名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(278); 四間飛車に中央位取り

2016-09-15 | 大山将棋研究
昭和51年1月、熊谷達人先生と第30期A級順位戦です。


熊谷先生も四間飛車を指すはずですが、大山先生が四間飛車になりました。

熊谷先生は位取りかと思ったら右46銀でしょうか。

この形、46銀から35歩とすると45歩からさばかれるのでやりにくいのです。34歩と取り込んでから38飛が手順です。でも38飛の前に46銀には32金かを嫌ったのでしょう。それで苦慮して46歩です。

古い形になってきました。5筋の歩を交換して56銀と立て直して・・という意味です。

大山先生は中央の位を取らせました。

ここまで進めば居飛車もまあまあですが、かなり手損しています。

離れ駒を見て仕掛けますが

すぐに戦いになるわけでもなく、押し引きです。

熊谷先生は指す手が無くなって危なさそうな3筋の歩交換ですが、どうにかして駒を繰り替えるべきでしょう。46の銀を守りに使うような構想を考えるべきでした。

65歩と突かれて黙って角を引くものなんですね。取ると32飛で危ないのかな?

角を覗かれて少し困りました。46角しかなかったか。

46銀と引いたら55で角を切られて両取りです。

熊谷先生は飛車をさばきますが

駒割りは金桂交換とはいえ、先手玉が薄すぎます。

馬を作られ金を打たれ、守備駒がないので簡単に寄せられました。

投了図。

熊谷先生は急戦のつもりが自信がなくて妥協したらどんどん作戦負けになっていったのでしょう。作戦負けと言っても手損だけで済んでいるなら、じっと待っていて動いてもらうほうが良いです。動いて自滅しました。
この将棋は図面を見て流れを追えば十分でしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:熊谷達人8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5七銀(48)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5八金(49)
18 7二銀(71)
19 6八銀(79)
20 4三銀(32)
21 3六歩(37)
22 5四歩(53)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 1六歩(17)
26 1四歩(13)
27 3八飛(28)
28 3二飛(42)
29 4六歩(47)
30 6四歩(63)
31 2八飛(38)
32 2二飛(32)
33 6六銀(57)
34 5二金(41)
35 5五歩(56)
36 6三金(52)
37 5四歩(55)
38 同 銀(43)
39 5五歩打
40 4三銀(54)
41 5七銀(66)
42 7四歩(73)
43 5六銀(57)
44 8四歩(83)
45 4七金(58)
46 5二飛(22)
47 3七桂(29)
48 1三香(11)
49 5七銀(68)
50 8三銀(72)
51 2四歩(25)
52 同 歩(23)
53 4五歩(46)
54 7二金(61)
55 6八金(69)
56 8五歩(84)
57 4六銀(57)
58 5一角(33)
59 6六角(88)
60 4五歩(44)
61 同 銀(56)
62 4四歩打
63 5六銀(45)
64 1二飛(52)
65 2六飛(28)
66 2二飛(12)
67 2九飛(26)
68 6二角(51)
69 3五歩(36)
70 同 歩(34)
71 同 銀(46)
72 6五歩(64)
73 5七角(66)
74 5四歩打
75 同 歩(55)
76 7三角(62)
77 4六銀(35)
78 5五歩打
79 同 銀(46)
80 同 角(73)
81 同 銀(56)
82 3八銀打
83 5三歩成(54)
84 同 金(63)
85 3一角打
86 5二飛(22)
87 2四飛(29)
88 4七銀成(38)
89 2一飛成(24)
90 5七成銀(47)
91 同 金(68)
92 4八角打
93 4七金(57)
94 5九角成(48)
95 6四桂打
96 6八金打
97 8八玉(78)
98 6九馬(59)
99 7二桂成(64)
100 同 銀(83)
101 7一銀打
102 9三玉(82)
103 投了
まで102手で後手の勝ち
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20160915今日の一手<その387>; 玉の堅さを生かす

