住みたい習志野

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国民をなめている?ヘイトスピーチの杉田水脈氏、エッフェルおばさんの松川るい氏を「要職」につけた自民党の”恥知らず人事”

2023-09-30 00:06:14 | 国政、県政

(「女性自身」の記事より)

“人権侵犯認定”杉田水脈議員を要職起用…自民党の“恥知らず人事”に非難殺到

“人権侵犯認定”杉田水脈議員を要職起用…自民党の“恥知らず人事”に非難殺到(女性自身) - Yahoo!ニュース

“人権侵犯認定”杉田水脈議員を要職起用…自民党の“恥知らず人事”に非難殺到(女性自身) - Yahoo!ニュース

9月29日、自民党が杉田水脈議員(56)を環境部会長代理に起用することを決定したことが報じられた。ネットでは怒りの声が多数上がっている。これまで「男女平等は、絶対に...

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9月29日、自民党が杉田水脈議員(56)を環境部会長代理に起用することを決定したことが報じられた。ネットでは怒りの声が多数上がっている。

これまで「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」や「思春期の子供に“同性愛者も堂々と胸を張って生きましょう”と教育したら正常に戻れなくなる」など数々の発言が問題視されてきた杉田議員。

『新潮45』’18年8月号に寄せた文章ではLGBTについて《彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです》と綴り、同誌を休刊に追い込んだ。

それでも’22年8月に第2次岸田改造内閣で総務政務官に就任。しかし同年10月、ジャーナリストの伊藤詩織氏が名誉棄損で訴えた裁判で、東京高等裁判所から55万円の賠償を命じられることとなり、その後、杉田議員は総務政務官を12月末に辞任している。

そんな杉田議員だが、再び言動が厳しく追及されることに。

杉田議員は’16年にスイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会の参加者について《チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場》《同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる》などとブログやSNSに投稿していたことが発覚。これらについて今年9月7日、札幌法務局が”人権侵犯の事実があった”と認定したのだ。さらにアイヌ文化を学び、今後発言に注意するよう「啓発」を受けた。

国会議員による人権侵害という異例の事態について、いまだ公の場でもSNSでも何の説明もしていない杉田議員と自民党。そのような状況下でまさかの人事が。杉田議員が、再び要職に起用されることとなったのだ。

「TBS NEWS DIG」によると自民党は9月29日、総務会を開き、政府が提出する法案の審査や政策立案を行う党の部会長などの人事を決定。そこで杉田議員を環境部会長代理に起用することを決めたという。

自民党の党首である岸田文雄首相(66)は、9月19日(現地時間)に、アメリカ・ニューヨークの国連本部で「『人間の尊厳』に光を当てることで、国際社会が体制や価値観の違いを乗り越えて『人間中心の国際協力』を着実に進めていける」と演説したばかりだ。

そんななかで、「人間の尊厳」を踏みにじるような数々の発言が問題視され、説明責任も果たさない杉田議員を起用する自民党。

SNS上では今回の人事について岸田首相や自民党への非難が殺到している。 《国連で岸田総理が「人間の尊厳」などと偉そうに語っていたけど、本当にそう思ってたら杉田水脈のような差別主義者は処分して離党させるよね》 《このような人権問題になる差別発言をする議員を要職につけるなど岸田政権は何を考えているのか全く理解に苦しむ》
《こんなことをやっていたら日本は本気で世界から取り残されていくでしょうね》
《人権侵害の杉田水脈が党環境部会長代理 日本の恥》 《自民党が杉田の発言を支持しているような人事。恥を知らない自民党政権。腐っている》

(「女性自身」の記事より)

「ドン引き」「絶望的な人事」エッフェル松川議員の副幹事長“栄転”に世論の怒り爆発

「ドン引き」「絶望的な人事」エッフェル松川議員の副幹事長“栄転”に世論の怒り爆発(女性自身) - Yahoo!ニュース

「ドン引き」「絶望的な人事」エッフェル松川議員の副幹事長“栄転”に世論の怒り爆発(女性自身) - Yahoo!ニュース

9月28日、自民党が松川るい議員(52)を同党の副幹事長に起用する方針であることが報じられた。この方針に、SNS上では批判が相次いでいる。松川議員といえば自民党女性局...

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9月28日、自民党が松川るい議員(52)を同党の副幹事長に起用する方針であることが報じられた。この方針に、SNS上では批判が相次いでいる。

松川議員といえば自民党女性局の局長として、7月末にフランスで研修を実施。その際に、エッフェル塔前でポーズを取りながら笑顔を見せる写真をSNSにアップしたところ、「観光気分か」と多くの批判を浴び、同月31日にX(旧Twitter)で《中身のある研修なのに誤解を招いてしまっており、申し訳なく思っております》と謝罪した。《意見交換や学びを発信し、日本の政策にいかすことに努めます》と述べたものの、8月22日に女性局の局長を辞任。事実上の更迭と見られている。

『Smart FLASH』によると、同フランス研修の旅程表を見たところ、3泊5日の日程にも関わらず、《純粋な研修に充てられていたのは、たったの6時間。ガイドツアーや、在仏日本大使らとの食事会を含めても、10時間にしかならない》という。

そんな松川議員に報じられた、“栄転”人事。「TBS NEWS DIG」によると、自民党は松川議員を副幹事長に起用する方針であり、それは《副大臣・政務官への女性の起用がゼロとなる中、自民党としては、女性活躍に取り組む姿勢をアピールしたい狙いもある》ためだという。

しかし、国民からの批判に向き合う姿勢を見せない松川議員の好待遇には、”納得できない”との怒りの声が爆発。SNS上では、非難が殺到している。

《ドン引きです。ドン引き過ぎてこれ以上の言葉はありません。松川議員もその打診があっても断るべきです。何故固辞しない?》

《国民を舐め切った絶望的な人事には強い憤りを覚える。松川るい前女性局長が自民党副幹事長とは驚愕する。自民党の人材難は極めて深刻な状況だが、松川るい氏の副幹事長人事は有り得ない。国民を舐め切っているとしか思えない岸田政権には絶望感しかない》

《自民党は消えてなくなれと思います。やりたい放題だろこれ。どうせ選挙やっても絶対に勝つから、国民なんか税金払う道具程度にしか思ってないのだろう》

 

 

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10月のイベントのご案内

2023-09-29 23:40:22 | 催しなど

10月のイベントのご案内です。

10月4日(水)18時30分より

千葉県教育会館2階203会議室

沖縄を再び戦場にさせない

全国キャラバン山城博治氏が訴える

10月8日(日)習志野シニアクラブ

<DVD鑑賞>不朽のミュージカル「雨に唄えば」
(102分 1952年アメリカ)サイレントからトーキーに移る時代のハリウッドをコメディタッチで描く

ハリウッドを代表するミュージカル映画で、ジーン・ケリーが監督兼主演

午後1時30分〜 袖ヶ浦公民館 
司会・進行 佐伯
 
参加費 大人200円(予約不要) 学生は無料
問い合わせ先 仲野  090-4613-9851
 
 
10月11日(水)

11時30分〜12時15分
ときめきランチタイム
ワンコイン500円プチコンサート

~箏(こと)で知る秋の調べ~

 

※中国では箏(こと)を弾くのは皇帝。そして皇帝は龍の化身だと言われていたとか!?

