思惟石

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ネレ・ノイハウス『深い疵』

2019-02-19 12:28:18 | 日記
ドイツが舞台の警察小説「オリヴァー&ピア」シリーズです。
訳者の酒寄(さかより)進一さんは、
私的にはシーラッハでおなじみってことで安心して手に取りました。

まずね、お伝えしたいのは、おもしろいです。
警察小説としても、ドイツやポーランドの歴史を学ぶ上でも、
読んで損はない一冊です。

ですが。ですがね。
これはシリーズ第一作目ではないぞ!!!!気をつけろ!!!
とだけ、言っておきたい。

この小説の紹介で
「ドイツで累計200万部突破の人気シリーズが遂に日本に!」
的な煽りがありまして、
てっきりシリーズ第一作だと思うじゃないですか。
これは、邦訳第一作であり、シリーズとしては三作目です。
まぎらわしいな!!!

というわけで私のように勘違いして読み始めると、
導入部分で、妙に、人間関係の説明が飛んでいる箇所や、
過去の事件への言及があったりして、「?」となることしばし。
まあ、大筋には影響ないので、そういうもんかと思って
読み進めれば良いのかもしれません。

ちなみに現在では、シリーズ第一作『悪女は自殺しない』、
第二作『死体は笑みを招く』ともに創元推理文庫で邦訳済。
出版順通りにも読めます。

『深い疵』のあらすじとしては、
ホロコーストを生き残った経歴を持つ80代のユダヤ人男性が
殺人の被害者になることから始まり…
って、なんだか重そうな導入ですね。
私もどんよりしました。

が、読み進めてみると、ミステリとしてテンポ良く
謎と謎解きとさらなる謎が出てきて
読みやすいし、物語にぐいぐい引きこまれます。

文体がけっこうドライで、私はそれも好みでした。
シーラッハを読んでいる感覚に通じるものがあって、
訳者がそういうタイプなのかな?
(シーラッハの方が文章は上手いとは思うけど)

テンポが良すぎて、
たまにストーリーに追いつけないところもありましたが…
(リッターは、いつインタビューをしたんだ?)
貴族出身のオリヴァー警部と、猪突猛進型のピアを中心に
ぐいぐい物語が突き進む感じ、おもしろいです。

シリーズ第一作からちゃんと読もうかな。

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