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【読書メモ】2014年7月 ④

2021-01-20 15:30:16 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年7月 ④>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『検死官』パトリシア・コーンウェル
有名な賞を獲ったシリーズ小説らしいけど、
この主人公って本当に優秀な検死官なんだろうか。
イライラしてるだけで何も考えてない気がするのだが。

(1990年に初版。
 パトリシア・コーンウェルの処女作にして出世作でもあります。
 流行りましたよねえ。
 今だと科学捜査モノや、主人公が検死官や科捜研みたいな設定は
 小説でもドラマでも数多くありますが、
 この<検死官ケイ・スカーペッタ>シリーズがブームの先駆けだったと思います。
 謎解きという意味でのミステリ感はちょっと物足りないけど、
 アメリカの捜査周辺のディテールや社会環境と犯罪事情などは
 興味深い内容。
 とはいえ、今読むと、ちょっと古いなと思うかも)


『長い廊下がある家』有栖川有栖
(ネタバレなので文字を反転します)
アリスのトンデモ推理が長い廊下が回転するという
豪快なもので、そんなわけあるかーい、と思ったけど、
中庭がまるごと回転とかいうトンデモミステリー無かったっけ。
あと屋上を見上げて降雪器を思いつくって、
火村先生はもはや推理じゃなくて神の視点だ。

(反転ここまで)

(ネタバレのネタバレ補足なので、またもや文字を反転します…)
(中庭が回転するのも有栖川有栖先生でした笑
 『火村英生に捧げる犯罪』という短編集に収録されている一篇。
 やっぱり、そんなわけあるかーい、と思ったんですが、
 記憶力が無さすぎて、私、同じことを繰り返している笑)

(反転ここまで)


『これからお祈りにいきます』津村記久子
ひさしぶりにミステリではない小説。
やっぱりおもしろい。
サイガサマって本当にいそうなダメ神様だ。
最後のふきでもの半分って感じとか、すごくいい。
実家の下を走る断層を指摘されて
恋心が冷める男子校生ってのもすごい。
その恋心がまったく理解できないし共感できないのに、
なんか、すごい。
すごくいい。

(『これからお祈りにいきます』と
 『バイアブランカの地層と少女』の2篇を収録。
 表題作に出るサイガサマは不器用な神様だけど
 地元では愛されていて(?)、町は祭りの準備に余念がない。
 そんな中でイライラを抱えている10代のシゲルが主人公。
 物語のコアに「祈り」がある。
 読んだ私も、彼らのためにちょっとだけ「祈り」を捧げたくなる。
 と殊勝な感想を述べつつも、
 全体はちょっと脱力できるトーンで、心地よく読めます)

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