 箏(こと)の音を聞きながら、いにしえに思いを馳せてみませんか?

日時:2023年10月11日(水)

開場:11:00 開演:11:30~12:15

~出演者~

出演者:箏(こと)・歌 鈴木 佑未子

    ピアノ     冨川 喜久子

~曲目~

村祭り・祭り太鼓・六段

十七絃箏(こと)とピアノによる「夕焼けと影」

箏(こと)とピアノによる

まりと殿さま

叱られて

浜千鳥

参加費 500円

会場 プラッツ習志野市民ホール(京成大久保駅 徒歩2分)TEL 047-476-3213

10月15日(日)

13時〜14時30分

千葉県14区市民連合「市民と野党の共闘」を高く掲げ

結成のつどい

1部 記念講演

憲法条は何を守るのか

講師 伊藤 千尋ちひろさん

会場 「千葉土建船橋習志野支部・会館」
(新京成「薬円台」駅から徒歩7分)

駐車場 あります(無料)

講演終了後、第2部として、「結成集会」を開催します。

10月15日(日)

 今年も「なくそう!官製ワーキングプア 反貧困集会(東京)」が開催されます。
 今回の集会では、会計年度任用職員制度・“3年公募”の実態を検証し、新たな課題や、東京都内の自治体などで予定されている“5年公募”に向けて、何をすべきかを考えあいます。 また、臨時的任用や民間の非正規で働く方など、様々な職場の仲間からの闘いの報告も企画されています。是非、ご一緒に、「官製ワーキングプア」をなくし、安心できる公共を取り戻す取組を前進させていきましょう。みなさまのご賛同・ご参加、お待ちしています!

◆開催日 2023年10月15日(日)13時00分~16時30分
◆会場 日本図書館協会 研修室(東京都中央区新川1-11-14)
 東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町駅」〔1〕〔3〕出入口 徒歩 5 分 

 JR「東京駅」八重洲中央口 徒歩約20分
ユーチューブ配信: 
なくそう!官製ワーキングプア 東京集会 2023

◆集会テーマ 3年公募で自治体はどうなった!?~公務職場から不安定雇用をなくそう~
◆会場参加 資料代 500円(ただし、失業や求職中の方などについては無料)
◆賛同金 個人:1口1,000円(2名参加可) 団体:1口3,000円(6名参加可)

★集会賛同フォーム

2023 なくそう!官製ワーキングプア! 東京集会 賛同申込み

 

絵本でテツガク対話

絵本でテツガク対話、19日は大久保で、20日は幕張で行います

10月19日(木)

絵本でテツガク対話

午前10時〜11時30分 

市民プラザ大久保 ギャラリーB

「おおきくなるっていうことは」

 

10月20日(金)

午後1時30分〜3時 

幕張「本屋ライトハウス」(奥の部屋)

「おおきくなるっていうことは」

〒262-0032
千葉県千葉市花見川区幕張町5-465-1-106

JR/京成幕張駅より徒歩6分
(JRと京成の駅は別の場所ですが、どちらからも500mくらいです)

駐車場はありません。近隣に数カ所コインパーキングがあるのでそちらをご利用ください。

仲野さんの「絵本でテツガク」、千葉テレビで放送されました - 住みたい習志野

10月22日(日)シニアクラブ
谷津公民館文化祭企画
文化祭の企画の一環として、サークル活動活性化の一助になれば・・

<個別相談>サークル活動の悩み・よろず相談

会の立上げ、メンバー集め、運営方法等、気軽に相談に応じると共に情報共有も。入退場自由

司会・進行 仲野

朝10時~12時 

 
参加費 無料
問い合わせ先 仲野  090-4613-9851
 
10月30日(月)
19時〜20時半

〔オンライン学習会〕脱原発のその先へ~環境型エネルギーでつくる新しい未来

脱原発のその先へ~環境型エネルギーでつくる新しい未来 | 市民ネットワーク千葉県

脱原発のその先へ~環境型エネルギーでつくる新しい未来 | 市民ネットワーク千葉県

〔オンライン学習会〕脱原発のその先へ~環境型エネルギーでつくる新しい未来講師は衆議院議員田嶋要さん12年前の東京電力福島第一原発事故を忘れたかのように原発回帰へと...

市民ネットワーク千葉県

 

講師は衆議院議員田嶋要さん
12年前の東京電力福島第一原発事故を忘れたかのように原発回帰へと大きく舵を切った岸田政権。このままでは、危険な老朽化原発まで、再稼働されてしまいます。今こそ、原発に頼らないエネルギー政策を求めて、市民の声を大きくあげていかなければなりません。

福島原発事故のとき、田嶋さんは、現地対策本部長として福島市に3ヶ月間住み、事故対応に奔走。
生活とコミュニティを破壊する原発事故の現実を目の当たりにしました。だからこそ、筋金入りの「環境派議員」として、原発に頼らない社会を目指し、地産地消・環境型エネルギーを進める活動に力を入れています。
「脱原発・分散型エネルギー社会は決して絵空事ではなく、選択すれば実現できるところまで来ています」と熱く語る田嶋さん。
みなさまもぜひ、ご参加ください。

日時:10月30日(月)19:00~20:30
方法:ZOOMによるオンライン
参加費:無料

申し込み チラシの右上のQRコードもしくは
https://forms.gle/HNzAArcvR5eN2hoM9からお願いします

 

 

 

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急ごう!千葉県多様性条例のパブリックコメント。10月2日締め切り

2023-09-29 18:06:31 | ジェンダー

(kokiさんの投稿です)

急ごう!千葉県多様性条例のパブリックコメント。10月2日締め切り

 

koki版、千葉県骨子案の問題点。

千葉県は、骨子案を公表した「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」(以下、多様性条例)を12月議会に提案するために、10月2日までパブリックコメントを募集しています。県内だけでなく、全国から、さらに外国からも意見が寄せられているが、この条例については一般にはあまり知られてないので、ぎりぎりのタイミングですが、問題点を中心にkokiなりの見解を書いてみます。

千葉県のジェンダーギャップ指数

千葉県は都道府県で唯一、男女共同参画条例のない県で、ジェンダーギャップ(男女の違いにより生じる格差)の取り組みにおいても、大きく遅れています。日本がジェンダーギャップ指数146カ国中116位(2022)なのは、有名ですが、都道府県別ジェンダーギャップ指数(分野別)、千葉県の指数は、行政43位、教育40位、経済31位、政治3位(2022)と男女格差が目立ちます。

〇政治3位 順位が高いのは、歴代知事の男女比3位(堂本知事)、市町村議会の男女比7位、市町村長の男女比3位、女性ゼロ議会なしがランクを上げているのだが、国会議員の男女比は31位です。

