リア充じゃない女子はグレゴリ青山を読め。
前回(→こちら)は「花札にハマる『もっさい』(京都弁で「あかぬけない」くらいの意味)女子高生、清里のペンションでリア充女子大生やオーナーに囲まれて大爆死」
というグレゴリさんの体験談に爆笑したが、グレゴリさんの「イケてない」話で大好きなのが、その夫「ヨコチン」さんのこと。
ある日のこと、グレゴリさんが旦那さんとふたりで何気なくテレビを見ていると、作家の沢木耕太郎さんが出演されていたそうな。
沢木耕太郎といえば『深夜特急』という日本の旅文学史に残る大名著でもって、バックパッカーのカリスマともいえる存在になったお人。
旅をテーマにインタビューに応える沢木さんは、
「一人旅というのは、話す相手がいないから体験が自分の中で深くなっていくんですね」
「モハメッド・アリの試合を観に行ったら、たまたま彼と同じホテルで、しかもエレベーターの中で偶然会ったんです。旅というのは、そういう奇跡みたいなことが起こることもあるんです」
このようなことを語っておられたそうな。
その様子を見ていたヨコチンさん(こちらもバックパッカー出身)は突然頭を抱えながら、
「なんでこのお人は、こんなにもさわやかなんだー!」
と絶叫。
キラキラした少年のような目で旅のすばらしさを語る沢木さんを見ながら、
「ごめんよー、どうせオレはヨゴれてるよー」。
もう悶絶しまくるのであった。
ここを読みながら、グレゴリファンであると同時に『深夜特急』をボロボロになるまで読み返しまくったほどの沢木ファンである私は、もう
「わっかるわあー!」
と爆笑に次ぐ爆笑。
『深夜特急』というニヒルでハードな旅をした沢木耕太郎。一方、グレゴリ青山といえばバックパッカー専門誌という因果なジャンルの雑誌『旅行人』からデビューした人。
「貧乏旅行」「バックパッカー」という大きな共通点のある二人にもかかわらず、実のところそのレールは交わることはないのであった。
だろうなあ。いわばこれって、リア充とそうじゃない人。野球でいえば「セリーグ」と「パリーグ」のちがいみたいなものだ。それも昭和の。
沢木耕太郎はギリシャからイタリアへ向かう船の上で、金髪美女相手に
「なにをしてるの?」
「フ、海に酒をすすめているのさ」
とか夢想(想像しただけ!)しちゃったりするけど、グレゴリさんは
「広大な遺跡に行くとトイレに行きたくなるバックパッカーあるある」
「おすすめ映画は小林旭の『渡り鳥』シリーズ」
「拘置所に入れられた友人のマイタケさん」
みたいなマンガを描いているお方。そら、交わりようもない。
私は当然のこと「パリーグ」の人間なんで、このときのヨコチンさんの、
「ごめんよー!」
という魂の叫びには、大いにうなずけるところがあるのである。
なんで、天に向かってあやまんなきゃならないんだろう(笑)。でも、実感だよなあ。どうせオレはヨゴレ側だよと。ごめんよ、と。
このときのグレゴリさんの反応も良くて、「おまえは平気なの?」というヨコチンさんの言葉に、
「別に。だって、グ(グレゴリさんの略称)ってさわやかやん! 沢木ィ、コーク飲もうぜ!」
と返すのだが、おおうちそのよさんの『歩くはやさで旅したい』(やはり『旅行人』で連載されていた、とってもさわやかなマンガ)を「ホレ」と見せられて、
「ゴメン、グもヨゴレてるわ……。どろソースみたいにドロドロにな……」
真っ青になって落ちこむというオチ。ダッハッハ! そら、おおうちさんとくらべたらあきませんよ!
ちなみに、グレゴリさんはその後、森優子さんと「どっちがよりヨゴレか対決」をしておられて、これまた死ぬほど笑ったんだけど、沢木さんは沢木さんで、ある女優さんに、
「あの人って、コカ・コーラみたい人ね」
などと言われて、てっきりいい意味でかと舞い上がり、「それ、どういうこと?」と重ねて訊くと、
「スカッとさわやかっ、てね。でも、それだけの人ね」
そうディスられてガッカリしたり、井上陽水さんとの対談でも、「沢木さんって、ストレートな人だよね」と言われて、
「やっぱ、まっすぐだけじゃダメかな」
なんてこともおっしゃっていたから、セリーグはセリーグなりの悩みもありそう。
そういえば、私の友人連中にも、あきらかに「さわやかなリア充系」なのに、やたらと
「自分はオタクだ」
「ボクって、実は変なヤツなんだよ」
とかアピールする子らがいたり、中には実直な公務員の先輩から、
「オレって、アウトローやん」
などと飲み屋で語られ反応に困ったりして、あれってよくわからなかったけど、今思うと沢木的「コカ・コーラって思われちゃってるよ……」っていうことなんだろうなあ。
まあ、セリーグでもパリーグでも、こういうのは「種族」だからたぶん生まれつきのもんで、結論としては、
『生まれた国』で、楽しく生きていくのが吉。
ということなのであろう。沢木ィ、オレとどろソース飲もうぜ!
