この棋譜は大山将棋研究(10)で並べたのですが、気が付かずそのまま記事にしてしまいました。最初のほうに自戦記で上がっていて、後で棋譜だけ掲載されていたためです。(自戦記は読まずに書いています。)
300局近く並べて、私も見る目が肥えてきたので、違う感想を書いていますのでそのままにしておきます。
なお、(10)では肩書が桐山王座としてありますが、ノンタイトルなのでこちらは桐山八段です。
昭和51年6月、桐山清澄先生と第28期棋聖戦第1局です。まだ20代の桐山先生初めてのタイトル挑戦です。

桐山先生はオールラウンドプレイヤーだったはずですが、大山先生は平気で26歩としています。度胸があるか試したということでしょうか。

桐山先生は無難に四間飛車です。横歩取りとか目指したらどうなっていたのでしょう?

大山先生は中央位取りで、6筋の歩を交換すればポイントですが

そのあとは右から動きます。1歩持っているという主張はあるのですが、欲張るのは良いとは言えません。

がっちり抑えて

1歩持っているから34歩が利きました。ゆっくりした攻め方ですが、手は困りません。桐山先生は垂れ歩。なんだか先手後手逆を持っているような気がします。

大山先生は馬を作り

桂を取りました。少しよさそうです。

得した桂を打つのはもったいないです。でも24飛は36歩が嫌味。

馬を飛車と交換するのももったいないです。

桂を成り捨てるのは、取りにくいからいいのですが、52歩と合わせて と金で攻めるほうが普通です。

桐山先生は8,9筋から味をつけます。大山先生は謝るのもありますが、堂々と応接です。相手を試すような指し方なのでしょう。

大山先生は角はおろか51の歩も取りません。取ると55歩が嫌だということでしょう。もたれておいて相手が間違えるのを待っています。

65歩にじっと85歩と取って84香のプレッシャー、でも本当にやるつもりはなさそうに思います。

34角から成桂を取るなんて桐山先生らしい粘りです。

これで勝負の形になりましたが

あれ?と金を払えませんね。とはいっても前の図で受けても苦しそうです。34角がスカだったのです。

投了図。
桐山先生としては、何が敗因だったの?という将棋です。大山先生は相手が疑念を持つような展開にうまく持ち込みました。そういう意味で大山先生の名局です。この人に勝つのは簡単ではないと実際に対局で感じさせたのです。
この真綿で首を締めるような感じ、まねはできませんが、将棋の奥深さを思います。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:桐山清澄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(32)
11 6八玉(59)
12 4二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 7二銀(71)
19 5八金(49)
20 7一玉(62)
21 5五歩(56)
22 5二金(41)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 6三金(52)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 6四歩打
31 5六銀(65)
32 7四歩(73)
33 6八銀(79)
34 8二玉(71)
35 3六歩(37)
36 8四歩(83)
37 5七銀(68)
38 8三銀(72)
39 6八金(69)
40 7二金(61)
41 4六歩(47)
42 7三桂(81)
43 6七金(58)
44 8五歩(84)
45 1六歩(17)
46 1二香(11)
47 3七桂(29)
48 5四歩(53)
49 同 歩(55)
50 同 銀(43)
51 5五歩打
52 4三銀(54)
53 4五歩(46)
54 1四歩(13)
55 4六銀(57)
56 4一飛(42)
57 4四歩(45)
58 同 銀(43)
59 4五歩打
60 5三銀(44)
61 3五歩(36)
62 同 歩(34)
63 3四歩打
64 5一角(33)
65 2六飛(28)
66 4八歩打
67 2四歩(25)
68 同 歩(23)
69 5四歩(55)
70 同 銀(53)
71 2二角成(88)
72 6二角(51)
73 3三歩成(34)
74 同 桂(21)
75 同 馬(22)
76 4九歩成(48)
77 4四桂打
78 3一飛(41)
79 4二馬(33)
80 3四飛(31)
81 2四馬(42)
82 同 飛(34)
83 同 飛(26)
84 5一歩打
85 2一飛成(24)
86 8六歩(85)
87 同 歩(87)
88 8八歩打
89 同 玉(78)
90 5九と(49)
91 5二桂成(44)
92 9五歩(94)
93 同 歩(96)
94 9七歩打
95 同 香(99)
96 8五歩打
97 7七桂(89)
98 7一角(62)
99 6一成桂(52)
100 5三角(71)
101 1二龍(21)
102 6五歩(64)
103 9九香打
104 9三歩打
105 8五歩(86)
106 3四角打
107 2一龍(12)
108 6一角(34)
109 5一龍(21)
110 6二金(63)
111 5五歩打
112 6三銀(54)
113 4四歩(45)
114 6六桂打
115 6五桂(77)
116 同 桂(73)
117 同 銀(56)
118 5八桂成(66)
119 7七金(68)
120 7三桂打
121 4三歩成(44)
122 9七角成(53)
123 同 香(99)
124 6五桂(73)
125 5三と(43)
126 投了
まで125手で先手の勝ち
300局近く並べて、私も見る目が肥えてきたので、違う感想を書いていますのでそのままにしておきます。
なお、(10)では肩書が桐山王座としてありますが、ノンタイトルなのでこちらは桐山八段です。
昭和51年6月、桐山清澄先生と第28期棋聖戦第1局です。まだ20代の桐山先生初めてのタイトル挑戦です。

桐山先生はオールラウンドプレイヤーだったはずですが、大山先生は平気で26歩としています。度胸があるか試したということでしょうか。

桐山先生は無難に四間飛車です。横歩取りとか目指したらどうなっていたのでしょう?

