というのが国の見解だった
戦時中に多くの朝鮮人、中国人が日本に「強制連行」され、強制労働をさせられたことは、歴史学的には常識で、歴史辞典にも載っている。韓国だけで労務動員は約80万人。軍務動員は約37万人。こういう歴史学が学問として認めていることに対して、文部省(現文科省)は、1997年の時点では、国会答弁で「強制連行は任意の応募ではなくて、国家の動員計画のもとで、労務動員が行われていた。自由意志ではなかったという評価が学説等では一般的」と認めている。
「『強制連行』は歴史研究の常識」と文科省が認める|史実にアクセス/「徴用工」問題を考えるために|note
「強制連行」という言葉を「徴用」に変えて「強制や暴力がなかったことに」しようとする政府
ところが、今回の政府の答弁書では「強制連行」という言葉を「一括(くく)りに『強制連行』というのは適切ではない」「『強制労働に関する条約』の定義には当てはまらない」とまとめられている。
「強制連行はなかった」とは言ってない。日本に渡ってきた「経緯は様々」だったので、これを「一括りに表現することは、適切でない」という論理。官僚らしい姑息な言い逃れで、たしかに戦前や戦争の初期には、小作農では暮らしていけないので、きつい仕事と知りながら、志願して炭鉱の募集に応じて自ら日本に来た朝鮮人や中国人がいた。でも、戦争が深まるにつれ、朝鮮でも労働不足になり、日本での過酷な労働実態が伝わってきて、日本に志願して働きに行くのは忌避されるようになった。それでも、村の役人や駐在警官が甘言でだまして誘い出したり、暴力的に拉致して輸送船にカンヅメにして日本に送り出したのが多数あった。
そういう当時の暴力的やり方を表現した「強制連行」という言葉をなくし、「徴用」という言葉で歴史の事実(ファクト)を覆い隠そうとしているのが今の政府、と言えるでしょう。
http://www.wayto1945.sakura.ne.jp/KOR10-abduction.html
国家総動員法に基づく「労務動員(募集)」の時期 1939年〜
(この時期、既に企業の書類に「強制供出」と書かれている)
「官斡旋(かんあっせん)」の時期 1942年〜
(人質的掠奪拉致の事例が多くなる、と内務省文書に書かれている)
「徴用」(文字通り「戦時強制動員」)の時期 1944年9月〜
募集(1939年〜)、官斡旋(1942年〜)、徴用(1944年9月〜)のすべての時期を通じて「自由意志では全くない」。従って「強制連行」と言われている。ごく例外的な自発的に徴用を志願したというのを拡大視し、「強制的でない事例もあるので一括りにするな」というのは、全く不適切。
教科書から「強制連行」という言葉が消され、「強制連行」の事実がなかったことにされてしまう
いつか、「強制連行」という表現には問題があるようになって、使われなくなり、メディアなどが「日本政府は強制連行はなかったと認めた」と報道し、人々がそれを信じるようになる。多くの歴史家が検証して「強制連行した」とした学問的裏付けを反古(ほご)にし、当事者である朝鮮人や中国人が、日本の裁判で闘い、事実を勝ち取ってきたことすら奪ってしまう。教科書から「強制連行」という言葉が消えるということは、「強制連行」という事実がなくなることと等しい。
6月に文科省が教科書会社を呼び出し、「訂正」を指示
問題の核心は、国家的動員計画の下で、このような重大な人権侵害が起きていたこと。今の政府はその史実から目をそらしたいのだろうと、官僚はその政府に忖度して嘘といわれないようなウソをつく。「一括りに『強制連行』というのは適切ではない」とあいまいな表現をするのは同じ穴のムジナで、罪深い。6月に文科省が教科書会社を呼びつけて、訂正申請をするように言ったそうだ。教科書会社も抵抗しなかった。
このような教科書検定の政治的介入を際限なく許せば、歴史の事実(ファクト)がゆがめられてしまう。中高生は歴史の事実が学ぶ対象である。日本の民間企業が韓国人、中国人を「徴用」したのではなく、韓国人、中国人を日本と言う国家が「強制連行」したのである。
ILOも、1990年に、強制連行や従軍慰安婦問題の賠償に対しての裁判に対し、勧告をだしている。
「…このような悲惨な条件での、日本の大規模な労働者徴用は強制労働条約違反である。被害者の個人賠償のためなんら措置が講じられていない。政府から政府への支払いが、被害者への適切な救済として十分だとは考えない。日本政府が自らの行為について責任を受け入れ、被害者の期待に見合った措置を講じることを期待する」。
政府の都合のいいように教科書を修正できる、なんて恐ろしい。「学問的裏付けのない教科書検定はできない」仕組みにしたらどうか。
教科書に使われている言葉を削除したり、修正したりできるのは、時の政府ではないし、文科省という役所ではない。学問による真実こそが唯一教科書を訂正することができる。教科書検定というのは、学問的裏付けがないとできない仕組みにしたらどうだろう。
「強制連行」という言葉が、逆に韓国や中国の人々と日本の人々を結びつける
中高校生がブラックバイトで、明らかに労基法違反のひどい働かせ方をさせられている。中高生がそれが当たり前だと思ってしまうのは、歴史を知らないからであるかもしれない。日本では戦前より刑法で禁止されていたが、強制労働は一般的にあった。土建業の飯場とか、炭鉱などでは「タコ部屋」に監禁されて、暴行や脅迫などは日常的に行われていた。日本人にもやっていたことを、朝鮮人や中国人に強いても、何も悪いことだとは思わなかった。強制連行という言葉でなくて、「徴用」という言葉では、徴用されて日本人と働いているのがどうして悪い事なのかと思うだろう。それが「強制連行」や「強制労働」という言葉だと、それらのことが歴史上あり、それは「すべき行動ではなかった」と認識し反省することに結びつく。あなたがされたことは、わたしがされていることと同じ。「強制連行」という言葉が、逆に韓国や中国の人々と日本の人々を結びつける。
「性奴隷」という実態をかくす「慰安婦」という言葉
「従軍慰安婦」という言葉はひどいと思う。慰安婦だから直訳すればComfort Woman. 「男を楽しませる女」という、どこまでも男目線で嫌悪感を覚える言葉だ。すさまじい性暴力なのに。英語ではSex slaves(性奴隷)だ。
それでも「従軍慰安婦」という言葉には、まだ「軍に動員され、不特定多数に売春を強要される女性」というニュアンスが残る。
それなのに、今回の教科書検定では、ただの「慰安婦」。慰問に行ったマリリン・モンローみたいじゃないか。
あるいは朝鮮人だから、北朝鮮の喜び組(下の写真)か?
中高生が、慰安婦がリクルートされて従軍したなんてカン違いすると、意味不明になり果てる。
用語の修正は、真実をゆがめる。中高生が近くの国と新しい関係を築いていってほしい
用語の修正は、真実をゆがめる。
強制連行、強制労働、性奴隷がファクトで適切用語。そしてこれらは解決済みではない。
戦後処理を誤ったじいさん、ばあさんの代わりに今の中高生が解決していってほしい。あなたがされたことは、わたしがされたことと同じ。韓国、朝鮮や中国と新しい関係を築いていってほしい。
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