前回(→こちら)の続き。
「話にオチないんかい!」
そう関西人がつっこみがちというイメージがあるけど、それは果たして本当なのか。
いわゆる「オチのない話」問題は、
「句読点の有無」
「サービス精神」
「エンタメ体質」
これがあるかないかが本質であって、関西人がどうとか、話の中身が「おもろい」かどうかとか、実はそれほどにはメインの理由ではないのでは?
実際、前回も言ったが、著作の中で「オチがない話」に憤っている西原理恵子さんは高知出身だし、オーケンは東京人。
その他でも、特に関西人じゃない人の本や、ラジオなどでも同じようなことを言っている人は結構いる。
ツイッターやインスタグラムにあがっている、夕焼けや食事の写真。
また、心象風景をつづったポエムなどが不評なのは、内容うんぬんじゃなくて、そのひとりよがりゆえに、
「受け手のことを、あまり考えているように見えない題材」
そこにガッカリしてしまう。
そしてそれは、おそらく関西人のそれが、あけすけで目立つだけで、どの地域の、どの国の、どこの民族にもきっと一定数いるはず。
空気を読んで、それを黙っているだけで。
だから、関西では、いやそれよりもっと広く西原さんやオーケンのような「サービス精神」を重視する人と話すときは、軽くでいいから起承転結とオチを用意するといい。
むずかしく考える必要はない。
私の見立てでは、「オチ」とは「プチズッコケ」とか「プチ自虐」でいいのだ。
ブログを書くコツなどを指南した本や、サイトなどで必ず出て来るのは、
「失敗談など自虐を書け。自慢話は厳禁」
これは、その攻撃的舌鋒が売りである斎藤美奈子さんも強調しておられた、「読んでほしい文章」の必須中の必須要項。
逆にいえば、これさえ入れておけば、お手軽に話が収まるという便利アイテムでもある。
だれかと話すときは、話のところどころと最後に、プチ自虐を入れる。
たとえば、私が大学時代遭遇した、
「この服、いい色でしょ。昨日買っちゃった」
という報告なら、そこにもうひとつ増しで、
「でも、ちょっと高かったんだよねー。しばらく、3食カップ麺生活かも」
とか、プラスアルファがあれば、
「ファッションはお金かかるもんね。でも、似合ってるからええやん。その服で、オシャレにチキンラーメン食うたらええねん(笑)」
なんて会話が多少スムーズにつながる。
あるいは、
「高かったんだよねー」
の後に、やはりそこで終わらず、
「散財したなあ。ところでさあ、今までで一番高い買い物って何? これ、やっちまったわーみたいな」
なんて、相手に「パス」をまわすとか。
こんなもんで、いいんじゃないかなあ。
聞いていて「オチがない」と感じる話は、とにかく、
「買った」
「行った」
「話した」
みたいに、「それだけでおしまい」という終わり方に、強く感じる。
なんだか、すごい急ブレーキをかけられたようで、つんのめり方がハンパではないと。
とにかく、言いっぱなしにしないことが大事。
なんにしろ、「オチのない話」の本質は、「おもしろくない」よりも、
「句読点とサービス精神の欠如」
が問題なのだ。
そこを押さえたうえで、話のおりおりと最後に「プチズッコケ」を入れれば、だいぶ景色が違って見える。
むこうがあなたに好意的ならば、その「オチ」だけで
「あなたを楽しませたかった」
「聞いてくれてありがとう」
という感謝の意味として伝わるはず。
その意味で、「オチ」とは内容よりも、文章でいう「句読点」であり、これがあることによって、
「自分の聞いてほしい話は終わったよ、ありがとう」
という想いが伝わる。
まあ、食事でいう「ごちそうさま」みたいなもんです。
「今、自分のターンは終わった」ことを伝え、「次どうぞ」と会話の橋渡しをする。
「オチ」を求める人は、おたがいの、その気持ちを重視しているのだから。
なんだか、大げさみたいだけど、「オチ」を求める人の考え方をポジティブに表現すると、たぶん、そういうことなんですよ。
え? それでも「おもんない」「オチないの、サブいわー」とか言ってくる人がいる?
うーん、それはもう関西人がどうとか以前に、
「ただのデリカシーがない人」
だから、単純に距離を置いてつきあうのが、いいんじゃないでしょうか。
でも若いと、しょうがないかもなー。
私なんかも、10代のころは
「世界でおもしろいことを言えるのは、オレ様とダウンタウンだけ」
とか本気で思ってたし。
たぶん、今のヤングたちも、大して変わらないでしょう。そら偉そうに、「オチないんかい!」とか言いますわ。
うん、サラッと書いてるけど、尿もれるほど恥ずかしいぞ。ザッツ黒歴史。
ただ、そんな自意識過剰男子にとっても、「サービス精神」とか「感謝の心」があったのも本当。
だからまあ、そういう人は大人になったら、当時のことを思い出して、布団の中で「あああああ!」とか、もだえてるから、そのとき笑ってあげましょう。