〇行政43位 県と市町村の管理職43位、審議会委員42位、地方自治法に基づく委員会委員45位、市区町村管理職42位と、庁内で女性採用が少なく、女性の声が反映されにくい状況です。県庁の大卒採用の男女比42位も、採用の段階から男女格差があるということ。

〇教育40位 小中高の校長の男女比、それぞれ16位、23位、46位。副校長・教頭は28位。教育委員会の管理職は44位。ここも男性管理職支配が目立ちます。四年生大学進学率も38位。通学範囲に多くの大学が存在するのに進学率は低いですね。

〇経済31位 企業や法人の役員・管理職の男女比44位。千葉県は行政だけでなく、企業も管理職が最低ランク。正規職の賃金格差6位ですが正規職の女性割合は38位。非正規に賃金格差は26位。共働き家庭の家事・育児時間の男女格差15位。

 

男女共同参画条例で行政ができること

どう思いますか? 男女共同参画条例のない千葉県の現状は? 男女共同参画条例は行政にとって法的根拠になるもので、少なくとも行政は条例に従って、女性職員の採用を増やしたり、管理職(教育関係も)や審議会・委員会に女性を起用したり努力します。また、県民や民間にも男女格差解消のために予算をつけて啓発や啓蒙だけでなく、ジェンダー教育・研修、性差別禁止なども条例があればこその施策です。

たとえば、埼玉県には「人権・男女共同参画課」があります。男女共同参画、DV対策、LGBTQと3つの担当がありますが、条例により男女共同参画苦情処理委員会があり、性別による差別的な取り扱い、配偶者・パートナーからの暴力などを申し出れれば、苦情処理委員が迅速に調査し、関係者に助言、意見、勧告などを行ってくれます。

この委員会が最近埼玉県に対して勧告を出したのはニュースになりました。「県立の女子高・男子高は早期に共学化すべき。県立男子高が性別を理由に女子の入学を拒んでいるのは、(国連の)女子差別撤廃条約に違反している」というものです。高校の管理職の登用にかんしても増やすように勧告し、浦和高校に女性管理職が就任しました。条例により、女性の個別の人権救済だけでなく、県全体でジェンダー平等が進められています。

 

男女共同参画とは?

埼玉県に男女共同参画条例ができたのが2000年。埼玉県は人権の立場から男女差別解消を進めていますから、女性たちは人権が保障されて安心して暮らせるようにだんだんなってきています千葉県は20年以上経ってもいまだに条例もありません。埼玉県は人権の立場から男女共同参画を進めていますから、女性たちは人権が保障されて安心して暮らせるようにだんだんなってきています。千葉県は埼玉県より遅れること20年以上、全国で唯一男女共同参画条例という法的裏付けがないまま、取り組みがごく限定的です。今回の多様性条例が男女共同参画条例も包括するものだと知事が会見しています。その問題は後で書きますが、まず、男女共同参画条例のイロハを簡単に。

男女共同参画?ダンジョキョウドウサンカク? 舌を噛みそうな行政用語で抽象的、意味不明。国が男女共同参画社会基本法をつくったときに、「男女差別禁止」「男女平等」というのを毛嫌いする政治家が多いので、「男女共同参画」という湾曲的な表現になったという経緯があります。この法律は、基本理念しかなく具体性に欠ける。労働問題への言及を避けている。罰則規定などの実効性が確保されていない。異性愛男女二分法の発想だとさまざまな限界が指摘されていますが、これでも長い間、国連から求められてきて、やっとできたもの。

1975年 国際女性年、それに続く10年が国連・女性の十年。

1985年 女性差別撤廃条約批准  男女雇用機会均等法制定

1995年 第4回世界女性会議(北京)

1999年 男女共同参画社会基本法

日本の男女共同参画基本法は、14年前に締結した男女差別撤廃条約2条の「男女差別禁止の国内法整備」に基づいて制定され、国の方針で各自治体で条例がが作られるようになる。自治体や国の女性政策は男女共同参画政策に転換。

 

千葉県の男女共同参画条例制定の失敗

千葉県は、1999年の統一地方選で女性議員が9名当選し「女性県議の会」が発足。2000年に「男女共同参画促進議員連盟」が結成。引退前の沼田知事が条例づくりを明言し、「男女共同参画促進議員連盟」が結成。ここまでは、他の自治体と足並みを揃えていた。

2001年に堂本知事が誕生し、条例づくりに着手する。男女共同参画課は、条例づくりのために、有識者、事業者、労働組合にアンケートを実施、公募による6つの市民団体からヒアリング。12月に中間報告。

2002年に専門部会委員会が県内4か所で説明会を開催するのと並行し、意見募集(434件)。市町村に説明会。9月議会上程の予定で条例検討部会を公開。さらに県内3か所で集会。

集会には反対する「夫婦別姓反対の会」が退去して押しかけ、席の前列を占めて発言。知事あてに千葉県下の市会議員、県会議員による「千葉県に健全な男女共同参画条例を求める議員連盟」が要望書を提出。彼らは教育委員あてに歴史修正主義の歴史教科書採択を求める要望書を出したメンバーと重複。教科書が不採択だったので、次は男女共同参画条例へとターゲットを転換。それに対抗して条例推進派は「千葉県男女平等条例ネット」(条例ネット)を発足し活動を開始。

自民党県連は、9月議会を前に県の条例案に対して4項目の修正・削除を要求した。知事は自民党案を懇話会と条例専門部会に戻して意見をきき、2項目を採用、2項目は「条例の根幹にかかわる」として不採用にした。

条例ネットでは、地元選出議員に会ったりして、面会してくれない議員には電話やファクス、手紙などで条例への理解を求めた。県会議員全員に公開質問状を出し、無回答も含め公表した。

しかし、9月議会も12月議会も継続審議となった。

2月議会に自民党独自案を出す動きが出てきた。提出されれば、内容の如何を問わず、自民党案で可決されてしまうと、条例ネットは「自民党案をださせない」運動を展開したが、自民党は県条例案を全く骨抜きにした自民党案を提出。すんなり可決されると思われたが、廃案になった。自民党内でも松戸、市川、船橋などの都市部議員は一枚岩でなく、県議選への影響を考えて自民党案を支持しなかったからである。

2003年の県議選は圧倒的に自民党が多数当選した。71名の自民党は女性議員ゼロ。

長々と書いたが、
堂本知事2期、

森田知事3期の20年間、

男女共同参画条例は棚上げ状態。

熊谷知事は、今回の多様性条約制定に対し、県民や市民団体などに説明会を開いたり、意見を聴いたり、市町村に説明したりすることをほとんどやらない。

堂本時代の経験から、自民党だけに根回しをすることの方が「自民王国千葉」にとって適切であると判断したのだろう。県民がほとんど知らないうちに、唯一の意見表明の機会であるパブコメ期間が過ぎようとしている。中身は人権尊重が抜け落ちた理念条例で、目的は多様性の尊重といいながら、多様な人材を確保することを目的としたように思える。これで、男女差別が減るとは思えない。これからも男女共同参画が欠落した「自民パラダイス」「統一教会パラダイス」の千葉県が続くであろう。残念ながら、最後にkokiからみた条例案の問題点を簡単に書きます。

