某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

反戦を詠む投稿歌

2014-06-09 01:43:15 | ぼやき
 久しぶりに朝日の歌壇俳壇から気になるものを拾ってみる。
① 反戦を詠む投稿歌増えにけり それだけ危機の迫れる証ぞ (佐佐木幸綱選)
② 霧まとい迫る不気味な艦隊のごと 集団的自衛権行使   (  々   )
③ 戦争を知らない人の大望で 開かれてゆくパンドラの箱  (高野公彦選)
④ 憲法の抜け穴探るまつりごと 議事堂古りて罅の入りたり (  々  )
⑤ 身に過ぎる気高き理想掲げ来て 我等がものに終に成し得ず(永田和宏選)
⑥ 菖蒲湯の男の子に戦させまいぞ             (稲畑汀子選)
⑦ 憲法の抜け道探ぐる木下闇               (金子兜太選)
 沢山の選者が毎回この様な短歌と俳句を選ぶ。投稿者の切実な思いが選者をうつのであろう。
 福島を思う歌はひところよりかなり減った。地名を詠みこんだ次の二首を、双葉の被災者の作とすぐわかる人も少なくなっているかもしれない。
⑧ 眺望よきこのマンションは心地良し されど夫は夜の森を恋ふ (国立市女性)
 「夜の森」は、まだ帰れない富岡町の一地域の名で桜の名所。日本百選にいつもはいっている。今年も綺麗だったろうが、花見は出来なかった。
⑨ また一人ましな現場を求め去る 浪江の空の渡り鳥のごと   (南相馬市男性)
 浪江も原発のすぐそばの町。住めない。請戸川と言うきれいな川があって、鮭が川を埋め尽くして遡上する。鮭は何も知らないで遡ってくるのだが、事故前と違って取る人は誰もいない。採卵・孵化・飼育・放流が出来なくなったから、何年かすると遡上も減るだろう。朝日俳壇に、前に「請戸川 何も知らずに 鮭遡る」というのがあって、このブログに載せたことがある。

 自分だけわかるような気がして、一人でウフッと言うようなのを見つけると楽しくなる。
⑩ 「田中くんは殊勲甲ね」と 六十年ロサンゼルスに住む姉の言う
 「殊勲甲」は戦時中の特別表彰。特に勇敢で戦果を上げた軍人に授けられた名誉。そこから偉業を達成すると殊勲甲と言われた。相撲で殊勲賞と言うのは戦時中の殊勲甲から来ている。ロサンゼルスのお婆さんはこの元の方だけ知っているのだろう。
⑪ ほととぎす禿頭なればつるり撫づ 
 ホトトギスは「てっぺん禿げたか」と鳴くそうだ。読んで私もつい頭を撫でた。            
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