ネトウヨという言葉を知らないわけでもないが、正面から批判する気もなかった。しかし、今日の東京新聞・本音のコラム欄には「ネトウヨ検定」と題して、正面から批判している。
あらためて、「ネトウヨ」と問われると、きちんとした定義がないようである。インターネット上で、ヘイトスピーチを発信している「ネット上の右翼」といわれる人たちのことである。一番気になることは、名前を出さないで、他人を批判をする人たちである。「陰に隠れて、人を撃つ」人たちのことである。
斉藤美奈子氏のコラムを紹介したい。
ネトウヨ検定
斎藤美奈子
10連休中、執筆上の必要があって、この20年ほどの間に出版された歴史修正主義本、ヘイト本をまとめ読みしました。
彼らの主張はだいたいいっしょ。
南京大虐殺はなかった(事件の証拠写真は捏造である)。
慰安婦の強制はなかった(軍の証拠を示す資料は存在しない)。
日本人の自虐史観はGHQの洗脳によるものである。
反日マスコミが歴史を歪めた。
沖縄には中国や韓国の工作員が潜伏している。
最初はアホかと思っても、何しろ同じことばかりいっているのだ。慣れると麻痺し、やがて依存症になるんだろうね。この種の言説の一撃は、小林よしのり「新ゴーマニズム宣言SOCIAL戦争論」(1998年)あたりだったと思うけど、現在ではさらに進化を遂げ、カルト的な「ネトウヨの世界観」が形成されている。
ミキ・デザキ監督による公開中のドキュメンタリー映画「主戦場」はそんなネトウヨの世界観を知る上で必見の快作だ。ネトウヨ界の重鎮が多数登場、慰安問題などを得々と語るのだが、自ら墓穴を掘るわ掘るわ。
問題は、歴史認識のくるったこの種の世界観を持つ人たちが政財界にも少なくないことだろう。この際、彼らの強度測る「ネトウヨ検定」を創設したらいいんじゃないか。自民党議員には最高点者続出。安部首相もきっといい線いくはずだ。
(文芸評論家)
注)
ネトウヨの言動には、「あまりにもバカバカしい」として、一般人は「無視」を極め込んでいるひともいる。しかし、ドイツ・ヒトラー政権の宣伝相・ゲッペルスが言ったように、「ウソも百編いえば本当になる」というたとえがある。ネトウヨを恐れることもないが、軽んじてもいけない。
南京大虐殺については、「あった」ことは隠しようが事実であるが、中国側と日本側で「虐殺された人数」が食い違っているだけだ。なかったことにはきない。
また、戦争の資料に関していうならば、元NHKアナウンサーであり、今は作家となっている下重暁子氏が書いている。「軍の幹部であった父は、8月15日から3日3晩、軍の資料を焼きつづけた」