某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

お内裏様とお雛様

2012-03-04 00:55:20 | ぼやき
 時代劇チャンネルでは江戸の雑学を週単位でやっている。今週は「雛飾り」。サトウ・ハチロー作詞の「うれしいひなまつり」も話題になっていた。「お内裏さまと おひなさま、二人ならんで すまし顔」とあるのは間違いで、内裏とは昔から天皇家の居所、宮城。転じて男雛と女雛を内裏雛というのだから「男雛だけをお内裏様としてはだめ」と。今朝の朝日新聞にも同じことが書いてあった。サトウハチロウは発表後間もなくそれがわかったらしく、この歌を抹殺したくてたまらなかったという。皮肉なことにサトウの歌の中でこれが一番良く歌われていて消しようがなくなった。朝日には、白酒を飲んで赤い顔をしているのは、歌詞にある右大臣ではなく左大臣だともあった。どうでもいいようなことだが、はやり過ぎて幼稚園児の頃から全国的に誤解を植え付けたとなると穏やかではない。おかしいと思いながら皆歌って、そのうち信じてしまう。
 時代劇チャンネルで知ったもう一つは、内裏雛の男と女の座る位置。今は向かって左が男、右が女。しかし、これは昭和天皇が即位したときそう並んだので、それに倣っのだという。確かに江戸時代の絵などはみな逆で、右が男雛、左が女雛。だから時代劇の結婚式では新郎は右、花嫁は左。ついでに書くと今は逆。新郎は向かって左、新婦は右。これが昭和になってからだとは知らなかった。しかも天皇に合わせたとは。明治・大正の時代までは逆だったのだろうか。明治天皇や大正天皇はどう並んだのだろう。昭和天皇のとき始めて右左を逆にした、というわけではなかろう。即位式の写真を公開したのは昭和天皇のときが始めてということなのだろうか。雛人形屋さんが並べ方を逆にしたのは自発的なものなのだろうか。全国一律に逆になったというのは単純な自発的変更なのだろうか。
 たまたまこの時期に名古屋に行った事がある。徳川美術館に、大名家から尾張に嫁に来た御姫様たちの持ってきた雛人形が凄まじく沢山陳列されていた。大体が大ぶりできらびやかだったが、驚いたのは、ほとんど全部おかめ。しもぶくれで愛嬌があってかわいいが、「美人」には程遠かった。今の細面の美人雛とは全然違っていた。昔はおかめが美人だったという人もいるが。基準が違ったのか、それとも、顔がふっくらしている方が健康で良い子を生む、という期待を込めて作られたものか。誰に聞いても答えはなかった。
 西施はほっそりしたスタイルの良い美人で、楊貴妃は太り目の肉体美・美人だったという。中国の代表的な美人といわれても、これだけ違う。これは、時代によって美人の基準が違う、という例に良くひかれる話だ。新旧お雛様の顔比べをしたら、日本でも時代によって美人の基準が違ってきていることが具体的に見えて面白いかもしれない。
 5月5日は子供の日。「日本では、子供の代表はやはり男の子なんだ」と、ウーマンリブ盛んなころの女子学生はゼミナールでよくこう悔しがっていた。今はもうこんな議論は流行らないらしい。それだけ女性が強くなったということなのか、それとも、「そんな青臭い議論、馬鹿みたい、やめとけ」という若年寄が増えたということなのか?
 それにしても、どうでもいいような話の裏に何かがありそうに、つい、思ってしまうのは、職業病の一種かも。こんな時、マルクスは助けてくれる。「私のモットー。すべてを疑え」。これは娘たちからの質問表のうち「貴方のモットーは?」という項目に対する答え。マルクスはマルクス主義者ではなかった、といういい話。私の一番好きな文句の一つだ。
 
 
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