「オレはイディッシュ語をやるべきだったか!」
語学系YouTubeを見ていて、思わずそんな声が出てしまった。
このところ私は、
「世界のあらゆる語学をちょっとだけやる」
ということにハマっており、チョコザップならぬ「チョコ語学」である。
ここまでフランス語とドイツ語(学生時代の復習)、スペイン語、ポルトガル語。
アラビア語は挫折したものの、トルコ語、イタリア語もクリアし、今はオランダ語をかじっている。
数だけ並べればなかなかだが、クリアしてるのは中2程度。けど、こんなものでも、
Bedorven vrouwen houden van dunne boeken.
(腐った女性は薄い本が好きです)
Het luisteren naar Ondoors is erg moeilijk.
(オンドゥル語の聞き取りはとても難解だ)
Hij zal zichzelf na 30 minuten ophangen. Na 40 minuten zal hij levend verbranden.
(彼は30分後に首をつる。40分後に火あぶりになる)
くらいなら、辞書を参照すれば読めるようになるのだから、なかなかのものである。
ではここで、なぜヨーロッパ系言語の中で比較的マイナーなオランダ語などやっているのかと問うならば、それは「言語的距離」の問題。
スペイン語とポルトガル語とか、ロシア語とウクライナ語のように、距離が近いと似ているため習得がラク。
日本語話者がアラビア語やタイ語をやると、文字も文法も違うため大変だが、転勤や進学で東北や九州に住めば、
「津軽弁」
「鹿児島弁」
という難解な「言語」でも、そのうち理解できるようになるはず。
それはベースが日本語という「同じ言葉」だからで、デンマーク語とスウェーデン語とか、ポルトガル語とブラジル・ポルトガル語のように「血縁」関係の言語はハードルが低くなるのだ。
そこで、学生時代ドイツ語をやっていた私は、お隣さんのオランダ語をやれば気楽であろうと手を出して見たら、やはり似ているのだった。
これに味を占めて、他にも「生き別れのきょうだい」を探してみたら、ノルウェー語とかアフリカーンス語などに加えて、
「イディッシュ語」
これが出てきたのである。
イディッシュ語と言っても、世界史や外国語に興味がない人にはなんのこっちゃかもしれないが、ドイツ語学習者には、わりと聞く機会の多い言語。
主に東欧のユダヤ人が使っていた言葉で、ドイツ語をベースにヘブライ語やアラム語、スラブ語の影響を受けている。
ヘブライ文字を使って、右から左に書くとか独特の仕様を持っているため、日本人にはなじみが薄く、またホロコーストで話者が激減こそしたが、文化的にはなかなかに重要な言語なのだった。
私は学生時代に読んだ、沼野充義先生による『屋根の上のバイリンガル』で知ったけど、土台がドイツ語となると、ここにやってみてもいいかも。
ということで、さっそく「イディッシュ語 ドイツ語」などで検索してみると、やはりいろいろと出てくるのであった。
たとえば、こんな動画。
まずは開いた瞬間、頭の中が「??」である。
イディッシュ語の文章が並んでいるのだけど、文字がヘブライ文字なので、なにが書いてあるか、さっぱりわけわからん。
これがイディッシュ語のアルファベット。
うーん、外国語やなーという感じなのだが、それを先生に朗読していただくと、きっとドイツ語学習者は「およよ?」となるにちがいない。
「これ、ドイツ語ですやん!」
もちろん、こまかいところは違うんだけど、「und」とか「mit」とか「zusammen」とか「kinder」とか、モロにドイツ語の単語が並んでいる。
文字が文字だけに、とっつきは悪いけど、これをラテン文字(ローマ字)で書いてくれれば、ドイツ語経験者には相当親しみやすいのではないか。
こちらの比較動画を見れば、ますますドイツ語とイディッシュ語のソックリ度がわかる。
ほとんど方言や。
ドイツ語は地方色が豊かなので、結構方言がバラエティに富んでるし、「オーストリア・ドイツ語」や「スイス・ドイツ語」も独自の存在感を持っている。
それとくらべても、かなりな「ドイツ語度」で、これはもうドイツ語学習者はぜひやるべきというか、ちょっとやるだけでマルチリンガルになれる魔法の言葉。
簡単やんけ、イディッシュ語!
楽勝や! 今年はグリーンウェルの加入で阪神100連勝、また日本一や!
喜びいさんで、すぐさま「デザートイーグル作戦」を発動したかったが、残念ながら私がイディッシュ語をマスターする日は来ないだろう。
それはアラビア語を挫折したのと同じで、
「文字がおぼえられない」
中年以降の語学学習では、「新しい文字」の存在がネックである。
なんせ記憶力が落ちているので、ダメなんだよなー。
なので、韓国語、タイ語といった魅力的な言語でも、切ることにしているのだ。
ラテン文字か、ギリ漢字の国の言語でないと、まず文字でつまづいてしまう。情けなやトホホ……。
というわけで、泣く泣くイディッシュ語は候補から消えることになった。
アラビアやユダヤ文化は興味こそあるので、マジでさわりだけでもやってみたいんだけど、アラビア語のときの、
「マジで一歩も進めない」
停滞ぶりのトラウマがあり、やはり手が出ないのだった。哀しい!