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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(292); 四間飛車に玉頭位取り

2016-09-29 | 大山将棋研究
昭和51年6月、原田泰夫先生と第3回名将戦です。


大山先生の四間飛車に原田先生は持久戦ですね。攻め将棋だったはずですが?

結局玉頭位取りで、大山先生は石田流を目指します。

74歩の交換の受け方に個性があります。原田先生は強気なので謝らずに飛車先を伸ばし

86歩同角を入れて銀を出ます。

結局これで収まりますが、86歩同角の形にしたのが原田先生の主張です。大山先生から動く手はないだろうと。

大山先生は58の金を78まで寄せて75角。浮かびにくいですがこれで打開できています。74飛には53角成76飛44馬33金67金44金76金、というつもりか、86飛75飛81飛成のほうか。

86の歩を突けて

78の金を戻します。原田先生も飛車を2筋に転回します。うまくバランスをとっているように見えたのですが

大山先生が65に飛車をういた意味が分かりますか?

63歩成から角を切って85飛。桂馬をとれるなら63飛成よりも得です。原田先生としては93桂81飛成76角とすべきでした。

大山先生は桂香を先に取れたので

26桂から銀をはがし、43歩同玉46香でもう一枚銀をはがします。

後は取った銀を打って玉頭を制圧し

投了図。

原田先生の86歩、86同角と限定させ、65歩と突かせた形は石田流でもさばけないだろう、という意図でした。これに58の金を78に寄せて角を移動し、さらに58に戻す、というのは大山先生らしい駒運びで、これで間に合うと読んだのが強さです。
原田先生はこのころは振り飛車党になっていたと思うのですが、玉頭位取りは指しなれていないのでしょう、戦型選択を誤った気がします。負けても急戦のほうが個性を生かせたと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:原田泰夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 6二銀(71)
5 7八銀(79)
6 4二玉(51)
7 6八飛(28)
8 3二玉(42)
9 4八玉(59)
10 1四歩(13)
11 1六歩(17)
12 5四歩(53)
13 3八玉(48)
14 5三銀(62)
15 6七銀(78)
16 4二銀(31)
17 7五歩(76)
18 4四歩(43)
19 7八飛(68)
20 4三銀(42)
21 5六銀(67)
22 3五歩(34)
23 4六歩(47)
24 2四歩(23)
25 2八玉(38)
26 2五歩(24)
27 3八銀(39)
28 3四銀(43)
29 9六歩(97)
30 4二金(41)
31 5八金(69)
32 3三角(22)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(78)
36 8四歩(83)
37 9七角(88)
38 8五歩(84)
39 7七桂(89)
40 8六歩(85)
41 同 角(97)
42 6四銀(53)
43 6五歩(66)
44 5三銀(64)
45 7六飛(74)
46 9四歩(93)
47 9八香(99)
48 8四飛(82)
49 7四歩打
50 7二歩打
51 6八金(58)
52 5二金(61)
53 7八金(68)
54 2四角(33)
55 7五角(86)
56 8三飛(84)
57 4七銀(56)
58 4五歩(44)
59 同 歩(46)
60 同 銀(34)
61 4六歩打
62 3四銀(45)
63 8六歩(87)
64 6四歩(63)
65 同 歩(65)
66 4四銀(53)
67 6八金(78)
68 2三飛(83)
69 5八金(68)
70 3三角(24)
71 6六飛(76)
72 6二歩打
73 6五飛(66)
74 2六歩(25)
75 同 歩(27)
76 同 飛(23)
77 2七歩打
78 2四飛(26)
79 6三歩成(64)
80 同 歩(62)
81 4二角成(75)
82 同 金(52)
83 8五飛(65)
84 1五歩(14)
85 8一飛成(85)
86 1六歩(15)
87 1八歩打
88 7六角打
89 7三歩成(74)
90 同 歩(72)
91 9一龍(81)
92 9八角成(76)
93 2六桂打
94 2三香打
95 3四桂(26)
96 同 飛(24)
97 4五歩(46)
98 同 銀(44)
99 4三歩打
100 同 玉(32)
101 4六香打
102 同 銀(45)
103 同 銀(47)
104 4一歩打
105 4五銀打
106 1四飛(34)
107 3五銀(46)
108 7七角成(33)
109 5一龍(91)
110 1五桂打
111 3四銀打
112 3二玉(43)
113 2三銀(34)
114 同 玉(32)
115 2六香打
116 投了
まで115手で先手の勝ち


20160929今日の一手<その394>; 棒銀を無視されたら

2016-09-29 | 今日の一手

20160929今日の一手

東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。

おまけで、その終盤での好手があります。見えますか?





