某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

昔の英和辞典

2013-05-29 02:28:09 | ぼやき
 先日大和駅前広場でのお祭りで古い英和辞典を買った。SANSEIDO'S ENGLISH-JAPANESE DICTIONARY「三省堂英和大辞典」昭和三年三月と巻頭の辞にある。2680ページ。紙が厚手なので大変厚い本になっているが、装丁はしっかりしていて全然崩れていない。奥付がなくて正規の発行年も価格もわからないが、私のまだ生まれていない頃に出版されていることは確からしい。元の持ち主が、I bought this dictionary. N.Kageyama.1931.6.13.と記している。昭和六年だ。影山という印が押してあるが、一度古書店に売ったらしく、鈴木という印も押してある。当時はかなり高価なものだったろうが、私はこれを50円で買った。
 いや面白い。ページを繰っていると時間を忘れる。例えばElevatorとは「①アゲル人、扛擧人、上ゲルモノ、物揚機械、②昇降機[高低ノ場所ニ縦二昇降セシメル装置] えれゑ”ーたー(=lift)」などと色々な説明があり、elevator boy―昇降機運転手(=lift-man)と言う用例もある。「扛擧人」とは何だかわからない。英単語より日本語の方が分からなくなっている。エレベーターを昔は「えれゑ”-たー」と書いたというのも初めて知った。僕らは「ゑ”」と「べ」の発音の違いがきちんと出来なくなっている。今の日本ではエレベーター・ガールだが昔は若い男がエレベーターの操作をしていたらしい。なお、この辞書では説明がカタカナで、英語の仮名表記はひらがなになっている。今と逆だ。イギリスの工場では1770年代にはもう「エレベーター」があって、リフト、liftと呼ばれていた。今でも頑固な人はリフトと言う。機械や原材料を上げ下げするのが主な用途だったらしいが、人間も乗った。だから辞書の説明が先ず物揚機械なのだろう。
 Computerが「計算者、推測者」となっているのは時代を考えれば当然だが、驚いたのは、既に Television が見出し語に入っており、「電視[電送装置ニ依リ遠距離物體ノ望見] てれゐ”じょん.」 と説明されていた。勿論テレビは当時既に開発されていたが、まだ放送などははじまっていなかったはずだ(イギリスでも)。「Wireless Television 無線電視.」というのもついている。「Wirelessは当たり前」と思うのは、こっちがテレビに馴れているからで、改めて言われると、なるほど、と感心したくなる。テレビは昔「てれゐ”」と書かれたのだ。ゐ”はどう発音するのかわからない。英語の辞書ではあるが、昔の日本語を教えてもくれる。
 Wireless といえば、ラジオだ。辞書には勿論 Radio がはいっている。これは ①無線電信、無線電話 と説明され、その次に「らち”を」と書いてある。説明の②には えきす線、へるつ線 とある。
 時々この辞書を眺めて昭和のはじめと今との違いを考えてみよう。


  
コメント (1)
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