某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

まあだだよ―吹矢競技会惨敗。

2013-05-04 02:36:19 | ぼやき
 「まあだだよ」という内容の映画があった。先月末に初めて同じような気分を味わった。
 「青柳杯」と言う吹矢高段者の全国大会がある。今年は例年より早く4月末に開催された。私は二度目の出場。去年よりはいい成績を出そうと張り切っていた。前の晩に、好きなパン屋さんで昼飯用のパンを買った。吹矢の筒を持っていたので「釣りですか」と聞かれ、吹矢の話になり、大会のことも言った。すると、「失礼ですが、そのお歳で。年齢別とかは無いのですか」ときた。「ジュニアはありますけれど、他は年齢も男女も区別なしです。全く同じ条件で試合します。成績は男女別々に順位を付けますが」と胸を張った。帰りには、しかし、ちょっと気になった。「かなりな年寄に見えるのだな」と。
 大会での成績は惨めなものだった。最初はかなり良かったが、第三ラウンド(11本目~15本目まで)で点数が落ち、最後の25本目~30本目あたりでは最近出したことのないような点数になった。全体で昨年より点が低く、600人中何番目なのか考えるのもいやになった。終わって、審判さんに「お疲れ様」と言われてまたガックリ。途中から点が落ちたのを「やはり年の故だ」と気の毒に思ってのいたわりに聞こえた。「此の人も『お爺さんお疲れ様』といたわってくれた。そんなに年寄に見えるんだ、もう限界かな」と、チラット考えた。高橋先生にも「今までが順調に来すぎているから」と、慰められた。つい「もう年で、そろそろ限界なのかもしれません」と弱音を吐いた。
 大会の二日後と三日後に吹矢の練習日が続き、その後も二日おき位にあちこちでの練習日が続いた。何と、がぜん好調。家でも練習場でも大会入賞者くらいの成績が出た。「此のくらい出せればあんなにがっかりしないで済んだのに」と気を取り直したり、「それにしても俺は内弁慶だ。度胸がないんだ」とがっかりしたり。いやいや浮き沈みの激しいこと。
 大会で「もういいかい」と聞かれ、ちょっと「もういいよ」と言いそうになったわけだ。しかし、すぐ気を取り直して、今は「まあだだよ」と言う気分になっている。初段受験の論文に「いい年をして今更忍者ごっこでもあるまい、と始めはあまり乗り気ではなかった」と書いた。それが、良い年をさらに重ねた今、点数が伸びないと言っては嘆き、高点が続くと言ってはにこにこ。パン屋さんに「失礼ですが其のお歳で」と今度は呆れられるだろう。でもいい。「まあだだよ」。
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憲法押し付け論の愚

2013-05-03 18:15:27 | ぼやき
 今の日本の憲法は占領軍におしつけられたもので、日本人が作ったものではない、とか、国辱ものだなどと、でたらめを言う政治屋が多い。憲法制定の事情も知らず、ただそういう。聞く方も何も知らないから、なるほどマッカーサーが勝手に作って日本に押しつけたのか、もう自分たちで作らなければ国辱ものだなどと「納得して」しまう。嘘はやめろ、と言いたくなる。
 占領軍から示された憲法草案は、日本の議会(まだ帝国議会)で長い時間をかけて審議され、多くの条項が追加され意味内容を変えて可決された。
 例を挙げると 1)九条=戦争放棄の項目。これは日本の大臣がマッカーサーに申し出たものだ。当時天皇の戦争責任を問う意見が諸外国から上がっていた。これを退け、天皇を裁判にかけないようにするためには今後二度と戦争はしない、軍備も持たない、と宣言するのが良い、と判断したのだ。マッカーサーは軍人だから軍隊の無い国、戦争をしない国、などと言う発想はなかった。これはいい、と言うので憲法草案に盛り込まれた。九条を変えたがっている議員はほとんどが天皇制賛美者なのに、都合の悪いことには目をつぶっている。
 2)参議院の創設。ねじれ現象とか言って邪魔な参議院をなくそうとする動きがある。しかし、あれも憲法審議の過程で日本側が散々粘って追加したものだ。米側の草案では衆議院だけの一院制が提案されていた。アメリカの国会は下院と上院の二院制だが、人口比だけで議員を選出すると、小さい州はいつも大きな州の言うなりにされてしまう。それを避けるために、50州其れぞれから同人数の上院議員を選出している。しかし日本の県にはアメリカの州のような独立した権限がないから、利益代表のような議員はいらない、と判断されたのだ。しかし、日本には貴族院があった。皇族、華族、高級官僚、多額納税者から選ばれた「特権階級」議員。これを残したくて日本側は粘った。そしてついに二院制にした。しかし、昔のような特権階級は殆どなくなったから、選出方法は衆議院と殆ど変らなくなった。参議院をなくせという保守議員たちは、アメリカ側の案を飲めと言っているようなものだ。呆れるほどのご都合主義。
 3)憲法第25条。生存権。これは森戸辰男が粘りに粘ってくわえさせた。彼はイギリスの生存権の思想や社会政策に詳しく、貧窮にあえぐ民衆の生活を救うのは国家の責務だと考えていた。
 4)義務教育を中学まで延長。26条。アメリカ側は「基礎教育」と明記して、小学校(読み・書き・そろばん)の教育だけを考えていた。当時議会の外では、母親たちが大運動を起こして「これからの時代はせめて中学までの教育を受けさせなければ」と要求した。それが実って「普通教育」と文言を改め、中学までを無償の義務教育にした。
 数え上げればきりがないほどだ。1)や2)のように日本側の狙いには好ましくないものがあったにせよ、これらはすべてNHKテレビが2007年に憲法特集番組で放送したものだ。見た人は沢山いるだろうに、護憲派でもごく一部の人しか覚えていない。それでいて、押しつけだの国辱だのと言われると、成るほど、と思ってしまう。そのくせ、憲法のことはよく知らない、勉強したいと思う、などと毎回言う。これではいつになっても駄目だね。
 96条を先ず変える、と安部さんは繰り返し言っている。日本の憲法は他に類を見ないほど変えにくくなっているとか(これは全くの嘘)、3分の1の議員が反対すれば変えられないなどと決められているのはおかしい、とか。そのくせ、彼が良いと言っている戦前の大日本帝国憲法でも「議員の3分の2以上の出席、3分の2以上の賛成」が憲法改正の要件となっていることには触れない。知らないのか?都合の悪いことには目をつぶる。ご都合主義だなぁ。
 大和市の若い市会議員が、今の憲法は正しい手順を経ずに出来ているから無効だ、と言ったそうだ。馬鹿だな。あれは大日本帝国議会が憲法に定める改正手続きをして改正公布されている。憲法の冒頭に書いてある。読んだこともないのが歴然としている。本当は国民投票をして全く新しい憲法を制定したほうが良かったと私は思うが、現憲法は手続き上は改正憲法であって「新憲法」ではない。主権者が代わっているのに改正憲法と言うのはおかしいと思うが。

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