某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

女王様との握手

2012-07-02 03:16:04 | ぼやき
 先日朝日新聞に、北アイルランド地方政府の副首相マクギネスとイギリスの女王エリザベス2世が握手している写真が大きく出た。女王の北アイルランド訪問と、その際二人が握手することは大分前から決まっていたが、その写真を公表するかどうかが、直前まで話題になっていた。シン・フェィン(マクギネスの属している政党)は直前になって公表すると言明し、それがまた大ニューズになるほどだった。
 何故あの二人の握手がそれほど話題になったか。それは敵対する二つの「軍隊」の元司令官と現最高司令官が握手するという意味を持っているからだ。マクギネスは元IRA幹部でイギリス軍と戦い、捕えられてイギリスの刑務所で刑に服していた。今は北アイルランドで「イギリスからの分離独立」を求めて政治活動をする政党の一員として、北アイルランド地方政府の副首相を務めている。女王様は勿論イギリス陸海空軍の最高司令官だ。此の二人が握手したというのだから「歴史的大事件」だ。しかもマクギネスのご挨拶は、アイルランド語だった。女王様にはわからなかったろう。その後の会話は英語だったのだろうが。
 「歴史的大事件」という意味は、百年近い昔アイルランド独立戦争の際、イギリスの首相ロイド・ジョージは「人殺しとは握手しない」と言って長く交渉を拒んだからであり、また、近いところでは、1980年に、20代そこそこの青年達(IRA)がイギリス側の刑務所で「俺たちは強盗や窃盗犯ではない」「政治犯の待遇をしろ」と要求してハンガーストライキを行った際、時の首相サッチャーは「犯罪者とは交渉しない」と言う姿勢を貫いて、若者10名を餓死させたからである。IRAもシンフェィンも、イギリス政府は唯の人殺し集団としか見ていなかったのである。それとはま逆の「事件」だ。この握手は北アイルランド和平の一層の進展の象徴として、北アイルランドはもちろん、イギリス側アイルランド(共和国)側双方に大歓迎された。しかし、勿論過激な分離独立分派(非合法武装集団)からは激烈な非難が投げつけられている。
 此のニューズで一つ分からないことがある。それは、マクギネスが昨年南の「共和国」の大統領に立候補していたのに、落選後また北アイルランド地方政府の副首相になっていることだ。大統領選に立候補しても、落選すればまた元の「職場」に戻れるらしい。日本では落選した場合元の職場に戻れるのだろうか。
 
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