生活保護法減額訴訟 最高裁判決要旨(下)
◇国家賠償法上の違法性
生活保護法に違反して違法だからと言って直ちに国家賠償法上も違法だと言えない。厚労相が注意義務を尽くさず漫然とデフレ調整に関する判断をしたとまでは認められず、国家賠償法の違法があったとは言えない。
◇ 林道晴裁判官の補足意見
2分の1処理についても基準部会の意見を聴収し、その結果を反映することは可能だった。受給者の生活に与える影響に鑑みれば、そうした手続きを経た方が生活保護行政の在り方としてより丁寧だったと言える。今後は国民一般の理解を得られるよう、丁寧な手続きによる検討が進められ、その結果について言を尽くした説明を期待したい。
◇ 宇賀克也裁判官の反対意見
ゆがみ調整の2分の1処理が行われた過程は極めて疑問が残るものであり、判断過程に過誤があると考える。違法に引き下げ幅を拡大した結果、受給者らが「最低限度の生活の需要を満たす」ことが出来ない状態が9年以上にわたり強いられてきたとすれば、精神的損害はそれぞれの請求額である1万円を下回らないと思われ、損害賠償請求は容認すべきだ。