制定の背景、骨子案、パブコメの方法。意見提出用紙は千葉県のホームにあります。入手はインターネット以外は困難。

(千葉県ホームページは以下をクリックすればご覧になれます)

「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の骨子案に関する意見募集について

千葉県の骨子案は7つに分かれている。まず、それぞれについて問題点や要望を書いてみます。「 」は骨子案の文です。

趣旨について

「全ての人々が多様性を尊重することの重要性を理解し、互いに認め合い、連携し、協力すること」

多様性(ダイバーシティ)を尊重するというのは、多数派(マジョリティ)が少数派(マイノリティ)を思いやって認めてあげることではない。性別、人種、障害など目に見える表層的なものでも、考え方、性格、嗜好、宗教など目に見えない深層に関わることでも認め、連携、協力する。重要だけど、難しいよね。長年差別を受けてきた人から見れば、こんなこと上から決められて、上から目線で向き合ってくれるなら関わってくれなくてもいいと思っちゃう。むりやり協力しろと言われても関わりたくないと思う人も多いだろう。行政が法律で決めるのは、人にはだれでも人権があるので排除や差別をしてはいけないということ。人権をを邪魔していることに対して、その実態を把握し、問題解決のための政策を推進する。それが条例という法律の前文に書かれるべきことだと思う。

「社会の活力及び創造性の向上につながるという認識」

多様性を尊重するのは、活力や創造性の向上のためではない。何か目的があって、多様性を尊重するわけではない。こういう目的と手段をはき違えた表現がこのあともある。

「千葉県は、東京オリンピック・パラリンピックの県内開催、成田空港のさらなる機能強化、道路ネットワークの整備進展など、多様性が生かせる舞台が整い、活力や多様性を一層向上させる好機を迎えている」

多様性を尊重するのは、人材確保のためか? 多様性が必要なのは、共に生きていくためだ。この一文を入れることで自民党の高度成長期そのままの古頭たちの歓心を買った? 多様性が生かせない人間は、好機にもありつけなくてもあきらめろといってるようなものだ。

 

目的について

「だれもが活躍できる社会」「その人らしく活躍することができる」

わずか5行の文章に「活躍」が4つもでてくる。誰が作文したのか? 趣旨と合わせて、県の産業に貢献するのだぞという上から見下す役人臭さがプンプンする。多様性という個性を発揮し、活躍しなきゃダメだというのが鼻につく。とても人々を尊重し、行政が支えますというような文章じゃない。

基本理念について

これも13行で「活動」、「活躍」が9個のオンパレード。年齢、男女、障害、国籍、文化的背景、性的指向と項目をあげて、活動し、活躍(活動の結果として)することを求められている。

もう、そろそろ読むのが嫌になってきた。

県民等の役割

多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会の形成に寄与するように努める

行政が人権の保障に言及せず、誰もが活躍する社会を目指すと放り投げ、県民に具体的な行動指針もない。

県の責務

県と市町村の連携

に至っては、「総合的に策定し、実施する」「市町村と連携するように努める」。これは典型的な理念条例の決まり文句。しかも行動指針がない。行政の行動指針が条例の肝。「活躍」を削って、「人権」「差別の禁止」を入れること。それを実行するために、埼玉県のような専門家による「苦情処理委員会」のような機関を設置すること。

理念条例といえど、「〇〇宣言」ではない。アリバイだけの条例。情けないほどのやる気のなさ。額縁つけて飾っておいたというだけのもの。

書き直し!! 20年も出遅れた男女共同参画条例の代わりならあまりにもお粗末すぎる。恥ずかしいほど遅れたなら、むしろ、他都道府県にない先駆的な条例をつくるべきでしょう。自民党が邪魔をするなら、専門委員会を設けてそこで条例案を扱うようにし、堂本知事がやったような説明会や意見アンケートを何度もやり、条例を案のときから「見える化」すれば、人々は多様な人々の人権について考えてくれます。そうすれば条例はその目的を半分達成したようなもの。条例は策定すればいいものではありません。

とにかく、書き直さなきゃ行政として恥ずかしい代物。

それと、男女共同参画推進条例は、多様性条例ができたら、すぐに着手してください。世界では、男女平等法案に出遅れた後進国では、高齢者、障碍者、性的少数者、外国人などを包摂し、男女平等法案は性差別だけでなく、複合的に差別に取り組む交差的な法律が後進国では作られています。

 

条例解説文に男女の伝統的役割や家族感

県のパブコメは、男女の伝統的役割や家族観を推進する保守団体や統一教会などからも多数寄せられている。それが県民の多数意見となることの懸念について県の担当者が22日に明らかにした。以下に新聞記事を転用する。

(産経新聞の記事より)

日本の伝統的価値観は解説に回される方向 多様性条例で千葉県が検討(産経新聞) - Yahoo!ニュース

「県は、条文を詳しく説明する「逐条解説」や条文の内容を簡潔に説明した解説文の準備を進めている。自民県議の一部が求める日本の「伝統的価値観」や「伝統的家族観」の内容はそこに盛り込むことも含めて検討している。

県の担当者が22日、明らかにした。

骨子案では、趣旨の冒頭に「私たちの社会は、年齢、性別、障害の有無、国籍および文化的背景、性的指向および性自認などさまざまな違いがある人々で構成されている」とある。

日本の伝統的価値観や家族観について、政策企画課の担当者は「全てを例示することはできない。全て『など』に含まれている」と説明した。人種や宗教も同様に「など」に含まれるとしている。

逐条解説は条例を1条ずつ列挙し、それぞれに詳しい解説を加えたもの。条例や逐条解説をさらにわかりやすくかみ砕いた解説文の作成も検討している。

県の政策策定は条例をもとに進められる。担当者は「解説文も踏まえて政策策定が行われることになると思う」と話した。

県は多様性条例を普及・啓発する際の手段の一つとして、解説文を記載したパンフレットを県民に配布することも検討している。

骨子案の内容を疑問視する県議は「解説は添え物に過ぎない。解説に回されても、条例の本文に明記されなければ意味はない。パンフレットの類いはいつまで発行が続くのかもわからない」と指摘する。

県は骨子案について、来月2日までパブリックコメント(パブコメ、意見公募)を実施。寄せられた意見に対しては、条例制定前に県の考え方を公表する予定だ。」(以上、産経新聞の記事より)

「伝統」は個人的な思想や信仰、価値観が伴う無形の概念で、日本の「伝統的価値観」や「伝統的家族感」というのは、国が定義づけたものでもなく、学問としてもまとまっているものではない。私が連載している
Narashino gender

