某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

シベリヤ物語

2012-02-22 01:19:33 | ぼやき
 月1回というのんびりムードで、近所のおばさん、おじさん7~8名で映画(ビデオ)を見る会をやっている。始めは拙宅で、撮りためたアイルランド映画を見ていた。そのうちもっと広いお家、もっといい機械(DVDや大きなテレビ)をお持ちのお家で観るようになった。3~4名のこともあったが、もう7~8年続いている。「マイケル・コリンズ」「麦の穂をゆらす風」アイルランド紀行、リバーダンスなども観たし、日本国憲法などというお固いのも観た。黒沢監督の「生きる」だの前進座総出演の「箱根風雲録」もテレビ放送を録画して観た。残念なことにもうVHSを映せるテレビがなくなり、レンタル・ビデオ屋にもDVDばかり並ぶようになったので、アイルランド映画は観れなくなった。
 困っていたある日、ブック・オフで「シベリヤ物語」完全版というのを見つけた。今月はそれを皆で見た。ご存知「バイカル湖のほとり」を日本にはやらせた音楽映画の名作。1947年制作で、私が観たのは1948年。旧制高校1年(現在の高校3年生)の時だから63年前。50年ぶりで観た、という方もおられたが、大体の方は始めてだった。レーニンやスターリンの写真が壁にかかっていたが、体制礼賛プロパガンダという色彩は予想以上に少なく、素晴らしい音楽映画だった(日本語字幕にレーニンと言うのは出てきたが、台詞でスターリンと言ってもそれは一度も字幕に出てこなかった。)完全版という意味は、旧ソ連でカットされた14か所13分の部分が復元されたということだそうだ。やはり検閲をパスしない部分があったのだろう。いわゆる総天然色映画の初期の名品で、色彩が第二次大戦直後なのに非常に綺麗で感心した。
 63年も昔に観たのに、覚えている場面が多く、俳優さんが次にやる動作や台詞が直前に思い出されて余計楽しかった。舟の上で、主人公がアコーディオンを弾きながら「バイカル湖のほとり」を歌う名場面(「ここでアコーディオンをもらうんだよな」と思っていたら、その通りに話が進んだ)。腹を立てたバスの運転手が急須の取っ手をもぎりとったり、女性がお盆の食器を落としたり、びっくりして箒を投げ出したり。全部思いだした通りに画面が出てきた。昔は記憶力が良かったんだな、と思ったほど。バスにアエロフロ-トと行く先が書いてあった。前に見た時はまだロシア文字が読めなかったから気がつかなかったが、今度は、「なるほど、空港行きのバスだ」と分かった。60年でいくらか利口になったわけだ。今度は「石の花」を見たい、と早速アマゾンでDVDを注文した。総天然色映画で最初にびっくりしたのはあれだった。花の開く様をスローもーションで観たのもあれが始めてだった。第二次大戦が終わったばかりの頃良くもあれほどのものが作れたと今になって感心する。私どもは飢え死にしそうな食糧難の中にいたけれど、それでも何か解放感があり、先に希望の光が見えていたように思う。17歳の子供に何が分かったか、とけなされればそれまでだが。
コメント
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