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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(268);三間飛車(急戦向い飛車)に左美濃

2016-09-05 | 大山将棋研究
昭和50年12月、升田幸三先生と第30期A級順位戦です。


升田先生の三間飛車です。升田先生は端を受けないことが多いです。

それは早く攻撃の形を作りたいからで、向い飛車から急戦含み。

大山先生としては端の位を取っているので飛車交換から45歩なんて考えないでしょう。

これでひと段落。後手から35歩に26飛では36歩同飛25桂がありますが、35歩には47金ですね。

少し駒組みで互いに銀冠になりました。

43銀を見て48銀。67金右まで組めているので大山先生が十分です。

升田先生は3筋に位を取って攻め筋を見ますが

大山先生は軽く成り捨てて

5筋の突き捨てから合わせの歩。薄いところを攻めます。

43銀と守らせて桂をさばきます。

升田先生は控えの桂で反撃ですが、この桂は跳ねないで受けに使うほうが良かったのでしょう。

大山先生は今度は7筋の突き捨てから合わせの歩で、これが急所。

8筋を攻めて優勢です。

升田先生は桂を捨てて1手稼いで45金と攻めますが

やはり85歩は急所です。

桂馬を2枚使って攻め駒4枚。

あとは駒を手に入れればよいです。(94歩には45歩から84歩)

ここまで。

この向い飛車は後手番の戦法で、最初から向い飛車にできた場合でもうまくいかないことが多いです。アマチュアなら受け待ちがいそうですけれど。升田先生は端を譲って2手はやく攻めようとしましたがそれでもうまくいきません。
持久戦になったら片銀冠よりは木村美濃のほうがバランスが良いのですが、9筋を詰められているので指しきれなかったのでしょう。作戦負けからそのまま押し切った、という将棋です。先手が大山先生だといわれてもピンときませんが、堂々とした指し方です。居飛車を持ったらこういうふうに指したいですね。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 8二玉(72)
15 5六歩(57)
16 4二銀(31)
17 5八金(49)
18 7二銀(71)
19 9五歩(96)
20 4三銀(42)
21 3六歩(37)
22 2二飛(32)
23 4六歩(47)
24 3二金(41)
25 5七銀(48)
26 2四歩(23)
27 同 歩(25)
28 同 飛(22)
29 2五歩打
30 2二飛(24)
31 8六歩(87)
32 5四歩(53)
33 1六歩(17)
34 4二角(33)
35 7七角(88)
36 3三桂(21)
37 3七桂(29)
38 2一飛(22)
39 1五歩(16)
40 7四歩(73)
41 6六歩(67)
42 8四歩(83)
43 8八玉(78)
44 8三銀(72)
45 7八銀(79)
46 7二金(61)
47 8七銀(78)
48 7三桂(81)
49 7八金(69)
50 5二銀(43)
51 6七金(58)
52 6四歩(63)
53 6八角(77)
54 4三銀(52)
55 4八銀(57)
56 3五歩(34)
57 4七銀(48)
58 3六歩(35)
59 同 銀(47)
60 3五歩打
61 4七銀(36)
62 3四銀(43)
63 2四歩(25)
64 5三角(42)
65 2三歩成(24)
66 同 金(32)
67 5五歩(56)
68 同 歩(54)
69 5六歩打
70 2五歩打
71 5五歩(56)
72 4三銀(34)
73 2五桂(37)
74 3四金(23)
75 2六歩打
76 2五桂(33)
77 同 歩(26)
78 4二角(53)
79 2九飛(28)
80 6三桂打
81 7七金(67)
82 5五桂(63)
83 5六銀(47)
84 5四歩打
85 2四歩(25)
86 2五歩打
87 7五歩(76)
88 同 歩(74)
89 7六歩打
90 同 歩(75)
91 同 金(77)
92 7四歩打
93 6五歩(66)
94 同 歩(64)
95 5七角(68)
96 3六歩(35)
97 3九飛(29)
98 2四角(42)
99 8五歩(86)
100 同 桂(73)
101 8六歩打
102 4五金(34)
103 同 銀(56)
104 4七桂成(55)
105 7九角(57)
106 4五歩(44)
107 8五歩(86)
108 同 歩(84)
109 7七桂(89)
110 6六歩(65)
111 6五桂打
112 3七歩成(36)
113 8五桂(77)
114 8四銀打
115 7三歩打
116 6三金(72)
117 9六桂打
118 9五銀(84)
119 6八角(79)
120 9六銀(95)
121 同 香(99)
122 3三角(24)
123 7七角(68)
124 投了
まで123手で先手の勝ち

20160905今日の一手<その382> ; カウンターを決める

2016-09-05 | 今日の一手

20160905今日の一手

8月13日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。後手は8,9筋に嫌味があるので大分違います。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。

