某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

神の代理人―映画「アーメン」再論

2012-01-13 23:11:44 | ぼやき
 大沢武男『ローマ教皇とナチス』文春新書、平成16年、を読んで長年引っ掛かっていたことにある程度の区切りがついたように思った。ナチ贔屓の教皇などといわれたピウス十二世のことだ。 
 大分前に映画「アーメン」について書いたと思っていたが、どこにあるか探せない。書こうとしてやめたのかもしれない。内容はナチのユダヤ人虐殺を批判したドイツ人将校とカトリック神父の話で、ご存知の方も多いと思う。ユダヤ人大量虐殺を批判しなかった当時のローマ教皇ピウス十二世に対する激しい批判を込めたこの映画を私はダブリンで見た。今でもカトリックが85%というアイルランドでこれが上映されたことに私は非常に感激し、なんと3回も見た。
 話の筋はこうだ。ナチのSS将校(SSは将校の中でも特権階級だった)ゲルシュタインは泥水を飲料水に変える浄水器を発明するが、それに使うガスがユダヤ人強制収容所で虐殺に使われていることを知る。彼は何とかしてそれをやめさせようとするが果たせないでいるうちに、同じ志を持つ若き神父リカルドと知り合う。神父は教皇にナチのユダヤ人虐殺を批判するよう頼むが聞き届けられず、絶望して自ら「ダビデの星」(ユダヤ人の印として付けさせられた黄色い星型の布)を服に付けて収容所に連行され、殺される。ゲルシュタインも投獄されるがそこで彼は自ら発明した浄水器の報告書と称して、フランス語でユダヤ人殺しの告発文書を書く。
 この映画が日本で上映されたかどうか聞き回っているうちに、友人から、それはドイツ人作家の演劇『神の代理人』ではないか、と教えられた。確かにそうだった。既に1964年に邦訳も出されていた(原作は1963年)。今日に至るまでに28カ国語に翻訳されている。発表当時から、ナチとカトリック、ローマ教皇について激しい論争が起こっていた。ろくに知らなかった。いやいや何とも恥ずかしい話。
 映画は2002年フランス人映画監督によって作られた。私は幸いにも封切直後に見ることが出来た(一昨年、友人が、レンタル・ビデオの店「つたや」でこの「アーメン」を借りて観た。)私はまだ、演劇を観る機会には恵まれていないが。
 ナチに親近感を持ち、ユダヤ人問題について最後まで謝罪もしなかったピウス十二世を聖人にしようという動きが今でもある。もしそんなことになったらカトリックは終わりだな、と一人で息巻いている。

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