思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2014年10月 ③

2021-02-12 12:25:05 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年10月 ③>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。
なんの気まぐれか、星をつけていますが、
来月には飽きる予定です。


『桜姫』近藤史恵
☆☆☆
女性のモノローグがイマイチか。
と思ったけど、『ガーデン』よりは良かった。

(この作者さんは歌舞伎を舞台にした作品が多いそうです。
 レギュラーは大部屋役者の瀬川小菊と探偵の今泉文吾ですが、
 『桜姫』の主人公は大物歌舞伎役者の「愛人の娘」笙子。
 本家に引き取られる以前に起きた、跡取り息子(異母兄)の謎の死。
 亡兄の親友と名乗る女形役者と追う過去の真相。
 歌舞伎シリーズ3作目(今泉探偵モノでは4作目)ってことを知らずに読んだので、
 レギュラー陣の人間関係とか性格がよくわからず、
 のめり込めなかった感があります。残念)


『ABC殺人事件』アガサ・クリスティ
☆☆☆
クリスティがミステリの手法のほとんどを
ひとりで確立してしまったという説は本当なんだなあと。
しみじみ。

(有名すぎる作品ですが、
 改めて読むとやっぱりおもしろいんですよね。
 Aで始まる地名のイニシャルA・Aが殺され、
 次はBで始まる地名に住むB・B、その次はC・Cが…
 って、導入から面白いし、ワクワクする!
 クリスティはやっぱりすごいわー)


『眠りの森』東野圭吾
☆☆
加賀刑事もの初めて読んだ。
バレリーナの話し。

(<加賀恭一郎>シリーズの2作目。
 シリーズ8作目の『新参者』のドラマ化で有名になりましたね。
 阿部寛の濃い顔が印象的な加賀刑事が日曜ドラマに登場したのが2010年。
 ついでに『新参者』がこのミスを獲ったのも2010年。
 なので、<加賀恭一郎>シリーズってその頃に始まった作品かと思ってました。
 加賀刑事の初出は東野圭吾のデビュー2作目、1986年。
 2作目の『眠りの森』は1989年です。意外と古いっ!

 しかも、3作目以降の中期作品は、
 狂言回しというより脇役的な立場で事件に関わる作品が多い。
 要するに、1990年代は<加賀恭一郎>シリーズと言いつつ、
 あまり目立たない人だったんです。

 というわけで、アレですよ。
 2014年当時の読書メモに「初めて読んだ」と言ってる私ですが、
 読んでますよ、加賀シリーズ!
 『悪意』『どちらかが彼女を殺した』と、2冊も読んでる!!
 我ながら記憶力がアレですが、まあ、当時の自分を擁護しても
 いいかな、というくらい加賀刑事は出てこないけど)
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【読書メモ】2014年10月 ②

2021-02-10 14:03:41 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年10月 ②>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。
なんの気まぐれか、星をつけていますが、
来月には飽きる予定です。


『魔王』伊坂幸太郎
「魔王」と「呼吸」の中編二本。
「魔王」の主人公・安藤は自分に「考えろ考えろ」と言い聞かせ続ける。
弟の潤也は、頭は良くないけれど直感が優れている。
「呼吸」の途中で読むのやめちゃったんだよな。
なんだか消化不良。

(長編『モダンタイムス』の前日譚といった位置付け。
 『魔王』と『呼吸』は序章っぽい作品というか、
 不穏な雰囲気を撒き散らかして
 結末は読者に委ねるというか、思わせぶりな終わり方というか。
 そういう意味でもセットで読んだ方が楽しめそうです。
 私はバラバラに読んだうえ、記憶力もアレなので
 いまいちのめり込めないまま終わってしまった…)


『赤い糸の呻き』西澤保彦
☆☆☆
読みやすい短編集。
なんか女性同士の同性愛ネタが多くないか。

(ノン・シリーズの短編集。
 キャラクターの習作も兼ねていたのかな?
 どれも、ちょっと濃いめの設定の登場人物ばかりです。
 ちなみに『お弁当ぐるぐる』は“ぬいぐるみ警部”の初出。
 だから『ぬいぐるみ警部の帰還』はシリーズ一作目なのに
 タイトルが“帰還”なんですね)


