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Narashino Geography 42 「地理総合」の四本柱「GIS」「SDGs」「国際理解」「防災地理」

2021-08-05 15:24:07 | 地理学

「地理総合」の四本柱
GIS」「SDGs」「国際理解」「防災地理」

 

来年度から学年進行で始まる「地理総合」では、「GIS」「SDGs」「国際理解」「防災地理」の4分野が柱として明示されています。デジタル化に対応したGIS(地理情報システム)は地理空間情報をデジタル機器を用いて取得したり、加工する能力を身に付けさせるというものです。多くの担当者が授業で戸惑うことが予想される内容です。

NarashinoGeography③ 高校で新しく始まる「地理総合」という科目 - 住みたい習志野

(注)
GIS Geographic Information System:地理情報システム
SDGs(エスディージーズ)Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標

アナログなGISツール(地図帳や地球儀)の使い方を身につけることが大切

ボクが属していた日本地理学会地理教育専門委員会では10年以上前に「GIS研修会」を小・中学校で何度か実施しました。GISというと、すぐデジタル地図やコンピューターの利用を考えるのですが、GISはデジタルなものだけでなく、アナログなGISの活用をまず身につけることが大切という研修を行ったのでした。最も身近なGISツールは地図帳や地球儀です。地図帳や地球儀を使いこなすことが、デジタルGISにアクセスするときにも重要です。

アナログな地図が使えないと、災害時「命」にかかわる

最近は目的地までの経路を、スマホなどの路線情報で検索する人も多いと思います。東京の地下鉄などでは歩けばすぐ行けるのに、検索で示された遠回りルートで地下鉄を乗り継ぐという奇妙なことが起こります。アナログな地図が頭にないので、奇妙なルートを選択してしまうのです。まるで迷路の中で目の前の壁だけを見て移動しているようなものです。本人は遠回りしていることも気づかないことが多いのです。普段ならお金と時間の無駄ですみますが、災害のときなどは「命」にかかわることがあるかも知れません。

SDGs(エスディージーズ)⇒「現状維持」では「持続不可能」

SDGsは皆さんもよく聞くと思います。先日もテレビでSDGs週間といってキャンペーンをやっていました。地理の授業ではSDGsはすべての場面で基調になっていると言えます。ただ、持続可能性という言葉は批判的に見る必要もあるといえます。人類文明の負の部分を変えていくのがSDGsです。現状維持がSDGsではなく、変革によって人類文明の持続可能性をどう実現するのかということが大きなテーマになります。

国際理解の大きな柱は「異文化理解」

国際理解は、単なる世界知識を記憶するということではなく、異文化理解を大きな柱に据えています。異文化を共感しつつ、受容的に理解することは簡単ではありません。私たち一人ひとりのさまざまな経験や考え方によって、偏見や差別の問題に直面する葛藤が生じることもあるからです。ですから、国際理解は一人ひとりの内面の問題とも言えます。
Narashino Geography 28 多文化共生と異文化理解 - 住みたい習志野

防災地理(熱海市の土石流災害)

防災地理は、気候危機の中で激甚化する気象災害にどう対応するか直面する問題として考える必要があります。しかし、日本列島は気象災害だけでなく、地震、火山、津波、土石流などさまざまな災害が発生する災害列島です。災害は自然環境を基調に人の営みや社会問題が関連して生じます。大きな災害が起こってもそこに人がいなければ、被害の質はまったく違うものになります。先月はじめの静岡県・熱海市の土石流災害は熱海独特の地質構造と建設残土や産業廃棄物の不法投棄により違法な盛り土があるところへの集中豪雨によって引き起こされた災害です。

熱海のような地すべり地帯で急傾斜地の多いところでは、このような災害はいつ起こっても不思議ではありません。身近な人工改変地形について、皆さんはどれほど認識しているでしょうか。災害を予測するためには、災害のメカニズムについて理解しておくことが大切です。気候や地質、プレートテクトニクスの基礎を知っていれば、地域の災害を予測することも可能です。

災害を防ぐのは長期的に計画された「公助」が基本

ハザードマップを読み取り、身近な地域と見比べて、自分がどのように行動することが重要なのか、日ごろから考えることが大切です。

また、災害が起こってからどう行動するかということだけでなく、日ごろから災害を発生させない地域づくりを進めることが重要です。災害発生時には自助・共助も重要ですが、災害を未然に防ぐためには長期的に計画された公助が基本となります。いずれにせよ自助・共助・公助は複合的に考える必要があります。「自助」だけを取り出して「自己責任」を強調するのは間違っています。(近)

 

 

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