名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(276); 四間飛車に棒銀

2016-09-13 | 大山将棋研究
大山将棋研究(9)と同じ将棋でした。最初のほうに(読んでいませんが)自戦記で解説があります。

昭和51年1月、二上達也先生と第27期棋聖戦第3局です。


大山先生の四間飛車に二上先生は棒銀です。でも大山先生は41金のまま待っていますから

32金はもう当たり前に見えますね。

あとはお約束の袖飛車です。

二上先生の66歩から77金は手堅い受け方です。76歩と打っても86金から飛車を追って76の歩を取りに行けばよいです。

大山先生の73飛から72金は目新しいです。コンパクトに固めました。

大山先生は74歩と謝りました。52銀右から53飛のつもりだったのでしょうか。

二上先生は2筋攻めを見せてけん制しますが、大山先生はまた75歩の交換です。

36歩は打ちたくないですが、38飛は34歩が嫌味、46銀右はあったでしょう。

そのあと24歩同歩同銀と動いたのが敗因です。ここは86歩~87玉~78金~68銀~77銀と矢倉に組みなおすとかで玉を固めるべきでした。33桂は軽い受けですね。

大山先生は55歩から75歩で飛車の転回を目指し

二上先生はそれを嫌って金を上がるのですが、どんどん薄くなります。

55歩から54銀左で振り飛車が好調です。

ゆっくり攻められて、二上先生は何か動くしかなくなりました。

大山先生はそれを迎え撃てばいいだけなので楽ですね。角をぶつけ

桂馬の跳ね違い。

飛車先を止めて

成桂を寄せます。

銀を取らせても と金が残れば十分です。

後は駒をもらえばよく、と言って馬は逃げにくいので二上先生は形つくりモードです。

大山先生は手に乗って角を打ち

二上先生は小駒だけなので、飛車の横利きを止めて次に詰めろがかかるかどうか。

大山先生は と金を捨てて銀を打てば金が取れるので簡単でした。

投了図。

こういうわけのわからない中盤戦になると大山先生は強いです。形勢がよくなれば相手にも指させて確実な1手勝ちを目指しました。
二上先生はじりじりした中盤は苦手なのでしょう、玉を固めながら待てば悪くないのですけれど。
そういう相性の良さ悪さがあって、大山先生はストレート防衛です。
後手番をもって並べてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上達也9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 7二銀(71)
17 6八銀(79)
18 6四歩(63)
19 5七銀(68)
20 4三銀(32)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3七銀(48)
24 7四歩(73)
25 9六歩(97)
26 9四歩(93)
27 2六銀(37)
28 3二金(41)
29 3五歩(36)
30 6三銀(72)
31 6八金(69)
32 7二飛(42)
33 3四歩(35)
34 同 銀(43)
35 6六歩(67)
36 7五歩(74)
37 同 歩(76)
38 同 飛(72)
39 7七金(68)
40 7三飛(75)
41 7六歩打
42 7二金(61)
43 6七金(58)
44 5四歩(53)
45 1六歩(17)
46 8四歩(83)
47 3八飛(28)
48 4三銀(34)
49 3五銀(26)
50 1四歩(13)
51 7九角(88)
52 7四歩打
53 2八飛(38)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 同 飛(73)
57 3六歩打
58 5一角(33)
59 7六歩打
60 7三飛(75)
61 2四歩(25)
62 同 歩(23)
63 同 銀(35)
64 3三桂(21)
65 4八銀(57)
66 2五歩打
67 3七桂(29)
68 5五歩(54)
69 同 歩(56)
70 7五歩打
71 同 歩(76)
72 同 飛(73)
73 5六金(67)
74 7三飛(75)
75 7六歩打
76 5四歩打
77 同 歩(55)
78 5五歩打
79 同 金(56)
80 5四銀(43)
81 5六金(55)
82 5五歩打
83 5七金(56)
84 6五歩(64)
85 3五銀(24)
86 4三金(32)
87 9七角(79)
88 4二角(51)
89 同 角成(97)
90 同 金(43)
91 5一角打
92 4三金(42)
93 2五桂(37)
94 4五桂(33)
95 6七金(57)
96 4九角打
97 3三桂成(25)
98 6六歩(65)
99 同 金(67)
100 2七歩打
101 1八飛(28)
102 5三金(43)
103 5九銀(48)
104 3七桂成(45)
105 6八飛(18)
106 4七成桂(37)
107 4二角成(51)
108 5二金(53)
109 3二馬(42)
110 5六歩(55)
111 6四歩打
112 5七歩成(56)
113 1八飛(68)
114 6四銀(63)
115 5四馬(32)
116 6三金(52)
117 同 馬(54)
118 同 飛(73)
119 7四金打
120 3三飛(63)
121 6四金(74)
122 3七角打
123 4四銀(35)
124 1三飛(33)
125 7五金(66)
126 5九角成(37)
127 6三歩打
128 6七と(57)
129 同 金(77)
130 6九銀打
131 8八玉(78)
132 6七角成(49)
133 9八玉(88)
134 7八銀(69)
135 6一銀打
136 8六桂打
137 投了
まで136手で後手の勝ち
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20160913今日の一手<その386>; 激しい将棋は手が狭い