「ジェンダー」のブログ記事一覧-住みたい習志野

では現在、原始(旧石器時代)からの日本人の歴史を詳細に追っているが、時代によって価値観や家族感は劇的に変化する。

条例は法である。日本は女性差別撤廃条約を批准し、男女共同参画社会基本法をもち、地方自治体が条例を制定するという法体系のなかで、ジェンダー不平等の解消に向かっている。そのなかで、多様性という人権条例に、伝統的価値観、伝統的家族感というあいまいな概念を明記したり、行政の条例解説文に記することには反対する。

他の都道府県から20年も遅れた男女共同参画条例を包括するという多様性条例に、伝統的価値観や家族観などを盛り込むならば、千葉県は侮蔑と嘲笑の対象となるだろう。知事と議会の政治的配慮だけで法をつくるべきではない。県民が誇れるような条例にしてほしい。(koki)

(意見の提出方法)

千葉県のホームページ

「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の骨子案に関する意見募集について

の中に意見の提出方法が次のように載っています。

意見の提出方法

https://www.pref.chiba.lg.jp/seisaku/iken/2023/documents/ikenyousiki.pdf

  • 電話での受付は致しませんので、ご了承ください。
  • 提出意見は、日本語を使用してください。

(1)電子メールに添付する場合

  • 御意見はメール本文ではなく、意見提出様式に御記入の上、メールに添付してください。(令和5年9月5日追記)
  • 電子メールアドレス: kityo11@mz.pref.chiba.lg.jp 
    (このアドレスをコピーして、「送付先」に貼り付ける)
    千葉県総合企画部政策企画課企画調整室宛て
    ※特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づき、上記の電子メールアドレスへの広告宣伝メールの送信を拒否いたします。
  • 件名は「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例の骨子案に関する意見」としてください。

(2)郵送する場合

  • 〒260-8667 千葉市中央区市場町1-1 千葉県総合企画部政策企画課企画調整室宛て

(3)ファックスを使用する場合

  • ファックス番号:043-225-4467 千葉県総合企画部政策企画課企画調整室宛て

 

 

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NHKスペシャル”冤罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜 恐ろしすぎる権力の犯罪

2023-09-28 23:55:31 | えん罪

9月24日放送された

NHKスペシャル”冤罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜

が日本中に衝撃を与えています。

“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜 - NHKスペシャル

“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜 - NHKスペシャル

なぜ“冤罪”は起きたのか―。3年前、軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の中小企業の社長ら3人が逮捕された事件。長期勾留ののち異例の起訴取り消しとな...

“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜

 

ありもしない「犯罪」をねつ造し、無実の人間を死に追いやった国家権力の恐ろしさ

3年前、軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の中小企業の社長ら3人が逮捕された事件。長期勾留ののち異例の起訴取り消しとなった。会社側が国と東京都に賠償を求めている裁判で今年6月、証人として出廷した現役捜査員は「まあ、ねつ造ですね」と語り、捜査の問題点を赤裸々に語った。

現職の警視庁捜査員が、自ら担当した事件について、法廷で「まあ ねつ造ですね」と、認めた異例の事件

事の発端は2年前「軍事転用可能な器械を中国に不正輸出した」として中小企業の経営者ら3人が逮捕された事件

容疑を否認した3人を待っていたのは1年近い長期勾留

一人は無実を訴えたまま勾留中に病気で獄中死した。

しかし事態は思わぬ展開を見せた。逮捕から1年半後、検察が起訴を取り消した。事件は“えん罪”だったのだ。

無実の人間を死なせておいて、謝りもしない 申し訳ないとか そういう話も何もないんですよね

逮捕容疑はこの会社の主力商品「噴霧乾燥機」の不正輸出だった

噴霧乾燥機は、液体を粉状に加工する機械。機械内部に液体を噴霧し、そこに熱風を加えて急速に乾燥させる。粉ミルクや医薬品の製造などに利用される。

そのため有害な菌を粉にした生物兵器に転用される恐れがある、と疑われた。

しかしこの機械では感染性のあるような毒物、危険性のあるものはやれない。粉がふわっと出てきちゃうので、周辺の人が感染しちゃう

事件の捜査は不正輸出などを操作する警視庁公安部外事第一課第五係が中心となった。

国際的に合意された規制要件「disinfected」は「消毒:化学薬品を使って菌を殺滅」する、という意味だが、日本語マニュアルでは「殺菌」というあいまいな言葉に訳されていた。

そして問題の噴霧器には「消毒」装置はついていなかった。つまり、「規制対象外」なので、無実は明らか、ということになる。

もし「熱風で殺菌可能」だとすれば、ほとんどの噴霧乾燥機が規制にひっかかる、という変なことになってしまう。だから経産省も最初は「規制対象外」、つまり問題ない、としていた。

なぜ公安はえん罪をでっち上げたのか?

なぜ第五係は「事件化」することにこだわったのか?

匿名を条件に、警察関係者から証言を得た。

 

不正輸出を専門とする第五係は近年、目立った成果が上げられない。

このままでは人員を減らされ縮小させられる

経産省に「問題ない」と言わせるな。言わせたら事件は終わり

このえん罪事件、警視庁公安部長が動いたと聞いている(警察官の証言)

取り調べの中で「中国のバリバリの軍事組織に流れている」と捜査官がウソを言ったので、逮捕された会社役員が「ユーザーリスト(経産省の懸念先)に載っているのか」と反論。もちろんユーザーリストに載っているはずもなく、ウソがバレてあわてた捜査官は「ユーザーリストに載っていなくてもバリバリ」なんだと、訳の分からない言い逃れをした。

噴霧乾燥機の「測定口」は袋小路になっているため熱風がいきわたらず、熱風によって機械内部のすべての菌を殺すことはできない。つまり「測定口」の温度を測れば、会社側の無実が明らかになってしまう。

だから警察はこの「測定口」の温度をワザと測らなかった。

警察が勝手に作ったストーリーを書いた「弁解録取書」に「サインしろ」と言われたが、「こんなことは私は言っていない」と抵抗したところ、その個所を直したふりをして、「直したからサインしろ」と言われたが、直してなかったのでサインを拒否したところ、ようやく直した。しかし前のうその録取書が残っているとまずい、と、うその録取書を処分してしまった

自分の出世のためにえん罪をでっち上げた公安の第五係長

警部から警視へと昇進

警察内部でこうした不正に疑問を持った警察官が、こう言っています。

この放送を見た人たちの驚きと怒りの声がネットをにぎわせています。

組織を守るため、自分が出世するため、えん罪をでっち上げ、無実の人間を獄中で死なせた警察官が罪を償うどころか、出世してしまう「異常な」世界、「公安」。大切な家族を獄中死させられた遺族の怒りと悲しみは深い。

(Wedge ONLINEより)

冤罪はなぜ起きたのか?捜査員と組織の本音を描く

冤罪はなぜ起きたのか?捜査員と組織の本音を描く

捜査員による衝撃的な証言

 2020年3月11日、機械メーカーの中小企業である大川原化工機(横浜市都筑区)の大川原正明社長ら3人が、軍事転用可能な機械を中国に不正輸出した容疑で逮捕された。その機械とは、同社の主力製品である「噴霧乾燥機」である。

