新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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プリムラ・ポリアンサ(異型花柱の)

2010-03-01 07:14:10 | 植物観察1日1題


色とりどりのプリムラ:西洋桜草(サクラソウ科サクラソウ属)で園芸店の店先を賑わせています。この花の蕊の部分をよく見ると、二つの異なった形があることに気づきます。
サクラソウの仲間は、花粉を作る雄蕊の葯と花粉を受粉する雌蕊の柱頭の高さをそれぞれ違えた2つのタイプの花をつけ、花粉も大小2種類を作りわけています。チャールズ・ダーウインが発見した異型花柱性という性質です。
送粉者のマルハナバチが長花柱花から蜜を吸うと花粉の多くは口先に付き、このハチが次に短花柱花にいくと、口先の花粉は短い雌蕊に移り、口の基部に新たに花粉が付きます。こうしてサクラソウの仲間は自分の花粉を受粉しないようにして近親交配を避けます。さらに同じタイプの花粉では種子ができない生理的仕組みも持っています。
写真は花が多いという意味をもつプリムラ・ポリアンサ種で、ちなみに、こぼれ種で芽が出るので、どこの家にもみられるプリムラ・マイコラデス(06年3月11日記事)は、改良園芸種のため、長花柱花しかありません。
園芸店にはプリムラの仲間はたくさん並んでいますが、日本古来の野生のニホンサクラソウは、自生地が減り、絶滅危惧種に指定されています。数少ない自生地の埼玉県浦和市田島ヶ原のサクラソウは、特別天然記念物として保護されています。ところが、ここでは周囲の都市化によって、マルハナバチの訪花が少なくなり、自分で種子を作れなくなっているといいます。
植物と昆虫が作り上げてきた造形で巧妙に遺伝子の多様性を保とうとしてきたニホンサクラソウが、共同作業の相手方の減少で思わぬ危機に瀕しているのは皮肉な限りです。

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