総合すれば先手のほうが指しやすい局面です。

大局観として

後手は端を受けずに強気で3筋を攻めてきました。92歩を省略して35同歩に36歩というつもりでしょう。
でも1歩もらったら、93歩成同香94歩という筋がありますね。つまりチャンスです。1歩もらっていいのか悪いのかを読むのが最初です。
35同歩で互角くらいだとしたら工夫できないか。24歩とか45歩ですね。
35同歩が悪いのならば36の地点を受けるのですが、飛か金か角か。
いずれにせよ後手から動いてきたのですから、その対応を考えればいいわけで少し楽です。将棋は作戦勝ちから相手に動いてもらってカウンターで反撃を決めるのが一番無理のない勝ち方です。カウンターを考えましょう。


○ 35同歩から。

36歩45桂37歩成29飛38角39飛47と

これくらいは進むでしょう。58の金を逃げて、ではなくて93歩成です。93同玉に71角

92玉84銀81玉62角成同飛83銀成

38の角が質駒ですし、91香成もあるので攻め駒の数は十分あります。45の桂馬だって働きそうです。ですからこれは先手優勢。

後手は93歩成に同香なのでしょう。

この時1歩あるので94歩同香同銀同銀同香

84香もあるので後手玉は逃げ出すしかないです。まだ先は長そうですが、先手が勝ちやすいでしょう。


△ 24歩と突き捨てておいたらどうか。

前と同じように進めたら(24同歩35歩36歩45桂37歩成29飛38角39飛)後手が1歩持っているので92歩と受けられてしまいます。


ですから途中で飛車を見切って23歩の筋です。

23同飛32角22飛43角成29角成44馬

これでも指せないことはないのですが、少し損でしょうか。37歩成の時に23歩を決行すれば後手の馬がなくて28と の形なのでこの図より少し得ですね(47とがない)。44馬の味が良いので候補にはなります。


× 45歩は

36歩44歩37歩成

29飛では44歩とされて損です。ここで何かないといけないのですが、84銀打には92歩83銀成同玉

で、ここまで。後手は36歩と取り込む以外の選択肢もありますし、45歩でよしにはならないです。


○ 36の地点を受けてみます。26飛から。

後手は36歩とは取りにくいですね(31飛成がある)。32飛24歩36歩23歩成35飛25飛

飛車交換は歓迎です。

といって32飛24歩に同歩同飛22歩は23歩

33銀22歩成同飛で飛車交換は歓迎、これも先手よしです。

と言って26飛に92歩と受けても45歩33銀35歩

となれば先手が十分です。


× 47金と受けてみます。

36歩45桂32飛

これは歩切れなので困っています。


△ 24歩同歩47金なら

32飛が消えています。36歩45桂25歩36金92歩

くらいで、これは互角。


× 実戦では47角と受けました。

36歩同角32飛に63角成同金38歩

なんだか調子が悪い手順です。36歩45桂37歩成同歩同飛成18飛39竜

これで後手有利です。

工夫します。32飛の時に47金と受けて

35歩なら63角成同金24歩

これで飛車交換を恐れずに指せば十分です。

後手は47金に34飛か。

これには重いようですが24歩同歩22歩33桂21歩成

と香車を取りに行き、84香を狙えば指せそうです。

では47角でよしかと言えばそんなことはなくて、36歩同角に(32飛ではなく)35銀

なら後手が指せました。

☆ まとめ
後手の35歩はチャンスボールでした。

35同歩として と金を作られても、1歩もらって93歩成はかなり厳しいです。

24歩同歩と突き捨てておきたいのですが、1歩渡すので92歩と受けられるとゆっくりした流れになってしまいます。

45歩とするのは桂馬が逃げられなくなるので筋がよいとはいえず、銀を逃げずに36歩と取り込まれても厄介です。


桂頭を受ける手段としては

26飛は36歩同飛28角とか27角があるので、角交換してある場合は考えないのですが(私は大分後で気が付きました)、この場合は31飛成があります。取り込まれないなら桂頭を軽く受けられることになるので効率が良いです。

47金は32飛の筋が嫌味。ですから24歩同歩47金と受けます。後手は歩をもらったので92歩と受けて、これはゆっくりした流れです。47金36歩45桂というセットの受け方は覚えておくとよいです。

47角はもったいない受け方で、受けだけに角を手放すのは仕方のない時だけです。この場合は63角成があるのでそんなに悪くはないのですが、1歩もらっても93歩成に同玉で頑張られてしまう(71角がない)ので損です。


自陣だけ見ると36の地点を攻められるのは嫌なのですが、1歩持ったら93歩成が厳しいですね。ですから堂々と取るのがかなり有力です。玉の堅さが大分違うので飛車交換とか飛車を捨てる(代償を取る)とかで有利になりやすいです。

作戦勝ち(指しやすい)ときでも自分から動くと案外難しいということはよくあるのです。こういう時に相手から動いてもらう、あるいは相手から動かざるを得ない状況に追い込んでしまうととても指しやすくなります。
この問題図の場合は、玉の堅さで上回っていて、戦いが起これば有利になりやすい状況でした。そこで相手から動いてもらったのですから互角以上に対応しやすく、やや強く戦えば自然によくなります。