思惟石

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東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』

2021-02-19 12:27:43 | 日記
直木賞受賞作でもある『流』がすごくおもしろくて
注目していた東山彰良氏。
次は何を読もうかなあと思っていたのですが、
ブクログやアマゾンで評価が高めだったので
『僕が殺した人と僕を殺した人』を手に取りました。

タイトルだけだと、東野圭吾の作品にありそうですね。
そういう王道本格ミステリではないです。
素晴らしい東山ワールドでした。

冒頭、いきなりアメリカで連続殺人犯逮捕。
その犯人サックマンの過去とは、という導入から始まる、
1984年の夏、台湾、13歳の少年3人の物語。

もう、いきなり凄い引きである。
アメリカのロードサイドのピザショップから
突然の80年代台湾である。
ちょっと待っておいてかないで!
って感じでぐいぐい読んでしまった。

舞台となるのは『流』の9年後の台湾でもあるので、
共通の登場人物や聴き慣れた(読み慣れた)地名も出ます。
李爺爺(りじいさん)と郭爺爺(グオじいさん)、
廣州街、阿九(あじょう)の果物トラック、
胖子(パンズ)のファイヤーバード。
東山ファンはにやつくところではなかろうか。
(私はまだ二作目だけどファイヤーバードはうれしかった)

1984年ということで、オーウェル『1984』の話題もちょっと出る。
アガンの牛肉麺屋の名前が英語だとビッグブラザーになるのは
気が利いていて好きです。

不穏ではあるけれど、13歳なりの喧嘩や遊びや家庭問題に
向き合っている姿から目が離せず、
青春小説みたいに読み進めていたところで、
後半への転換点が来る。

え?あれ?そうなの?と思ってまた引き込まれます。
そうだった、サックマンの過去だった、
そして現在に至るのだった、いやちょっと待っておいてかないで!

結局、一気読みですよ。
おもしろかった!
コメント
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