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菊池のぶひろの議会だより

日本共産党 桜川市議会議員 菊池のぶひろの活動報告です

「米国の弱気と狂気」ー内田樹氏の寄稿

2025年01月12日 08時38分11秒 | 地方政治
 今日の東京新聞は、内田樹氏の寄稿「米国の弱気と狂気」を載せています。アメリカのトランプ次期大統領のやり方を書いています。紹介します。

時代を読む
 米国の弱気と狂気
 神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長
 内田 樹

 米国の外交専門誌を提起購読しているけれでも、年ごとに論者たちが弱気になってくる。「次の戦闘では中国に負けるかもしれない」という軍幹部のコメントが記事になったのは2017年のことだった。これは衝撃的だった。でも、もうこの2~3年は「中国と戦争したら負ける」という文字を読んでも驚かなくなった。

 ◇  🔹  ◇

 中国は米国よりも多くの現役兵士を擁しているし、ロシアと中国を足すと軍艦と戦車の数では米国を上回る。ロシアと中国と北朝鮮が韓国に侵攻したり、中国の台湾侵攻にロシアが参戦したりすれば、米国の数的優位は失われる。まして、中東にはイランという強力な反米国家がある。米国がアジアに釘付けになっている間にイランがイスラエル相手に戦争を始めても、米国は二正面作戦を戦うだけの余力はない。

 だから米国のアナリストたちの論調はずいぶんと弱気になった。中国が強く出た場合には、ロシア、イラン、北朝鮮などの反米的アクターが中国に加担して同時多発的に反米的な軍事行動を採ったら、米国は対処する能力がない。でも、中国に弱腰を見せると、中国は台湾の支配と南シナ海の海洋支配とアジアの勢力圏化を実行するかもしれない。どうしたらいいのか答えがわからない。それが米国アナリストたちの本音である。

 この状態でトランプが大統領になる。こうなると「トランプのでたらめさに期待するしかない」という自棄な気分が横溢してくるのもわかる。トランプは独裁者とケミストリーが合う。プーチンと金正恩とが1期目に気脈を通じてみせた。イランのハメネイと和解することはまずあり得ないが、習近平に「台湾は好きにしていい、その代わりに・・」というような「ディール」をぶつける可能性はある。バイデン時代よりトランプ時代の方が中国、ロシア、イラン、北朝鮮との緊張は緩和するかもしれないし、もっとひどいことにもなるかもしれない。予測がつかない。

 これは「マッドマン・セオリー」として知られているものである。「戦略的曖昧さ」というもう少し穏当な表現もあるが、要するに「何を考えているかわからない」と信じさせることで状況をコントロールする「先手」を打つことである。ニクソンの任期中に「精神状態がおかしいので、いつ核ミサイルのボタンを押すかわからない」という情報が意図的にリークされて、ソ連をけん制したことがあった。「統治者が狂っている」と思わせることでパワーゲームの「先手」なんかとっても、ろくなことにはならないと思うけれど、どうも米国のアナリストたちはトランプの「狂気」が米国にとって強いカードになるかもしれないと信じはめているようでもある。
 
 ◇  🔹  ◇

 「トランプは自分で何をするかさえわかっていないために、他人がその行動を予測するのは非常に難しい」とある政治学者は書いている(スティーブン・コトキン)。それが強みだというところまで米国は窮しているのである。日本の政治学者でここまで正直な人は少ない。だから日本が今どれだけリスキーな状況に置かれているのか日本人の多くは知らない。

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