思惟石

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『怖い絵』 お得な文庫版

2023-11-08 11:17:22 | 日記
『怖い絵』
中野京子

この<怖い絵>シリーズは色々なバージョンが
存在するんですが(展覧会のムックとか)。
これは最初に出版された単行本の、文庫化バージョン。
(ちなみに脳みそポンコツで記憶消去されてましたが、
 この本、再読です)

文庫化で収録順が変わっていて、新しく2作品が追加されています。
お得!
収録作は以下の22作品。

ラ・トゥール『いかさま師』
ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』
ティントレット『受胎告知』
ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』(怖い絵のはじまり)
ブロンツィーノ『愛の寓意』
ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』
クノップフ『見捨てられた街』
ボッティチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』 
ホガース『グラハム家の子どもたち』
ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』
ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』
アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』
ムンク『思春期』
ライト・オブ・ダービー『空気ポンプの実験』(文庫追加作品)
ホルバイン『ヘンリー八世像』
ジョルジョーネ『老婆の肖像』
ルドン『キュクロプス』(黒一色の作風から色が溢れでた晩年の作品)
コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』
レーピン『イワン雷帝とその息子』(ロマノフ家にも収録)
ゴッホ『自画像』(文庫追加作品)
ジェリコー『メデューズ号の筏』
グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』

イタリア・ルネッサンス絵画は
「色のヴェネツィア、線のフィレンツェ」
だそうです。
前者がティツィアーノやティントレット。
後者がボッティチェリ。
メディチ家の庇護でおなじみのボッティチェリ。
「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」は
プッチ家(メディチ家の縁戚)の息子の結婚祝いの連作絵画。
ボッティチェリのパトロンは通称イル・マニフィコ(=偉大な)のロレンツォ。
ド派手なテキスタイルでおなじみのファッションデザイナー、
エミリオ・プッチはプッチ家の末裔。
どうでもいいけど、プッチ柄ってアンミカさんっぽいよね。

「メデューズ号の筏」のジェリコーは裕福だったので、
自分が描きたいものを描けた人。
ナポレオン失墜後の王政批判を込めた本作が生まれた所以。
たった32歳で夭折し、最後の言葉が「まだなにもしていない!」。
このセリフ、他でも聞いたことある気がするんですが、
ゲーテの「光を」とかとごっちゃになってるのかな。

「イーゼンハイムの祭壇画」は、めちゃくちゃ痛々しい磔刑図。
疫病で苦しむ人々のために聖アントニウス修道会に飾られていたもの。
中世の三代疫病が、ペスト・ハンセン病・聖アントニウス病。
3つ目だけ聞いたことないんですが、これ、
麦角アルカロイドだそうです。
あのナポレオン軍やカエサル軍も苦しんだやつだ!

中野さんはセレクトもいいけど、
とにかく解説がおもしろいし学びになる。

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