鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

東北地方について思うこと その1

2012-03-10 06:56:54 | Weblog
今朝の新聞(『毎日新聞』)に目を通すと、東日本大震災1年の関連記事とともに、警察庁がまとめた死者・行方不明、復興庁がまとめた避難者数が29面の右下に小さく出ています。それによると死者数は1万5854名、行方不明は3167名、避難者は34万3935人となっています。また1面には「不明者9割死亡届」とあり、岩手・宮城・福島3県で今なお計3151人に上る行方不明者がおり、その9割の2860人の死亡届が受理されている(9日現在)ことが記されています。死者・行方不明者の県別内訳を見てみると、そのほとんどは岩手・宮城・福島の3県に集中しており、巨大津波による死者・行方不明者が圧倒的に多かったことを示しています。しかも2月末時点での不明者の69%は60代以上であるという。避難者34万3935人の地域別内訳は記してありませんが、おそらくこの数の中には福島第1原発事故による放射能汚染による避難者数が多数含まれていることでしょう。1年前の3月11日に発生した巨大地震にともなって押し寄せた巨大津波は、高齢者の割合の多い地域に押し寄せて多くの犠牲者を生み、またこの巨大地震や巨大津波は、東京電力福島第1原発事故を引き起こして、その事故がこれだけ多くの避難者を1年後になっても残している大きな要因となっていることを示唆しています。その避難者数に占める高齢者の割合も、死者や行方不明者のそれと同様に高いものであると思われる。復興・復旧を阻む膨大な量の瓦礫の処理が一向に進まないのは、原発事故による広域にわたった放射能汚染およびその恐怖が足かせとなっているからであり、この「東日本大震災」の特異さを示しています。確かに、想像を絶するような巨大津波に東日本の海岸線一帯が広範囲にわたって襲われ、壊滅的な被害を受けたという点において、震災処理に向けての取り組みは厳しいものがありました。しかし、福島第1原発事故とそれによる放射能汚染があらゆる面でその取り組みの大きな足かせになり、現在も、そしてこれからも大きな足かせになり続けていくだろうという意味において、この「東日本大震災」は人類史上「未曾有の大災害」であると言わざるをえず、その認識から出発しなければ、高齢者や幼い子どもたちを含む多くの死者や行方不明者の慰霊や供養にはつながらず、またこれからをどう生きるかの教訓ともなりえないと私は考えています。 . . . 本文を読む