 液体を噴霧状にして熱風によって粉状に加工する。粉ミルクや医薬品の製造に使われている。乳酸菌の一部の菌は生きたままの状態で粉状にすることも可能である。

 警視庁公安部外事第一課の第五係が大川原社長らの逮捕という“冤罪”の事態を招いた。取材班は公安部内でいったい何が起きていたのか、捜査は“冤罪”に至る前に止めることはできなかったのか、独自に入手した捜査資料を読み解くとともに、警察関係者らにインタビューした。

 刑事事件は起訴の取り下げとなり、大川原加工機側が原告となって国と都を被告とする民事訴訟の場に移っている。この訴訟は東京地裁で9月15日に結審し、12月27日に判決が予定されている。

 6月30日の証人尋問のなかで、原告側の弁護士がこの事件を担当した第五係の捜査員X警部補に対して「事件をでっち上げたというふうに言われても否めないんじゃないかなと」と尋ねると次のような衝撃的な証言を引き出した。

 「まあ、ねつ造ですね。捜査員の個人的欲というか動機がそうなったんではないか」

 ちなみに訴訟の証人となった第五係の係長の警部とX、Y、Zの各警部補のうち、XとYの2人だけは“冤罪”の認識を法廷で表明している。

 取材チームが掘り起こした数々の事実は、この事件の裏で起きた特異な事象と、歴史的に“冤罪”事件を生む構造的な問題点を浮き上がらせる。

警視庁が打ち出した独自の解釈

 ドキュメンタリーの中核を紹介していく前に、軍事転用可能の容疑を着せられた「噴霧乾燥機」について経済産業省の省令についてみていきたい。

 噴霧乾燥機の中でも「(機械を分解しない)定置した状態で内部の滅菌又は殺菌ができるもの」は、生物化学兵器の製造などに使われてしまうため、輸出できない。つまり生物化学兵器を幾度も製造する過程では、菌をいった無害化して製造している人に害が及ばないようにする必要があるからである。

 この省令は国際的なオーストラリア・グループ(AG)が生物化学兵器等の不拡散を目的として合意している基準に則っている。ただ、日本の省令の「殺菌」という翻訳は若干本来の合意との間にあいまいさがある。

 AGの基準の殺菌とは「disinfected(消毒)」であり、化学薬品を使って菌を殺滅する意味である。このために「CIP」(自動洗浄装置)と呼ばれる薬品で自動的に菌を殺滅する装置が付属している。

 大川原化工機の噴霧乾燥機にはそもそもこのCIPがついていなかった。警視庁公安部は独自の解釈を打ち出す。

 製品加工に使っている「熱風」によって経産省の省令にいう「殺菌」が可能だというものである。省令には殺滅の手段の定義がなかった点をついた形だった。しかし、経産省も当初は公安部の解釈は「適用を広げるものである」として、公安部との打ち合わせは平行線をたどった。

 17年10月から始まった両者の協議が4カ月後に方向転換する。

 民事訴訟において原告の大川原化工機側の弁護士が「(経済産業省の姿勢は)いつ変わったんですかね」と尋ねると、X警部補は「(18年)2月8日です。ガサ(強制捜査)はいいと」。

 原告側弁護士が重ねて「経済産業省側から何か(理由や背景について)説明はなかったですか」。

 X警部補は「ありました。(警視庁)公安部長が動いたと聞いていると」。

 経産省側でX警部補と協議していた課長補佐は法廷で「(公安部長の動きについて)あったかどうかと言うと分からないです」と答えた。

 取材班が当時の公安部長に電話インタビューすると「コメントする立場にない」と繰り返すのみだった。

なぜ、捜査は止まらなかったのか

 第五係は、強制捜査にあたって大川原化工機の噴霧乾燥機を使っている中小企業で「熱風」による殺菌の実験と、防衛医科大学校長で微生物学の権威である四ノ宮成祥さんの証言を提出していた。 

 そもそも同社製の噴霧乾燥機を設計したのは、逮捕拘留中に病が見つかって亡くなった相嶋静夫さん。逮捕前の公安部による事情聴取について大川原社長に対するメールの中で、捜査員に「熱風」によって完全に菌を殺滅することは不可能であることを説明した、と報告していた。

 機械の「測定口」と呼ばれる部分は、袋小路のような設計になっていて熱風が行き渡らずに温度が上がりにくく、すべての菌を殺すことはできない。

 取材班は、公安部が実験した大川原化工機製の噴霧乾燥機を使っている中小企業を訪ねた。この会社の代表は「この機械で菌を完全に殺すのは不可能だ」と捜査員にいったと証言する。

 防衛大学校長の四ノ宮さんに捜査員が書いた調書をみせるとまったく真逆の証言になっていることに驚きを隠せない。「熱風を送り込めば細菌が死滅する。輸出規制貨物に該当すると思っています」とあった。

 四ノ宮さんが捜査員に話したのは「殺菌はあいまいである。規制の対象が広がる」というものだったのに。「逮捕起訴ありきでそちらの方向に向かって都合のいい結論にしてしまったということなのかなと思いますけど」と推測する。

 “冤罪”に至らないで済んだ瞬間は幾度もあったようにみえる。

 大川原化工機側も強制捜査までに捜査に協力的だった。中国内の軍事転用の疑いが指摘されると、中国内の製品の所在を把握してリスト化し捜査陣に手渡しもしている。大川原社長をはじめ、役員や従業員らも任意の事情聴取に約300回も応じている。

 なぜ捜査は止まらなかったのか。取材班は広範な警察関係者のインタビューをしている。

 「不正輸出を専門とする第五係は近年目立った成果が上げられていない」

 「第五係の幹部は『このままでは人員を減らされ縮小させられる』『経産省に殺菌概念が無いといわせるな。経産省がそれをいったら事件は終わり』と言っていた」

 「無理筋だと思うところもあったが、組織内の筋を無視して『これをやれ』といわれれば従わざるを得ない」

大川原化工機の社長ら幹部3人が逮捕されてから3人とも容疑を否認した。拘留は1年近くの長期に及んだ。令和3年版警察白書ではこの事件を「経済安全保障」の項目のなかで(無許可輸出)として警察内部で高く評価されていた。

「止められる方法は思いつかない」

 逮捕から8カ月後、警視庁内部からの告発状が大川原化工機に届く。差出人は警視庁の名前で住所も所在地である。今回のドキュメンタリーで大川原社長が金庫のなかから告発状を取り出して初めて撮影させた。

 「匿名での文章で大変申し訳ありません。地方公務員法に抵触するおそれがあることから、本名を明かさず、文面にて連絡させていただきます。不審と感じることと存じますが、ご容赦願います。
 担当直入(ママ・単刀直入)に記しますと、
 警察庁に■(黒塗り、本文には名前あり)捜査員がおり、貴社へも何度か出入りしていると記憶しています。彼は貴社側に立った見解を持っており警察組織の意向とは関係なく、自分の意見を貫くタイプの人間です。
 貴社に有益かつ警察側に不利益となる情報が明らかになると確信しています」

