思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『メディチ家』 意外と脳筋かもしれない一族史

2023-04-18 18:40:06 | 日記
『メディチ家』
森田義之

講談社現代新書。
メディチ家の歴史を一通り俯瞰できる内容です。

イタリア人名って読みにくいしわかりにくいのだけれど、
何かとあだ名がつくのは覚えやすくてありがたいですね。

イル・ゴットォーゾ=痛風病み、
イル・マニフィコ=偉大な、
イル・ポポラーノ=民衆派、
みたいな呼び名がおもしろい。

メディチ家を大銀行家且つフィレンツェ有力市民として
確立した「称号を持たない実質上の王」は
コジモ・イル・ヴェッキオ。

イル・ヴェッキオ=老人。
おい。

あれかな?「始祖」的な意味なのかな?
純粋に「おじいちゃん!」なのかな…?

その後に続く絶頂期のメディチ家からは
レオ10世とクレメンス7世という、
ふたりの派手好き教皇が出ています。
ヴァチカンの宮廷化を進めた二人でもあるそうで。

この二人の頃は、フィレンツェが共和制になって
メディチ家が追放されたり、
フランスや神聖ローマ皇帝がイタリアにちょっかい出してきて
大変な時期でもあります。
それでも美術品の蒐集とパトロン業は欠かさない!
それがメディチ!

(ちなみにフィレンツェ共和制時代にソデリーニ体制下で
 役人としてがんばったのがマキアヴェッリ。
 だからメディチ家復帰後に再就職で苦労する。
 不器用なマキアヴェッリ…)

メディチ家といえば、銀行家で、派手好きで、
芸術パトロネージの一族。

メディチの人々がイベントごとに大盤振る舞いをする
いわゆる“演劇的祝典”は、
ルイ14世バロック期の「顕在的消費」のルーツらしいです。
おもしろいね!

メディチ家といえばカトリーヌ・ド・メディシス
(フランス宮廷にフォークとマカロンとテーブルマナーを
持ち込んだことで有名。息子は3アンリの戦いという
紛らわしいやつでヴァロワ朝最後の王になったアンリ3世)と
マリー・ド・メディシス(ルーベンスに描かせた自分美化史の
連作が有名。中野先生も失笑のやつ)。
女性はこの二人くらいしか有名人は出てないんですね。

ちなみに銀行家&芸術パトロンって、
知性と文化の香りしかしないじゃないですか。
その割に、身内に暴力沙汰や殺人沙汰が結構あるんですよ。
意外と脳筋な事件が多い一族でもある。
そこらへんも含めて、まるごとおもしろかったよメディチ家。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『逃亡テレメトリー』 読ん... | トップ | 『はじめての構造主義』 お... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事