鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

津波と桜 その1

2012-03-14 06:14:34 | Weblog
『毎日新聞』3月11日(日)に別刷りで、東日本大地震でこれまでに死亡が確認された人たちの名前が居住地別に掲載されていました(各都道府県警が1年間に発表した犠牲者名簿を基にしたもの)。この別刷りの2面から7面にはびっしりと犠牲者の名前と年齢が記されていました。年齢は「昨年3月11日時点」のものであり、これを見るとやはり高齢者が圧倒的に多いことに否応なく気づかされますが、また一方で乳幼児の「0」とか「1」とか「2」といった痛ましい数字も目に入ってきます。もちろん児童生徒や若い人たち、また働き盛りの人たちの死亡者名も見られます。この名簿の中には行方不明者は当然のことながら含まれていません。3月11日のテレビ報道では、被災地の各所において慰霊や供養をする多くの人々や復興に向けて動き出した人々の姿が映し出されましたが、その中でもとくに私の印象に残ったのは、ある漁師の方が中心になって行っていた、津波が到達したところに桜の苗木を植える取り組みでした。その方は抱いた男の子に、「津波がきたら桜の木があるところまで逃げるんだよ。そこまで逃げれば大丈夫だから」といったことを話しかけていました。「ああ、桜か!」と私はその場面を見て、膝を打つような気持ちになりました。以下、それについての私の一つの「夢想」を記します。 . . . 本文を読む