 この内部告発状が届いてさらに8カ月後に起訴が取り下げられた。

 取材班は告発状を送ってきた匿名の警察関係者に接触することに成功する。ちなみに、民事訴訟において、“冤罪”の可能性を証言しているX、Y警部補とは別人である。

 「(拘留中に病が見つかり亡くなった)相嶋さんの死については自分の親だったらと思うと本当に申し訳ない。今、捜査当時に戻ってもこうすれば止められたのかという方法を思いつかない。上層部がそろって応援し、令状もある。そこで違うと言い出すには勇気がいる。自分には止める力がなかった。やりそうな人材は組織にはまだまだいる」と。

 民事訴訟において、裁判長がX警部補に発言の機会を与えた。

 「輸出自体は問題ないので、あとは捜査員の個人的な欲というか動機がそうなったんではないかと私は考えます」

 裁判長が「欲を抱くような具体的な理由とかについてご存じのことというのは」と尋ねると。

 「定年も視野に入ってくると自分がどこまであがれるのかと、そういったことを意識されたんではないかなと思います」

 

 

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Narashino gender 22  日本女性史koki版⑭ 中世の女性Ⅴ 中世のイエと女性

2023-09-28 08:45:30 | ジェンダー

中世のイエと女性

  • 四季農耕図屏風 国立歴史民俗博物館

イエの確立と主婦権の成立

中世のいちばんの特色は、社会基盤としてのイエ(家)が未熟ながらも、どの階層にも成立したことである。貴族層では10世紀から。庶民(農民)層に関しては古代共同体が生き続けていたが、11世紀後半になり、イエ(在家)が課税の単位になることでイエ制度は成立した。

  • フリードリヒ・エンゲルス

イエは、家長になるのは基本的に男性だけ。この家父長制は、現在の日本でも戸籍、課税制度や社会保障制度として生き続けている。エンゲルス(「家族・私有財産・国家の起源」)は、家父長制家族の成立は「女性の世界史的敗北」で、女性の男性への従属が始まったと記している。

日本の中世の男女の結びつきは、これまでの緩く離合を繰り返す(対偶婚・ゆるい一夫一婦、不倫OK)ではなく、単婚(現在の一夫一婦制)へと移行し嫁入り婚でイエを形成するにいたった。同居する夫婦が家名と財産を父系直系で継承する。

ただ、財産相続は男女が対象、婚外子も財産分割し分家も許された。遺族の兄弟にも一代限りで分けられた。夫婦は結婚すると独立して夫の親とは同居しない。妻は実家の氏を名乗る(例えば「藤原氏女(ふじわらうじのにょ)など、結婚しても実家の成員と考えられていた。また、男女共同社会のなごりで女性の従属度がさほど強くなく、家長に従うことになっても、家のなかは家長の妻が取り仕切る強い権限をもつ(主婦権の成立)。

具体的には、農業労働の田植え、草取り、養蚕、稲刈り、脱穀。家の中の統括、食料の分配、下人への差配…。主婦権はイエが成立してからできたもので、家父長と対等なものでなく、飲食店の労働者が「名ばかり店長」になったようなもの。店長以外は店長に従う存在で、その数のほうが圧倒的で、経営側の言うなりだと名ばかり店長は心身ともに苦労が絶えない。

現在も、主婦はアンペイドワークの家事労働や教育、介護の重荷と責任を負い、企業の「単身赴任」制度、地域活動やPTA活動などまで、「主婦権」に依存している。それを、いまだに主婦権=女性の権利と勘違いし、差別はないという高齢者や保守政治家も多い。

イエ制度、お分かりになりましたか? 日本の女性が従属させられているのは、その原因が個人の父や夫ではなく、イエやイエを前提とした国家体制なので、女性を苦しめているイエ制度は男女差別から外せません。

 

惣村という自治団結組織

中世の、朝廷と武士による二元政治は、一つの土地支配においても、それぞれ職(しき)があり、貴族は「領家」、武士は「地頭」、有力農民は「名主」などの支配が混在し、それぞれ取り立てを行った。そんなのアリ? 武士団は「惣領(そうりょう)・跡取り」体制をとり同族結合を図ったが、鎌倉時代には分割相続(相続した地主が複数いる)や蒙古襲来の財政困難の負担転嫁などで所領が細分化されて、惣領制は解体していく。

  • 柳生の徳政碑文 正長の土一揆で周辺農民の負債が帳消しになったことが記されている

一方、鎌倉末期から室町にかけての弱小農村では共同で村を維持する「惣村」という自治組織ができる。惣村では「惣掟(そうおきて)」という村独自の規約があり、警察権や裁判権も独自で行使した。運営は「寄合」という会議で「乙名(おとな)」という年寄りが指導し、「若衆」という若者が警察業務などの実務にあたった。対外的にも年貢を惣村が請け負い、近隣との用水をめぐる争いには領主や幕府の法廷で争った。天皇や武士の代替わりには「土一揆」という交渉(反乱ではない)をやった。荘園の統治者の代替わりには、土地や物品が元の所有者に戻るという社会通念があり、守護や地頭の解任を要求することや年貢の減免も正統な権利だと考えられていた。統治者による体制の変化に翻弄されては生きていけない、みんなで団結、連帯するという惣村はぎりぎりの戦いだが、民主的。抵抗運動だけでなく、ぼろぼろの朝廷や幕府の未熟な統治を軌道修正する装置として一時期機能していたが、惣村は武士政権の確立とともに衰退していく。同時期にイエのあり方は大きく変わる。

 

イエの確立と家族同居でない女性

イエ制度は、まず朝廷に仕える役人(官人)の地位継続や子どもへの継承からスタートした。次に貴族層や豪族層の所有地安定のために、農民層の家単位の課税化。イエを単位として、男女を分断するのは、どの国も同じ。男性のエゴと支配欲に貫かれている。それが「女性の歴史的敗北」。

中世後期、財産は跡取り単独相続となり、それ以外の子どもは一期分(本人生存中のみの分与)。名字や家名が形成され、夫婦同姓もでき、妻は実家とは切り離され、婚家の一員となる。

中世社会には、家族を形成しない人々、できない女性が多数存在した。豪族や朝廷などの家政を担当しながら独身で一生を終える奉公人。天皇の子を産んだ宮仕えの女房。公家や武家の子女で僧侶や尼になった者。遊女や白拍子などの芸能人も独自の家族形態をとったし、生産や商業分野を支える職人スキルをもつシングル女性も多数いた。飢饉や戦争で荘園から追われ、最下層にいた人々も増えつつあった。女人禁制の寺の周辺には、寺の下働きをする結婚していない女性がたくさんいた。そのようなイエ制度から逸脱した女たち。捨て子や姥捨ても抵抗なく行われている世相だが、一律に不幸とはいえない。中世という不安定な時代でも一人で生きるという女性の自由さは認められていた。家父長権が強まる近世の封建時代になるとそうはいかない。女性はモノ扱いされ、政略結婚、人身売買、売春という女性にとってお先真っ暗な時代。