前回(→こちら)は「花札にハマる『もっさい』(京都弁で「あかぬけない」くらいの意味)女子高生、清里のペンションでリア充女子大生やオーナーに囲まれて大爆死」
というグレゴリさんの体験談に爆笑したが、グレゴリさんの「イケてない」話で大好きなのが、その夫「ヨコチン」さんのこと。
ある日のこと、グレゴリさんが旦那さんとふたりで何気なくテレビを見ていると、作家の沢木耕太郎さんが出演されていたそうな。
沢木耕太郎といえば『深夜特急』という日本の旅文学史に残る大名著でもって、バックパッカーのカリスマともいえる存在になったお人。
旅をテーマにインタビューに応える沢木さんは、
「一人旅というのは、話す相手がいないから体験が自分の中で深くなっていくんですね」
「モハメッド・アリの試合を観に行ったら、たまたま彼と同じホテルで、しかもエレベーターの中で偶然会ったんです。旅というのは、そういう奇跡みたいなことが起こることもあるんです」
このようなことを語っておられたそうな。
その様子を見ていたヨコチンさん(こちらもバックパッカー出身)は突然頭を抱えながら、
「なんでこのお人は、こんなにもさわやかなんだー!」
と絶叫。
キラキラした少年のような目で旅のすばらしさを語る沢木さんを見ながら、
「ごめんよー、どうせオレはヨゴれてるよー」。
もう悶絶しまくるのであった。
ここを読みながら、グレゴリファンであると同時に『深夜特急』をボロボロになるまで読み返しまくったほどの沢木ファンである私は、もう
「わっかるわあー!」
と爆笑に次ぐ爆笑。
『深夜特急』というニヒルでハードな旅をした沢木耕太郎。一方、グレゴリ青山といえばバックパッカー専門誌という因果なジャンルの雑誌『旅行人』からデビューした人。
「貧乏旅行」「バックパッカー」という大きな共通点のある二人にもかかわらず、実のところそのレールは交わることはないのであった。
だろうなあ。いわばこれって、リア充とそうじゃない人。野球でいえば「セリーグ」と「パリーグ」のちがいみたいなものだ。それも昭和の。
沢木耕太郎はギリシャからイタリアへ向かう船の上で、金髪美女相手に
「なにをしてるの?」
「フ、海に酒をすすめているのさ」
とか夢想(想像しただけ!)しちゃったりするけど、グレゴリさんは
「広大な遺跡に行くとトイレに行きたくなるバックパッカーあるある」
「おすすめ映画は小林旭の『渡り鳥』シリーズ」
「拘置所に入れられた友人のマイタケさん」
みたいなマンガを描いているお方。そら、交わりようもない。
私は当然のこと「パリーグ」の人間なんで、このときのヨコチンさんの、
「ごめんよー!」
という魂の叫びには、大いにうなずけるところがあるのである。
なんで、天に向かってあやまんなきゃならないんだろう(笑)。でも、実感だよなあ。どうせオレはヨゴレ側だよと。ごめんよ、と。
このときのグレゴリさんの反応も良くて、「おまえは平気なの?」というヨコチンさんの言葉に、
「別に。だって、グ(グレゴリさんの略称)ってさわやかやん! 沢木ィ、コーク飲もうぜ!」
と返すのだが、おおうちそのよさんの『歩くはやさで旅したい』(やはり『旅行人』で連載されていた、とってもさわやかなマンガ)を「ホレ」と見せられて、
「ゴメン、グもヨゴレてるわ……。どろソースみたいにドロドロにな……」
真っ青になって落ちこむというオチ。ダッハッハ! そら、おおうちさんとくらべたらあきませんよ!
ちなみに、グレゴリさんはその後、森優子さんと「どっちがよりヨゴレか対決」をしておられて、これまた死ぬほど笑ったんだけど、沢木さんは沢木さんで、ある女優さんに、
「あの人って、コカ・コーラみたい人ね」
などと言われて、てっきりいい意味でかと舞い上がり、「それ、どういうこと?」と重ねて訊くと、
「スカッとさわやかっ、てね。でも、それだけの人ね」
そうディスられてガッカリしたり、井上陽水さんとの対談でも、「沢木さんって、ストレートな人だよね」と言われて、
「やっぱ、まっすぐだけじゃダメかな」
なんてこともおっしゃっていたから、セリーグはセリーグなりの悩みもありそう。
そういえば、私の友人連中にも、あきらかに「さわやかなリア充系」なのに、やたらと
「自分はオタクだ」
「ボクって、実は変なヤツなんだよ」
とかアピールする子らがいたり、中には実直な公務員の先輩から、
「オレって、アウトローやん」
などと飲み屋で語られ反応に困ったりして、あれってよくわからなかったけど、今思うと沢木的「コカ・コーラって思われちゃってるよ……」っていうことなんだろうなあ。
まあ、セリーグでもパリーグでも、こういうのは「種族」だからたぶん生まれつきのもんで、結論としては、
『生まれた国』で、楽しく生きていくのが吉。
ということなのであろう。沢木ィ、オレとどろソース飲もうぜ!