前回(→こちら)の続き。
「ノバク・ジョコビッチは男の中の男だ」
そう言い切る根拠は、彼が無敵の王者だからではない。いやむしろ、痛恨ともいえる敗北を喫したあと語った言葉にある。
フレンチ・オープン決勝でまさかの逆転負け。最大の目標であったタイトルを目の前でかっさらわれたノバクは、ここで落ちていくのかと思いきや、雄々しく試合後のインタビューや取材に応えた。
そこで言ったことというのが、
「テニスにおいてもっとも重視されるべきなのは結果だが、それ以上に大事なことがある。それは気骨を見せることと、対戦相手に敬意を払うことだ。僕はそのために出てきた。そしてスタンのテニスはすばらしかった。勝利に値するプレーだった。優勝おめでとう」。
雑誌でこの一文を読んだとき、私は大げさではなく震えた。人目もはばからずに立ち上がり、吠えたのである。
「くわあ、ノバク、おまえ、カーッコエエエエエエエエエエエエー!」
スポーツにおいて絶対的な正義というのは勝つことだが、勝負というのはいつもそうあれるわけではない。
ときには負けることもあり、テニスのような相手のいるスポーツでは、結果を100%自分ではコントロールできないのだ。
ならば、逆の目が出てしまったときにどういう態度をとれるかが、試されることであるといえる。
勝って、はしゃいだり、名言を言ったりするのは、きっとたやすいことなのだ。でも、すべてがうまくいかなかったときにどうすべきか。
気骨を見せること、そして対戦相手に敬意を払うこと。
これ以上ないほどの見事な解答。正しく、完璧で、そしてなにより正義の答えだ。
しかも彼は、それを皆の前ではっきりと実践した。
グチらず、泣き言も言わず、言い訳もせず、ライバルをおとしめることもなく、彼は気骨を見せた。
おそらく、泣きたかったろう、いや実際トイレでひそかに泣いたかもしれない。マッチポイントが決まった瞬間からこのかたずっと、ショックで、その場にへたりこみたかったにちがいない。
それをグッと飲みこんで、スタン・ワウリンカに拍手する。なんてカッコイイ。私はこういう強がりや、やせがまんを軽く見ない。本当に強くないと、人は案外強がったりできないものなのだから。
そして、さらにすごいことに、ノバクは次のウィンブルドンで見事に優勝した。
もちろん、勝負の世界は「切り替えが大事」だし、「敗戦の傷をいやすのは次の勝利」でもあるわけだが、それにしても、そんな簡単にできることでもないはずだ。
それをまあ、かくも鮮やかにやってみせる。それどころか、USオープンも取り、マスターズ6勝をふくむ年間11勝、最終戦も勝って、勝率9割越え、本人も納得の「最高のシーズン」でしめくくったのだ。すごい精神力ではないか。
この事実をもって、独眼鉄先輩に言いたい。「真の男は、ノバク・ジョコビッチである」と。
テニスの強い男はかっこいい。優勝する男もかっこいい。
だが、もっともかっこいいのは、きびしい敗北のあと、胸を張ってあらわれ、そして「気骨を見せ」「対戦相手に敬意を払える」そんな男だ。
それが王者ノバク・ジョコビッチである。
こんなシビれる男に、テニスの神様がもう意地悪などするはずがない。
今年こそノバクはフレンチ・オープンを、それも「今までのもたつきはなんだったんだ?」と思わせるほどの圧倒的な強さで取り、見事「ジョーカースラム」を達成することだろう。
そのことを私は、ほぼ間違いないと確信している。
☆おまけ ジョコビッチといえば、この試合。2012年全豪決勝のナダル戦(→こちら)。5時間53分
の死闘でした。
「ノバク・ジョコビッチは男の中の男だ」
そう言い切る根拠は、彼が無敵の王者だからではない。いやむしろ、痛恨ともいえる敗北を喫したあと語った言葉にある。
フレンチ・オープン決勝でまさかの逆転負け。最大の目標であったタイトルを目の前でかっさらわれたノバクは、ここで落ちていくのかと思いきや、雄々しく試合後のインタビューや取材に応えた。
そこで言ったことというのが、
「テニスにおいてもっとも重視されるべきなのは結果だが、それ以上に大事なことがある。それは気骨を見せることと、対戦相手に敬意を払うことだ。僕はそのために出てきた。そしてスタンのテニスはすばらしかった。勝利に値するプレーだった。優勝おめでとう」。
雑誌でこの一文を読んだとき、私は大げさではなく震えた。人目もはばからずに立ち上がり、吠えたのである。
「くわあ、ノバク、おまえ、カーッコエエエエエエエエエエエエー!」
スポーツにおいて絶対的な正義というのは勝つことだが、勝負というのはいつもそうあれるわけではない。
ときには負けることもあり、テニスのような相手のいるスポーツでは、結果を100%自分ではコントロールできないのだ。
ならば、逆の目が出てしまったときにどういう態度をとれるかが、試されることであるといえる。
勝って、はしゃいだり、名言を言ったりするのは、きっとたやすいことなのだ。でも、すべてがうまくいかなかったときにどうすべきか。
気骨を見せること、そして対戦相手に敬意を払うこと。
これ以上ないほどの見事な解答。正しく、完璧で、そしてなにより正義の答えだ。
しかも彼は、それを皆の前ではっきりと実践した。
グチらず、泣き言も言わず、言い訳もせず、ライバルをおとしめることもなく、彼は気骨を見せた。
おそらく、泣きたかったろう、いや実際トイレでひそかに泣いたかもしれない。マッチポイントが決まった瞬間からこのかたずっと、ショックで、その場にへたりこみたかったにちがいない。
それをグッと飲みこんで、スタン・ワウリンカに拍手する。なんてカッコイイ。私はこういう強がりや、やせがまんを軽く見ない。本当に強くないと、人は案外強がったりできないものなのだから。
そして、さらにすごいことに、ノバクは次のウィンブルドンで見事に優勝した。
もちろん、勝負の世界は「切り替えが大事」だし、「敗戦の傷をいやすのは次の勝利」でもあるわけだが、それにしても、そんな簡単にできることでもないはずだ。
それをまあ、かくも鮮やかにやってみせる。それどころか、USオープンも取り、マスターズ6勝をふくむ年間11勝、最終戦も勝って、勝率9割越え、本人も納得の「最高のシーズン」でしめくくったのだ。すごい精神力ではないか。
この事実をもって、独眼鉄先輩に言いたい。「真の男は、ノバク・ジョコビッチである」と。
テニスの強い男はかっこいい。優勝する男もかっこいい。
だが、もっともかっこいいのは、きびしい敗北のあと、胸を張ってあらわれ、そして「気骨を見せ」「対戦相手に敬意を払える」そんな男だ。
それが王者ノバク・ジョコビッチである。
こんなシビれる男に、テニスの神様がもう意地悪などするはずがない。
今年こそノバクはフレンチ・オープンを、それも「今までのもたつきはなんだったんだ?」と思わせるほどの圧倒的な強さで取り、見事「ジョーカースラム」を達成することだろう。
そのことを私は、ほぼ間違いないと確信している。
☆おまけ ジョコビッチといえば、この試合。2012年全豪決勝のナダル戦(→こちら)。5時間53分
の死闘でした。