一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さはやや先手のほうが堅いです。72銀が守りに働いていないとみます。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚ですが、15銀や19香はすぐに働きそうです。ほぼ3枚です。
後手の攻め駒は11香と持ち駒角で2枚。玉を6筋に移動したので、11の香は攻め駒にカウントしましょう。

総合すれば先手が指しやすいです。

大局観として

角換わりの場合、棒銀、早繰り銀、腰掛銀は3すくみの関係だと言いますね。棒銀<早繰り銀<腰掛銀<棒銀、という相性があります。棒銀に腰掛銀?の対抗ですから、(腰掛銀は攻め足が遅いので)素直に進めば棒銀が有利です。
後手は右玉にして棒銀をかわそうとしたのですが、先手右玉なら指せるということになっています。この将棋は多分実際にも先手棒銀で、その場合後手の受けは間に合っていません。
そこでごまかそうとして15歩同歩同銀を取らなかったということでしょう。
62玉ではなく15同香だったとしたら、同香13歩12歩22銀11歩成同銀84香同飛66角

というのが代表的な変化です。こういうのは定跡書に載っているのですが、15銀を取らなかったらどうなるの?というのがアマチュアでは たまに出てきます。プロの将棋ではこうなりませんし、定跡書でここまでは解説していないでしょうから、2択の問題にしてみました。

後手陣は41銀の傷があったり、72の銀が働いていないというか壁になっているので強く攻めたいのですが、反面63銀の形なら桂香をもって83香同飛75桂という傷があるので72銀のほうが攻めにくいという気もします。だから強攻するか、ゆっくり行くか悩んでしまいそうです。
先手玉は一応安定していて、居玉から68に移動するだけでも大きいです。欲を言えばもっと囲っておきたいのですが、棒銀ならこれくらいでしょう。でも実は49金が浮いているのが災いする変化もあります。難しいものです。

さて、24歩と14歩、どちらを選びましたか?


○ 24歩が実戦のほうで

いつでも15香がありそうでややこしいですが、23歩成のほうが速いので24同歩同銀までは進みます。そこで19香成だったのですが

これは悪手です。33銀成同桂21飛成31香23歩

これで先手楽勝、と思ったら、実戦は45桂58金86歩同銀88歩同金29成香22歩成55角

で後手がごまかしてしまいました。こんなにいうことを聞いていたら怪しくなります。まだ形勢は悪くなったわけではないのですが、わけがわからなくなっています。どこかで手抜いて32と と踏み込めば勝ちでした。

後手の19香成は悪手で、24同銀しかありません。

ここで24同飛23歩28飛19香成

では先手が失敗です。後手が15の銀を取らなかったのが生きてしまいます。

24同銀に11香成

ここまで読めましたか?ここからは結構難しくて、26歩が怪しい手です。21成香なら

27歩成同飛16角24飛49角成14飛58銀

14飛が甘い手ですが、こうなれば後手が優勢です。

つまりは26歩に同飛と取ります。

25銀打28飛33桂27香

後手は1歩しかないのでこれで先手よし、というのが結論です。もう1歩あれば25銀打ではなく25歩で済むので(16飛の時に15歩がある、ないので27角12飛成49角成32竜は先手よし)後手が指せそう、という難しい変化でした。


○ 14歩はゆっくりした展開になりそうで

12歩に24歩同歩同銀同銀同飛23歩28飛

は言い分が通りました。でも後手陣は41銀の傷があるとはいえ、すぐにつぶれるわけではありません。先手の攻め駒は3枚ですから当然でしょう。横歩をとったらもう少し激しいですが、多分飛車を取られることになるので難しいところです。

なお後手は22銀と頑張ると

24歩同歩同銀23歩に13歩成が手筋。

13同桂15銀14歩に12歩

15歩には11歩成同銀84香

から66角の筋を食らいます。

途中12歩に同香で14銀

となれば、24歩同歩23歩の筋が狙えます。


棒銀で攻める将棋を選んだのですから、24歩と行きたくなります。でもなかなか難しい変化なのです。49金が浮いていなければもう少し簡単だったかもしれません。銀を捨てても桂香が取れるのならば十分成立します。

読みに自信がなければ14歩のほうが無難で、十分な態勢にはなります。そこからどうするか、というのはなかなか難しくて、じっくり指すか、34歩を狙うか、というのは悩みどころです。