大山先生は中央位取りで、6筋の歩を交換すればポイントですが

そのあとは右から動きます。1歩持っているという主張はあるのですが、欲張るのは良いとは言えません。

がっちり抑えて

1歩持っているから34歩が利きました。ゆっくりした攻め方ですが、手は困りません。桐山先生は垂れ歩。なんだか先手後手逆を持っているような気がします。

大山先生は馬を作り

桂を取りました。少しよさそうです。

得した桂を打つのはもったいないです。でも24飛は36歩が嫌味。

馬を飛車と交換するのももったいないです。

桂を成り捨てるのは、取りにくいからいいのですが、52歩と合わせて と金で攻めるほうが普通です。

桐山先生は8,9筋から味をつけます。大山先生は謝るのもありますが、堂々と応接です。相手を試すような指し方なのでしょう。

大山先生は角はおろか51の歩も取りません。取ると55歩が嫌だということでしょう。もたれておいて相手が間違えるのを待っています。

65歩にじっと85歩と取って84香のプレッシャー、でも本当にやるつもりはなさそうに思います。

34角から成桂を取るなんて桐山先生らしい粘りです。

これで勝負の形になりましたが

あれ?と金を払えませんね。とはいっても前の図で受けても苦しそうです。34角がスカだったのです。

投了図。
桐山先生としては、何が敗因だったの?という将棋です。大山先生は相手が疑念を持つような展開にうまく持ち込みました。そういう意味で大山先生の名局です。この人に勝つのは簡単ではないと実際に対局で感じさせたのです。
この真綿で首を締めるような感じ、まねはできませんが、将棋の奥深さを思います。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:桐山清澄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(32)
11 6八玉(59)
12 4二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 7二銀(71)
19 5八金(49)
20 7一玉(62)
21 5五歩(56)
22 5二金(41)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 6三金(52)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 6四歩打
31 5六銀(65)
32 7四歩(73)
33 6八銀(79)
34 8二玉(71)
35 3六歩(37)
36 8四歩(83)
37 5七銀(68)
38 8三銀(72)
39 6八金(69)
40 7二金(61)
41 4六歩(47)
42 7三桂(81)
43 6七金(58)
44 8五歩(84)
45 1六歩(17)
46 1二香(11)
47 3七桂(29)
48 5四歩(53)
49 同 歩(55)
50 同 銀(43)
51 5五歩打
52 4三銀(54)
53 4五歩(46)
54 1四歩(13)
55 4六銀(57)
56 4一飛(42)
57 4四歩(45)
58 同 銀(43)
59 4五歩打
60 5三銀(44)
61 3五歩(36)
62 同 歩(34)
63 3四歩打
64 5一角(33)
65 2六飛(28)
66 4八歩打
67 2四歩(25)
68 同 歩(23)
69 5四歩(55)
70 同 銀(53)
71 2二角成(88)
72 6二角(51)
73 3三歩成(34)
74 同 桂(21)
75 同 馬(22)
76 4九歩成(48)
77 4四桂打
78 3一飛(41)
79 4二馬(33)
80 3四飛(31)
81 2四馬(42)
82 同 飛(34)
83 同 飛(26)
84 5一歩打
85 2一飛成(24)
86 8六歩(85)
87 同 歩(87)
88 8八歩打
89 同 玉(78)
90 5九と(49)
91 5二桂成(44)
92 9五歩(94)
93 同 歩(96)
94 9七歩打
95 同 香(99)
96 8五歩打
97 7七桂(89)
98 7一角(62)
99 6一成桂(52)
100 5三角(71)
101 1二龍(21)
102 6五歩(64)
103 9九香打
104 9三歩打
105 8五歩(86)
106 3四角打
107 2一龍(12)
108 6一角(34)
109 5一龍(21)
110 6二金(63)
111 5五歩打
112 6三銀(54)
113 4四歩(45)
114 6六桂打
115 6五桂(77)
116 同 桂(73)
117 同 銀(56)
118 5八桂成(66)
119 7七金(68)
120 7三桂打
121 4三歩成(44)
122 9七角成(53)
123 同 香(99)
124 6五桂(73)
125 5三と(43)
126 投了
まで125手で先手の勝ち