講演中の田島先生。
難しいミクロの世界を
画像で分かりやすく説明いただきました。
通院患者数の中の認知症患者の占める割合について
・・・厚労省統計より
記憶では海馬(かいば)が大事。
神経細胞の年齢変化について。
認知症と加齢によるもの忘れの違い。
認知症の基準とは。
認知症を考える
~アルツハイマー病研究の現状~
講師は
田島 祐久先生(いわき明星大学薬学部准教授)でした。
11月16日いわき明星大学公開講座より
130名を超える大勢の方々が聴講されました。
関心の高さを表しているようです。
レジメもP67で写真はカラーとわかりやすかった。
1部:認知と記憶
2部:アルツハイマー病治療薬の現状と展望
1部:
1)①認知症とは
②要介護者の原因疾患・・・平成22年度国民生活基礎調査より
③脳血管疾患(脳卒中)・・・24%
認知症・・・・・・・・・・21%と高い。
④ 要介護5大要因の推移・・・脳血管疾患は下がりつつあるが認知症は増える傾向に。
⑤ 通院患者数の中の認知症患者の占める割合
男性では40%、女性では60%を占める(70~79歳で)・・・厚労省統計で。
2)脳の構造と機能・・・動画も取り入れて
①脳について
②大脳皮質は4つに分けられる
③脳は部位によって働きが決まっている
④記憶と学習の中枢・・・海馬(かいば)
⑤記憶に必要な脳内部位
⑥神経の伝達
⑦神経とグリア
⑧神経は1本で働いているのではない
神経を乗り換えるところで「シナプス」という構造を形成する。
多くのシナプスの間では「神経伝達物質」が信号伝達の中心。
⑨主な神経伝達物質
⑩アセチルコリン
記憶の中枢は海馬
海馬と前頭前野が記憶形成に重要である。
記憶の形成に重要な神経伝達物質は
コリン作動性神経から放出されるアセチルコリン。
3)記憶とは
①記憶の過程
記名(符号化)→保持(貯蔵)→想起(検索)→忘却
②記憶の種類
③感覚記憶とは
④短期記憶
⑤長期記憶
を話され、結論として
記憶には感覚記憶、短期記憶、長期記憶が存在。
海馬から大脳皮質の経路、特に前頭葉への経路が重要。
その経路にはコリン作動神経(アセチルコリン)がかかわっている。
2部:
1)認知症とアルツハイマー病
①神経細胞の年齢変化
海馬も前頭前野も加齢により神経や神経活動が減っている・・・残念だが。
②加齢によるもの忘れと認知症
だれでも年を取ればもの忘れが多くなる。
では、加齢による記憶障害と認知症とは何が違うのか?
③認知症の基準
④認知症と加齢によるもの忘れの違い
・記憶障害の他に認知機能障害(失語、失認、失行、実行機能障害)が?
・日常生活に支障が?
・悪化が見られない(年相応)
少なくともこの3つが認められないと認知症とは診断されない。
どれか一つでもあてはまらなかったら認知症ではない。
すなわち加齢によるもの忘れとなる。
⑤認知症とは・・・アルツハイマー型認知症が46%を占めています。
⑥アルツハイマー病とは
⑦アルツハイマー病の現状
⑧認知症(アルツハイマー病)判定テスト・・・参加者に実験を。
ここに参加される方は問題なかった。
⑨アルツハイマー病の病理学的所見・・・正常とアルツハイマー病を画像で。
老人斑の出現、神経原線雑変化、脳の委縮が。
⑩家族性アルツハイマー病遺伝子の発病原因
⑪老人性アルツハイマー型認知症の原因・・・まだわかっていない
危険因子としてあげられるもの
☆年齢とともに指数関数的に上昇する。
☆アポリタンパク質E4・・・脂質代謝に関係
このたんぱく質を持つ人は」アルツハイマー病になる確率が3倍と。
☆高血圧・喫煙・高脂血症など。
☆食習慣・運動・知的活動など。
⑫アルツハイマー病の原因仮説
・・・現在までアルツハイマー病の原因はわかっていない。
☆コリン学説
☆アミロイド仮説
3)アルツハイマー病治療薬
① 現在使われているもの4種類
☆ドネペジル(アリセプト)・・・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤
☆リバスチグリン(イクセロンパッッチ、リバスタッチ)・・・上記に同じ・
☆ガランタミン(レミニール)・・・上記に同じ。
☆メマンチン(メマリー)・・・グルタミン酸受容体阻害薬
②現在発売されている治療薬の欠点
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル(アリセプト)
・・・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル・リバスチグリン・ガランタミンは
生き残った神経のシグナルを強化することはできるが
神経をが死んでいくことを止めない限り、アルツハイマー病の根治薬たり得ない!!
現在
βアミロイド仮説に基づいて多くの治療剤の開発がなされていると。
4)先生の研究
アルツハイマー病に拮抗する因子の探索のお話。
既存薬では神経変死を止められないので
アルツハイマー病の根本的治療薬の開発には
神経細胞死の抑制が必要ではないとの考えで。
田島先生
専門的で難しいお話を
素人でもパワーポイントでミクロの世界が覘けた。
ありがとうございました。
これから誰にでも起こる問題。
理解を深めて危険因子の生活をしない工夫が必要です。