一気に浮上した有望株、冷却原子方式量子コンピューターのすごさとは
量子ビットの誤り(エラー)を訂正できる「誤り耐性量子コンピューター(FTQC、Fault-Tolerant Quantum Computer)」の有望株として、「冷却原子方式」の量子コンピューターが一気に浮上している。既存方式との違いなどを解説しよう。
冷却原子量子方式では、レーザー光によって絶対零度付近である約10マイクロケルビンに冷却した原子(冷却原子)を量子ビットとして使用する。任意の量子ビット間で量子ゲート操作を行うための重要技術が2016年に確立したことから、冷却原子量子方式はここ数年で急速に台頭した。
冷却原子方式は「中性原子方式」とも呼ばれる。中性原子方式という呼び方には、原子から電子を1個取り去ったイオンを量子ビットに使用する「イオントラップ方式」と区別する意図がある。本特集では冷却原子方式の呼称を使用する。