2016-09-13 | 今日の一手

20160913今日の一手

8月13日の名南将棋大会から、NさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手は持ち歩がないのでカウントします。戦いが始まったので影響は小さいかもしれませんが、持ち歩が少ないと攻めにくいということはあります。
玉の堅さは後手のほうがやや堅いです。これは玉の位置によるもので、31のほうが上部からの攻めに対して当たりが弱いためです。横からの攻めなら78玉のほうが良いということになります。
先手の攻め駒は71角1枚。
後手の攻め駒は65銀と持ち駒角で2枚。

総合すればやや後手もちです。

大局観として

先手陣を見ると、38の金が離れているのが痛いです。(58にあれば有利ですが。)桂馬を支えるくらいの意味しかないので、戦いになると苦しそうです。それをカバーするために71角と両取りに打って攻めをけん制しようとしたのです。ですから局面を落ち着かせて駒得を生かそうというのが本筋です。
とはいえ後手の攻めもなかなかの迫力です。全部受けきってというのは難しそうです。どこかで攻め合いに出ることも考えないと受けきれません。
形勢は良いとは言えないので、正しそうな応手は1つか2つでしょう。攻め合いを考えるか、じっと我慢するかです。


○ 実戦では62角成としました。

前の手を生かすので悪い手ではなさそうですが、後手に「両取り逃げるべからず」をやられたのが気になります。でも後手は65桂と跳ねにくいのでかなり有効な馬の位置です。64飛にも53馬がありますね。ということで有望です。
77歩成同金56銀同飛86歩同歩(取らずに53馬があったか)69銀

69同玉64飛67歩62飛53飛成

馬は取られてしまいましたが、角金交換で竜を作ったので悪い取引ではありません。自玉が薄いとはいえ攻め駒4枚なので先手有利でしょう。
以下は65飛24歩同銀に54銀が疑問手。

55飛~57飛成を許して先手の負けです。

54銀では51竜22玉41銀

とすれば後手は持ち駒に金がないので受けにくい形です。31金なら42銀と打つ調子です。これなら勝てたでしょう。

また、途中69銀に88玉

と頑張るのもあって、65桂84馬77桂成同玉65銀

が怖いのですが、後手が歩切れなので83馬に56銀同馬しかないので上部脱出が可能。かなり怖いですがこれも先手がよさそうな変化でした。


× 93角成は飛車取りですが

77歩成同桂64飛55銀

銀香交換になるので少し頑張って駒得を狙わないといけません。だから77歩成は桂で取ります。
34飛83馬36歩35歩

飛車をとれそうなのですが、35同飛46銀37歩成35銀66桂

では寄せられそうです。


△ じっと88銀と引きたいところではあります。

両取りになっているので急がないほうが良いだろうという判断ですね。56銀同飛64飛67歩22玉

で少し落ち着きます。先手は67歩を打っておかないと後手から67歩同金69銀の寄せがあります。後手は53飛成や62角成同飛53飛成があるので22玉としておきたい。
ここで後手から65角や59銀69金49角の筋があるので難しいのです。38金がたたっています。
55銀63飛93角成65角64香54歩

という展開は一応互角ながら、駒得でゆっくり、という予定がずれています。

ということは戻って34歩同銀62角成同飛53飛成61歩73竜

として26桂からの寄せを見てどうか。88銀と利かされている形なので自信はありませんが、まあまあです。


× 65銀と取ると

77歩成同桂65桂同桂

これで銀桂交換。64飛66歩67歩同金36歩

桂取りで64飛とまわられてしまうので感触が悪く、36同飛には58銀から69角の筋で寄せられます。


× 76同銀は

76同銀62角成86歩

8筋を突破されてしまいます。

☆ まとめ
角換わりの将棋は激しくなりやすく、たくさん駒がぶつかっている問題図でも有力な手は限られます。

両取りを打ったら一方を受けてもらって他方を取るのが理想です。だからそれを避けるために両取り逃げるべからずという将棋格言があります。小さな損なら被害の小さい方を選んで、という展開になるのが一番多いのですが、この場合はどちらを取るのも馬ができるおまけつきです。
ですから通常は76歩にもおとなしく相手をするものです。88銀と引いて我慢する、落ち着かせる、というのが本手のはず。ただし激しい展開になると利かされも大きいのです。だから悩みますね。少なくともつぶれないことだけは確認して銀を引かねばなりません。

62角成は両取りの一方を逃げてもらえないのに取るのですから効率は悪いです。2手かけて金を取ったという計算ですから。ただしそのあとの馬の位置がよく、飛桂の動きをけん制しています。代わりに64飛が馬取りになるので派手な戦いになりますが、駒を捨てて両取りなので先手が指せました。

この2つが有力な手で、比較するのは悩ましいです。

それ以外の65銀や76同銀や93角成は駒損になりそうなのであまり考えなくてもよいでしょう。この場合の駒損は自玉の安定に関係しています。囲いの77銀を取らせるなら相応の代償がないと指せません。

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