(共同通信の記事)
韓国、在日男性が死後再審無罪
違法捜査で嫌疑捏造
韓国、在日男性が死後再審無罪 違法捜査で嫌疑捏造 | 共同通信
韓国のソウル高裁は、1984年に韓国軍に連行され「北朝鮮スパイ」として約2年間拘束された兵庫県尼崎市出身の在日韓国人、趙伸治さん=91年に35歳で死去=の再審で無罪を言い渡した。令状なしの35日間の違法な監禁で自白を強要されたと断じた。29日に判決文を遺族側に交付して理由を明らかにした。
趙さんは85年の原審初公判から「鉄棒で殴られ水責めの拷問も受け虚偽自白をした」と事件が捏造されたと訴えていた。37年後に裁判所が認めた。
再審を求めた兄の道野学さん(70)は「名誉回復はかなったが、弟も父もこの世を去っており残念でならない」と話した。
(編集部注)
この拷問によるでっち上げ事件は1984年に起きましたが、1987年に民主化される前、軍事独裁政権だった韓国では、こういう軍部によるねつ造事件は日常茶飯事でした。
映画「スープとイデオロギー」と韓国の「4・3事件(サーサムサコン)」
もっと前、朝鮮戦争の起こる2年前の1948年4月3日、今では観光地として有名な韓国・済州島(チェジュド)で、3万にのぼる島民が軍隊・警察や「討伐隊」(右翼テロ部隊)によって虐殺された(当時の島の人口は28万人なので約1割が殺された!)「4・3事件」という悲惨な事件がありました。
この事件を背景にした家族の物語、「スープとイデオロギー」(硬そうなタイトルですが、映画は結構ユーモラスな会話が飛び交っています^^)というドキュメンタリー映画が今上映されています。
「ディア・ピョンヤン」「かぞくのくに」のヤン ヨンヒ監督が年老いた母にカメラを向けたドキュメンタリー。朝鮮半島と日本の歴史のうねりに翻弄された自らの家族を撮り続ける在日コリアン2世のヤン監督は、父亡きあと母からある秘密を打ち明けられる。1948年、当時18歳の母は韓国現代史最大のタブーといわれる「済州4・3事件」の渦中にいた。その悲劇を生き延びた母は朝鮮総連の熱心な活動家だった父と結婚し、両親は「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。“地上の楽園”にいるはずの息子たちに借金をしてまで仕送りを続ける母を心の中で責めてきた娘。やがて母は、アルツハイマー病を患う。消えゆく記憶を掬いとろうと、娘は母を70年ぶりの済州島に連れていこうと決意する。それは、本当の母を知る旅のはじまりだった……。
(ヤンヨンヒ監督が自分の家族のことを書いた「かぞくのくに」という本、映画化もされました)
この映画の中心になっている、監督のお母さん康静姫(カンジョンヒ)さんは今年1月お亡くなりになりました。戦前大阪に住み、空襲が激しくなったので故郷の済州島に疎開。戦争が終わってもそのまま済州島に生活していましたが、米軍制に反対する人々が多かった済州島で1948年4・3事件に遭遇。婚約者を殺され、弟妹を連れて命からがら日本に逃げ、そこで知り合った男性と結婚。それがヤンヨンヒ監督のお父さん。
4・3事件、日本でもあまり知られなかったが、韓国でも長い間秘密にされていた
4・3事件、映画のパンフレットには、こう説明されています。
1947年3月1日、「三・一独立運動記念集会」(1919年3月1日、日本からの独立を訴え、朝鮮全土で起きた「三・一独立運動」を記念して行われた)後のデモに対して軍政警察が発砲し子供を含む6人の島民が犠牲となった。
この発砲事件を境に、米軍政と島民との対立が激化した。北朝鮮から追われた右翼集団や警察力が島外から引き入れられ、「アカ狩り」に名をかりた過酷な拷問やテロが吹き荒れる。
とりわけ、8月の大韓民国の樹立を経て11月頃からは「焦土化作戦」といわれる殺戮劇に発展し、北村里(プクチョルリ)の大虐殺もこの頃に起こった。朝鮮戦争の時期までに130余りの村が焼かれ2万5000人〜3万人(当時の島の人口は28万人余り)の島民が犠牲となったことがのちの調査で明らかになっている。
80年代まで続いた韓国の強権的な反共体制のもとで、四・三は「共産暴動」、軍・警の討伐隊に殺された者は全て”暴徒”や”アカ”の烙印が押された。これに異を唱えることは許されなかった。
本国の反共体制に追随した韓国系の民族団体はもとより、(この抵抗闘争を指導した)「南労党(ナムノダン)」系の大物指導者たちが北朝鮮で粛清されたこともあって北朝鮮系の在日社会でも四・三を語ることをはばかる空気が強かった。
四・三についての論議が本格化したのは、1987年の韓国の民主化以後のことだった。
(編集部注)
大阪生野区には、この時済州島から逃げて来た人たちが多く住んでいるそうです。
(済州島四・三事件から逃れるため日本に密航した女性)
(済州島四・三事件の証言者)
(四・三事件)
(映画「チスル」:済州島方言で、じゃがいものことを「チスル」と言います)
なお、「朝鮮民主主義人民共和国」については「北朝鮮」ではなく、「共和国」などとした方が適当かも知れませんが、今回の記事では映画のパンフレットの「北朝鮮」という表記をそのまま使わせて頂きました。
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