『必然という名の偶然』西澤保彦
☆☆
櫃洗(ひつあらい)市のスピンオフ。
大富豪探偵・月夜見ひろゑが出てくるが、
大して探偵していないような。
高校の教え子に押し掛けられる先生がいたけど、
でもやっぱり手を出しちゃダメですよ。という感想。

(櫃洗(ひつあらい)市というヘンテコな名前の人ばかり住んでいる
 ヘンテコな名前の街は、『腕貫探偵』の舞台です。
 で、今回登場している大富豪探偵は、
 腕貫探偵の長編『モラトリアム・シアター』に再登場します)
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塩野七生『わが友マキアヴェッリ』読後の親近感すごい

2021-02-09 17:37:56 | 日記
塩野七生『わが友マキアヴェッリ』読了。

タイトルからして、塩野先生はマキアヴェッリに
親しみ持ちまくりだなあと思うけれど、
読み終わると、マキアヴェッリが愛しくてしょうがなくなります。
がんばれマキアヴェッリ!
再就職は難しいと思うけど!!
でもがんばるんだ!!!あと家族にお金を渡すんだ!!!
と。

ちなみに私はマキアヴェリズムのことをよくわかっておらず、
マキアヴェッリのこともフィレンツェのことも
メディチ家のこともちゃんとわかってなかったので、
大変勉強になりました。
今回もありがとうございます塩野先生!

冒頭に紹介された「文学史上、最も有名で美しい手紙のひとつ」は、
初読の際はピンと来なかったけれど、
第3部まで読んで再読すると涙無しには読めないな!となります。

44歳まで薄給ながらも幸せに働きまくっていたのが、
突然の解雇と投獄と借金である。
普通だったらフィレンツェ嫌いにならないかな。

政治的に目指すべき君主像は
善人とは言い難いローマのチェーザレと思いつつ、
それでもマキアヴェッリは政治センスゼロのフィレンツェを
愛し続けたのかなあ。と。

しかしまあ、この本を読んでびっくりするのが
フィレンツェの政治のダメダメっぷりなんですが。
それでも文化面であれだけ花開いたのは凄いなあと。
びっくりですよ。
出張先のマキアヴェッリへの追加予算を
ミケランジェロが預かって行くとか、凄い共演。
同時代にダヴィンチやラファエロもいる。
すごい。

フィレンツェには、この時代の建築物というか
街並みそのものが現代に残っているのか、と思うと、
胸にくる。
フィレンツェを駆け巡った『インフェルノ』を読んでも
グッと来なかったけれど、
『わが友マキアヴェッリ』を読むと行きたくなる。
マキアヴェッリの別荘跡地からも、フィレンツェを遠く眺めたい。

でもヴェネツィアももう一回いきたい。
というか、どこか旅行いきたい…。
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【読書メモ】2014年10月 ①

2021-02-08 14:53:38 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年10月 ①>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。
なんの気まぐれか、星をつけていますが、
来月には飽きる予定です。


『名残り火』藤原伊織
☆☆☆
ハードボイルドかっこいい。
ナホコファレリーはモテ過ぎじゃないか。

同じような性格のハードボイルドおじさんの活躍でおなじみの
 藤原伊織作品ですが、
 こちらは『てのひらの闇』の続編で、
 主人公の堀江おじさんと美人部下の大原さんや飲み屋のナミちゃん等が
 再登場しています。
 現代日本を舞台にしてハードボイルドを描き切るって、
 相当な難易度だと思いますけど、面白いんですよね。
 この小説が、藤原伊織の遺作でもあります。もっと読みたかったなあ。
 合掌)


『真夏の方程式』東野圭吾
☆☆☆
相変わらず読みやすくて面白い。
ガリレオ先生がどういうとっかかりのもとで
推論を進めたかが一切なくて、
なんかエスパーみたいになってたけど。

(<ガリレオ>シリーズの6作目。長編3作目。
 初期からの相棒・草薙刑事と一緒に、
 後輩の内海刑事が登場します。
 内海刑事(柴咲コウ)はドラマ用のキャラクターだったのが、
 原作にブーメラン登場しましたね。
 と思ったら、映画版は内海刑事(柴咲コウ)がいなくなって
 また新キャラ(吉高由里子)が増えてるっ!
 なにはともあれ、安定の東野クオリティでおもしろかったです。
 最終的に、その手段を選んだ倫理観はどうかと思うよ、って思ったけど)


