スカトロジーで学ぶ「多様性の尊重」

2020年04月07日 | ちょっとまじめな話

 「多様性とはなにか」ということを、スカトロ動画から学んだ。

 と、はじめると、なんだかわけがわからないうえに、私がスカトロジストのような印象をあたえそうだが、そういうことではなく、今から説明してみたい。

 高校生のころ、クラスメートだったタカイシ君は皆から「ジェダイ」と呼ばれていた。

 ジェダイとはもちろん『スターウォーズ』のそれで、彼がなにゆえにそのような尊称で語られるのかと問うならば、なにをかくそう、それは

 

 「エロのジェダイ」

 

 なのであった。

 健康な高校生にとって、エロというのは勉強や、将来の展望を鼻息プーで吹き飛ばす最重要科目である。

 でもって、「ジェダイ」タカイシ君はネットのない時代、そのカナメともいえる「アダルトビデオ」にメチャクチャくわしかったのだ。

 そんな男なので、彼の周囲には

 

 「ジェダイよ、われにナースもののAVをあたえよ!」

 「マスター、桜木ルイの新作をお願いします!」

 

 という迷える子羊たちが、常に群がっていたのである。

 私はそちらに関しては「活字派」で、あまり映像作品にはくわしくなかったが、あるとき彼と話していて、

 

 「シャロン君はどんなんが好きなん? よかったら、ええのん用意するで」

 

 ソムリエか、ポン引きのように誘われてしまったのだ。

 そこで、ふつうのを観てもおもしろくないということで、なかなか見る機会のないマニアックなものをどうかと頼んでみると、用意してくれたのがスカトロ動画なのだった。

 スカトロジーとは、要するに糞尿志向というか、お笑いコンビであるリットン調査団藤原さんの名言を借りれば、

 

 「あー、女子高生のおしっこをドンブリ一杯飲みてえ!」

 

 といったノリであり、まあなかなかにノーマルではない愛の形である。

 そんなコアなものをひとりで観るのもなんなんで、放課後、放送部の友人に頼んで機材を用意してもらい、ボンクラ男子が集まってワイワイ鑑賞したのだが、これがインパクト充分だった。

 まずは入門編(?)ということで、女優のみなさんが、トイレで排泄する動画からスタート。

 和式便器にまたがり、音を立てて女性が放尿し、脱糞する。

 

 「どうや、これがスカトロいうやつや。まずはゆるい感じから、なれてくれ」

 

 笑顔で紹介するタカイシ君だが、情けないことに私はここで、すでに逃げそうになった。

 こう見えて、グロはダメなのである。それをモロに見せられては、とても正視できるものではない。

 さらにタカイシ君は

 

 「洋式便器の中にカメラを仕込んで見る、放尿脱糞シーン」

 

 こんなビデオをセットし、こうなるとまるで自分の顔面めがけて「ブツ」が飛んでくる気分が味わえる。今でいう「VR」感覚である(ホンマかいな)。

 

 「どうや、ええ感じやろ」

 

 ジェダイは上機嫌だ。

 さらには、プレイの幅がもっと具体的になってきて、そろそろあまり言及したくないが「接触」「飲食」が入ってくると、もうグロッキーである。

 ヘタレな私は、ここで、

 

 「オレ、もう無理やから」

 

 ギブアップしたが、上映会はその後も続き、ちょっとここではとても書けないようなハードな展開を見せ、最後まで見た友人曰く、

 

 「人の想像力って、限界がないんやなあと感心したわ。ようあんなん、思いつくで。だって、太ったオッサンの脂肪を吸引器で吸ってそれを(以下マジでグロいので略)」

 

 性的興奮や嫌悪感を超えて、ほとんどアートを見る目で観てしまったというのだ。

 この上映会を通じて私は思ったわけだ。

 

 「世の中には、自分と違う価値観の人間がいるものだ」

 

 同時に、こうも思ったわけだ。

 

 「違うことは違うけど、それはそれで尊重すべきであろうなあ」

 

 (続く→こちら

 

 


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