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いわき・うぶすな広場だより

セカンドライフの生き方を書いています。

忘れられた「遠野物語」の話し手・佐々木喜善!!・・・いわき

2013-11-15 09:01:07 | 日記

いわき市総合図書館で読めます
佐々木喜善さんの著作です。


聴耳草子はちくま学芸文庫で。
幽霊記は新人物往来社で。


昨年の夏から
忘れられた「遠野物語」の話し手・佐々木喜善さん
を考えていましたが
今年の9月から少し時間が取れるようになりましたので、
現在も読み続けています。

柳田国男の不朽の名著「遠野物語」の成立

序文に

「この話は遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。

昨明治42年の2月頃より始めて夜分をりをり訪ね来たり、

この話をせられしを筆記せしなり」と書かれております。

明治43年に出版され、
日本民俗学が学問として成立する第一歩となった本として有名です。
すなわち

柳田国男に遠野の伝承を話した→遠野物語が書かれた→日本の民俗学の出発点になった。

 昨年
プロジェクト傳の会員でもあります
民俗学者の山崎裕子先生のお話を聞く中で
民俗学の原点の遠野物語を読んでみようと
思って探したが見つからないので(3・11のどさくさで散逸したものと思われる)、
文庫を購入して読んでみました。

以前に2~3度読んでいるはずだが
序文のこの箇所はあまり深く考えてもいなかった。
昨年読んだとき、ふとこの人はどんな人だったのかということを考えた。

 今年の9月以降少し調べてみました。

遠野物語は
佐々木さん、小説家の水野葉舟(ようしゅう)(大正時代の流行作家)・・・「怪談」で柳田より前に出版。
水野葉舟は
柳田国男に佐々木を紹介し、話を聞いた時に一緒に聞いていた人です。

結局3人の方が「遠野物語」を書いていたのではないかと。

佐々木喜善とは
筆名を鏡石らいくつかあり、

明治19年10月5日~昭和8年9月29日・・・48歳で不遇のうちに亡くなる。

岩手県上閉伊郡土渕村に生まれ、
現在の岩手医大・東洋大学・早稲田大学などに学び
作家を志望し、赤とんぼの三木露風・北原白秋・前田夕暮等の友人と交わった。

その後、民俗学や昔話収集家として本も出された。

「奥州のザシキワラジの話」「江差郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草子」「農民狸譚」等
あるのにびっくりした。

 「聴耳草子(ききみみぞうし)」
岩手県だけでなく岩手・秋田・宮城県の昔話を採録し
東北の昔話を303話に集約し183番に分類した労作です(山形・福島はなし)。

こうした実績があるにもかかわらず採集者であって研究者としては扱われてこなかった。

柳田国男は
研究は中央で、採集は地方という分担を考えていたのではないだろうか。
そして
「遠野物語」の話し手・佐々木喜善は忘れられてしまった。

が、
佐々木喜善のすごいところは
偽汽車」や満州事変などの「御神立(おんかんだち)の話」など
現在進行形の話も昔話として入れられているところがすごい。

 石井正巳さんは
「老媼夜譚(ろうおうやたん)」の解説の中で

「佐々木は

「遠野物語」の話し手で終わらず

日本でまだ誰も発見していなかった昔話に

人生をかけ東北の地からその価値を力説したのです」と。

その偉業を

金田一京助は「佐々木を「日本のグリム」と呼んだ」と書いています。

 

「老媼夜譚」「遠野奇談」はいわき総合図書館で読めます。

「聴耳草子」ちくま学芸文庫で 1300円+税
・・・日本の民衆の中に息づいています恐ろしい物語・不思議な物語・愉快な物語が
書かれて日本人の心を知るのに格好の本です。

 また
佐々木喜善の一生について
新人物往来社の新人物文庫で

長尾宇迦さんが「幽霊記 遠野物語」
日本の民俗学の原点といわれる「遠野物語」の陰で
48歳で亡くなった佐々木喜善の生涯を描いているのも貴重だ。

こうして現在では
佐々木喜善のことは少しづつ評価されつつある。
ホッとしました。
これからますます評価してほしいです。

コメント
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