『不夜城』馳星周
☆☆
おもしろかった。
とはいえノワールは肌に合わない。
生理的にちょっと、というやつ。
ハードボイルドでは無いんだよな。
ただただ黒い。

(歌舞伎町を舞台に、上海マフィアやらの中国人裏社会模様が
 描かれています。
 主人公は日本と台湾のハーフ。
 他にも残留孤児2世だったり、元人民解放軍だったり、
 様々な生い立ちの登場人物が登場します。
 彼らの抱えている歴史と家庭の背景、葛藤が印象的でした。
 歌舞伎町というと学生時代に新歓コンパで行った
 激安居酒屋しか知らない私としては、
 驚きと衝撃の小説だったなあ。
 学ぶところも多くあったけれど、読後感としては、
 「ノワールこわい」です)
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【読書メモ】2014年9月

2021-02-05 19:08:18 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年9月>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。
いきなり星をつけ始めた笑
なんとなーく、5段階評価っぽいです。


『放課後はミステリーとともに』東川篤哉
☆☆
ラノベですね。

(もともと10代向けの雑誌に連載されていたようです。
 ラノベというのかジュブナイルというのかわからないけど。
 私立高校の探偵部が主役の、ライトに読める短編集)


『最終退行』池井戸潤
☆☆☆
銀行員って本当に性根の腐ったのしかいないのかな、
という気持ちになる。
いや、面白いけど。

(ザ☆池井戸潤といった感じの、銀行×大田区が舞台の
 土下座が横行しそうな物語です笑
 安心して読めるクオリティ!褒めてます!
 いろんな事件が勃発しながら
 ぐあーっとクライマックスに向かうタイプの長編なので、
 一気読み必須です)


『ぬいぐるみ警部の帰還』西澤保彦
☆☆
ラノベ感。
うーん、あまり重いもの書かれてもついていけないけど、
あまり軽すぎるのもなあ。
難しいもんだな〜。

(ここ数ヶ月、西澤保彦を読みすぎて、文句が多くなってきました笑
 こちらは、ぬいぐるみマニアのイケメン警部が謎を解く
 短編シリーズ。
 設定からして、ちょっとライトですよね。
 かる〜く読むのにちょうど良いです。半身浴しながらとか)


『光媒の花』道尾秀介
☆☆☆
さらっと読めて楽しめるのだけど、どうにも魅力を感じないんだよなあ。
なんでこんなに賞を獲れるのだろうか。謎。

(仄暗いような、ミステリーというよりはホラーに近いような、
 人間の深いところを疼かせるような、連作短編集。
 当時は「さらっと読める」と書きましたが、
 いま振り返ると、どちらかと言えば重めなテーマだと思う。
 それを単純に重いだけにしない技量がある作家さんなのでしょう。
 読後感は悪くないです。救いもある感じ。
 個人的には、ちょっと、合わないのだけど笑
 第23回山本周五郎賞受賞)


『パズラー 謎と論理のエンタテインメント』西澤保彦
ノンシリーズ短編集。
『蓮華の花』の成功した作家の母親との葛藤
(とも言えないほど静かなものだけど)の心理描写が
リアルだなあと思った。

(あちこちで発表したノンシリーズを集めた短編集。
 なので、舞台が日本だったり、アメリカだったり、
 雰囲気も幅がありますが、ハズレは入っていない一冊とも言える)


『スナッチ』
☆☆☆
北村薫の『スキップ』を思い出すSFもの。
文章が軽くておもしろかった。

(22歳の主人公が、ハッと気づくと53歳になっていた。
 というSF的設定なのですが、その理由が謎の微生物に
 体が乗っ取られたからで、
 そいつとちょっと仲良くコミュニケーションしちゃうあたり
 『スキップ』よりも『寄生獣』を思い出すかも。
 何はともあれ、なんとも西澤保彦的トンデモミステリで、
 私は好きです)
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