▼きのう夜、ぼく自身の想像を超えてしまった無茶ら苦茶ら日程のなか、大阪から帰京してきた。
きょう西暦2012年12月16日の、憲政に残るだろう総選挙のあと、関西テレビの選挙特番に、いつも通りに参加(出演)するから、そのまま大阪にいれば体は楽だった。
だけど今回の選挙期間中は、期日前投票をする時間すらまったくなかったので、いったん帰京しないと、投票ができない。
おのれは投票しないでおいて選挙特番に顔を出したりするのは、サイテーだ。這ってでも帰京したかった。
ぼくの周りは、独研(独立総合研究所)の研究員も、家族も、友だちも、知人も、次から次へと風邪やノロウィルスにやられている。
それでも誰からも、ぼくにはうつっていない。ところがゆうべ、飛行機内という密室で、強力なウィルスらしき気配が、ぼくの鼻と口と目に襲いかかってきたのが分かった。
こういうとき体内から、「待ってましたっ」と何かが、免疫力のような何かが迎え撃つ気配を、ありありと感じるときがある。
ゆうべは、そうだったにゃー。
まさか、いま、斃(たお)れるわけにはいかないから。
ぼくも、いつかは斃れる。みんなと別れる。
しかし、いまは、その時機ではないらしい。
ふひ。
▼ほぼ寝る時間が取れないまま、いよいよ投票日の夜明けが近づく。
まずは、寝ていた青山繁子(ポメラニアン)に「繁子、行くぞ」と声をかける。
まさか、投票にじゃないですよ。
繁子には残念ながら投票権がないし、わんこを投票所に連れて行くなんてことをするはずもないし、そもそも投票所はまだ開いてはおりませぬ。
朝の散歩です。
散歩に連れて行ってもらうのは、繁子のたいせつな権利です。
一歩、外へ出ると、手袋を忘れたことに気づいた。
しかし、抱っこしている繁子のおなかが、あったかい。
繁子は、ことしの夏の暑さとずいぶん闘って、一時期、弱っていた。そして、背骨につらい部分があることが、レントゲンで分かった。それ以来、どんな小さな階段も越えさせないように、散歩エリアが平らになるまで、しっかり抱っこしている。
繁子は、地上に降りる時をわくわくして待ちながら、いつもよか高い目線で見える世界を愉しんでいる。
そして、柔らかい草地を選んで繁子を降ろすと、もう、涙が出るくらい元気いっぱいに、子供だったときとちっとも変わらずに駆けだして、いつもの赤いリードをちいさな軀(からだ)でぐいぐい引っ張る。
▼そう、そうです。
この繁子を護ることを、誰か遠くの友だちに頼みますか?
たがいに嘘をつかない友だちは、とても大切だけれど、愛する者はおのれで護る。
散歩中の繁子に大型犬が、ふつうではない興味を示せば、まず、強烈な眼力(めぢから)を送って、抑止力にする。
リードを付けない愚かな飼い主も遺憾ながらいらっしゃるので、抑止力、すなわち戦いを起こさないための抑止力をまず常に使う。
それでも、繁子にとって安全な距離を破って、リードのない大型犬が近づいてきたり、ましてや、こちらに走り出してきたら、瞬時に繁子を抱きあげて両腕に抱え込んだうえで、満身の怒りで、こちらも、ぐいぐいと近づく。
それで、たいていの大型犬は、上げていたしっぽを急に垂れて、繁子に気づかなかったふりをするかのように、方向を変える。
方向を変えなかったら?
これまでは一度もなかったけれど、あれば、戦う。ぐいと近づきながら、実は、大型犬といえども柔らかい腹を蹴りあげる準備はしている。ささやかに空手道を学んだことはある。
もしも逃げ出したら、襲われる。
もっと正しく言えば、飼い主にリードを間違って付けてもらえずにいる、かわいそうな大型犬に、間違った戦いをするきっかけを、こちらから与えてしまう。
逃げ出したら、飼い主にフェアに、かつ冷静に注意する機会も失われる。
ぼくは、ほんとうは大型犬も大好き、だーいすきだ。
なにせワニでも好きなぐらい、動物が好きだから。
いま小型犬を飼っているのは、住宅事情と、それと単なる偶然だ。
だから戦いたくない。腹など決して蹴りたくない。
たまたま、ぼくと家族が、繁子と出逢って、愛している。愛する者を護るためには、間違った戦いをする者を、その戦いをやめさせる範囲内で、真っ正面からみずから戦う。
間違った戦いをしようとした者が、それをやめれば、真心をもって慈(いつく)しむ。
ぼくが長年、憲法改正、すなわち俺たちの憲法は俺たちで創ろうと、非力ながら呼びかけてきたのは、たとえば、こういうことです。
▼今朝はまず、1月のヨーロッパ渡航に備えて、国際運転免許を取りに行く。
これも今日取っておかないと、間に合わない。
そして、その帰りに、投票だ。
有権者のひとりとして、オリジナルな民主主義を持つ国、日本の唯一の主人公である、わたしたち有権者のひとりとして、拉致被害者を最後のひとりまで取り返すためにも、領土と、そこに暮らし働く(たとえば魚やアワビをとる)同胞の生活者を護り、あるいは、そこにかつて誠実に暮らしていた同胞の生活を取り戻すためにも、ぼくは憲法を最大争点として、投票する。
投票が終わると、すぐに大阪へ出発する。
そして、投票を終えられたみなみまさまと、番組を通して、お会いしましょう。
*上の写真は、美しい日本晴れの投票日の早朝、東京港の向こうに、たおやかに輝く、われらの富士山です。
下の写真は、お馴染みの、青山繁子です。ただし、いつもとは、ちょっと違う表情でしょう? 一緒に泊まったホテルの部屋に、朝陽が差し込んできて、ようやく目が醒めはじめたときの繁子であります。
いずれの写真も、重くなるだろうけど、縮小しないでオリジナルのままアップしてみました。重さで開きにくいひとには、ごめんなさい。