現在、シングルが増えていることについて、女性たちの意識がback to the future、現在から封建時代を吹っ飛ばして、中世にもどりつつあるのではないかと私は思う。時代遅れの家父長制が今も残る日本社会で、「結婚願望に囚われていると人生ロクなことはない」と男女ともに結婚にそっぽを向け始めた。私はもち、<いいね!>だよ。ひとりでも生きられる社会にしなきゃいけない。

  • 男女の年齢別未婚率

  • 男性の年収別未婚率

売買春の始まり

日本の売買春は10世紀前後(平安時代)のイエ制度成立で始まる。世界的にみて、もっとも遅い部類。売買春は奴隷制や人身売買と結びつき、西洋は古代文明時代から、中国では唐時代から遊郭が存在していたから、日本の古代のジェンダー平等社会がどれだけすごかったかを改めて思う。

女性を隷属化させたイエ制度は、女性の性を商品化させた。貨幣経済を背景に女性の性を買う男性が増加していく。芸能と売春が一体化していた遊女や白拍子も、かつては芸能が主であり売春は従であったが、平安時代後期になると、遊女に求められたものはもはや質の高い芸能ではなくなり、路上で客を誘う遊女は「立君」、辻子(ずし・小路のこと)に軒をつらねている建物で誘うのは「辻子君」と呼ばれ、江戸時代の遊郭につながっていく。

  • 七十一番職人歌合・立君 武士が松明を突き付けて「顔を見せてくれ」といい、立君は笠に手をかけて「さあ、見てください」と顔をあらわす。京都清水寺の周辺には遊女がたくさんいた。

男子の同性愛もイエ制度がダメにする

当時の貴族社会では、男子の同性愛(男色)も当たり前のこととする風潮があり、平治の乱も男色関係のもつれが原因とする研究者もいる。僧侶の世界や戦場など、まわりは男性しかいない特殊な世界ではない。妻も妾もいて遊女を買うこともある両性愛。藤原頼長の日記には関係のある7人の男性の公卿の名前をあげ、男色の快感を記している。このおおらかさ。本人は有頂天でも、左大臣の座を利用した性加害だったかもね。

平安時代に始まった女性の性の従属や売春は、本来の男性の性にも大きな影響を与えてしまい、江戸時代に入ると「男色」は衰退していく。そして千年たつと、LGBTの男性を「隣に住むと気持ち悪い」といった歴史オンチの首相秘書官が出現することになるんだね。

  • 藤原頼長(左大臣)と荒井勝喜元首相秘書官

 

外国人が教えてくれる日本固有の伝統と文化

  • 南蛮屏風

今の時代から、中世を覗くより、中世に日本に来た外国人からみた日本の記述のほうがピンとくることもある。日本は政治、社会、文化、最初はなんでも中国文化を取り入れてきて、鎌倉から室町時代には中国文化を脱ぎ捨て、日本独自の文化が現れた。大きな歴史の転換点。

それを知るには、室町末期から戦国時代にかけて日本に滞在したイエスズ会(キリスト教カソリック)の宣教師たちが残した日記や書簡、記録などを読めば、よく理解できるのではないか? 例えば織田信長、私たちはほぼ一枚の肖像画でしかみられない存在だけど、これらの宣教師たちは信長本人に会ってる。数年しか滞在しなかった人もいるので誤解もあるけど、本国へのレポートとか日記なので忖度はない。これから読んでみよう。

よくわからないで書いたというのなら、「日本民族の文化、伝統だから守りましょう」と言ってる人だって、昔のことはよくわからないで言ったり書いたりしている。

特に男女関係や夫婦関係のプライベート…もろもろの女性に対する抑圧。ジェンダーバッシングで今あれこれ言ってる人も、100年も生きていないわけだから、歴史を学ばないで、「伝統」「文化」というのを根拠にしないでほしい。それに歴史的にみても、日本人は伝統を変えたり廃止したり、場当たり的だが判断してきた。悪い伝統や文化はやめるべきだし、いい伝統や文化は残すべきだが、いい伝統や文化の価値判断の主体は誰だろう?時の政治が誤って採用する「歴史」とは?

それに安倍さん以降、歴史修正主義者が政治権力とつながって、力をもつようになった。南西諸島の軍事基地化に関心がうすいことを考えていて、教科書問題を思い出した。

 

教科書の沖縄戦にみる歴史修正

  • 不合格「新しい日本の歴史」(市販本)

2015年に菅義偉官房長官(当時)は、翁長知事との会談で、「私は戦後生まれの者ですから、歴史を持ち出されたら困ります」と辺野古の新基地に関する協議をさえぎった。

2015年の教科書検定、歴史修正主義者による「新しい歴史教科書をつくる会」の「新しい日本の歴史」は、検定合格。2021年はこれまでと全く同じ内容だが、不合格。そのなかの沖縄戦の記述。「この戦いで沖縄県民にも多数の犠牲者が出ました。日本軍はよく戦い、沖縄住民もよく協力しましたが、沖縄戦は6月23日に、日本軍の敗北で終結しました。」

この記述にはいくつもの事実の誤りがある。

・沖縄戦の犠牲者数→米国軍1万2520人、日本兵1万5908人、沖縄県民12万2000人。この圧倒的な一般住民の「多数の犠牲者」がこの記述ではみえてこない。

・沖縄戦の終結日→6月23日は日本軍トップの牛島司令官が「最後迄敢闘悠久の大義に生くべし」、つまり降伏でなく死ぬまで戦い続けろのメッセージを残して自決した日。この日以降も戦は続き、南西諸島の日本軍が全面降伏に調印したのは9月7日。

・沖縄住民もよく協力→学徒を動員する法的根拠もないのに、「軍官民共生共死」で21の中学校のすべての男女生徒が戦の最前線で軍隊と共に行動し投降も許さず、集団自決に追いやった。日本軍は食料強奪や防空壕から住民の追い出し、沖縄語を話す住民をスパイ容疑で処刑、住民虐殺も起きている。これが「よく協力」ではないことは明らか。沖縄戦生き残りの人々は沖縄戦の実態を検証し、「軍隊は住民を守らなかった」という教訓を胸に刻む。

歴史は、その時代を生き抜いた人々の目線で伝えなければならない。「戦後生まれ」の私たちもその戦争経験を受け止めなければならない。中学生が学ぶ教科書が旧日本軍の目線で語られ、子どもたちに「国に殉ずることは美しい」と思わせるようなウソや隠蔽を事実をねじ曲げて記するのは許されない。

 

鎌倉時代から戦国の世、徳川政治までの封建時代の女性史に入るまでに、次回は宗教(仏教、神道、儒教)と女性について書いてみます。寺にも神社にも関わったことのない私が、神・仏のことを書くのですから、えらい大変。まず仏教。京都のお寺の現役僧侶の方にお願いして、チャットでやりとりしながら挑戦します(koki)

 

 

 

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