2016-09-15 | 今日の一手

20160915今日の一手

8月13日の名南将棋大会から、AさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

少し前からやります。先後逆ですが、横歩取り45角戦法です。

後手(実際には先手)が横歩を取って22角成同銀82歩同銀に65角と打ちます。これは後手(実際には先手)よしという結論は出ているはずなのですが、先手のNさんは何度も採用していて稼いでいます。あまり指されないので相手が間違いやすいのでしょう。
定跡は86飛87歩33角

22飛成同角86歩99角成77桂74香

と進むもので、この戦型を全く指したことのない私でも、この手順は若いころに見たせいか覚えています。これは後手(実際には先手)よしです。とはいえここから44銀とか、74角同歩65桂とか、かなりの変化が定跡化されていて、対策は覚えておかないといけないのですが。

86飛87歩を入れないで33角と打ったのが実戦で、

これは後手(実際は先手)が損をしていて互角に近いはず。22飛成同角76角99角成77桂に62金

最後の金が不思議な手で、最善は何だったか?というのがさっぱり思い出せません。28歩から26飛くらいでしょうか。ともかくこれが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
香歩歩と銀の交換で馬を作られています。持ち歩があるので歩をカウントしませんからほぼ互角の駒割りです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は76角と持ち駒飛銀で3枚。
後手の攻め駒は99馬と持ち駒飛香で3枚。

総合すれば先手が指しやすい局面です。

大局観として

後手からは26飛の筋(28歩同銀を入れるかどうか)と74香の筋があります。76の角を攻められるのですが、89飛~77馬という攻め筋もありますし、先に逃げておけばいいというわけでもないですね。

攻めるなら(76角の働きが悪いので)飛車が主役となりそうですが、できれば後手陣に打ち込みたいです。後手玉が薄いので少々無理に見えても何とかなるでしょう。82の銀を移動させるか、32の金を移動させれば飛車が打てそうです。32金のほうが敵玉に近いし、守りが手薄に見えます。32の金に働きかける手を考えます。


× 実戦は22歩でした。

最後の1歩ですが、リスクは少ない攻めです。22同金には31飛で指せるでしょう。26飛46飛同飛同歩47香

と進行しましたが、これは一目後手が優勢です。21歩成49香成同玉69飛38玉77馬同金35桂

あっという間に寄せられてしまいました。

26飛に46飛と合わせてもだめでした。21歩成として

76飛22と同金31飛41香11飛成

ならば有望でした。歩切れですが角と銀香の2枚換えですから77飛成もあまり怖くないです。

後手としては22歩に74香

として、香で角を取るほうが厳しいでしょう。これは勝負にはなりそうですが自信なしです。


○ 22歩では少しぬるいので、23銀と捨ててみます。

26飛(とか74香とか)では32銀成

が詰めろですね。

23同金には31飛

これは41飛と合駒するしかないです。41同飛成同玉と呼んでおいて43角成なら22飛くらいか。

ここで24歩がピッタリで、24同金には21馬同飛33桂

と攻めれば少し指せるでしょう。玉の堅さが違います。

24歩に33金でも

33同馬同桂23飛

でうまい受けがありません。

ということは23銀は取れませんね。31金

には43角成41香に34馬でも少し良いですが、32馬と迫ってみます。

32同金同銀成61玉に83歩71銀31飛

という調子です。


× 44銀はどこかで見た手ですが41香

で難しそうです。53に成れないので62金が働いています。


△ いきなり43角成も有力で

43同金に31飛41飛

で同飛成同玉と呼んでおいて22飛

が62金に当たっています。この両取りは32角しか受けがないですが、23銀同角に21飛成

から23竜と取れば先手が指せるでしょう。


△ 83歩と左から攻めるのもあって

71銀なら利かしです。82銀と打ちこむよりも23銀や43角成の時に得になるかどうか。変化で62の金にひもがついても成り捨てればよいです。
多分83同銀と取るほうがよく、71飛61飛

と駒を呼ぶ手筋を入れて、同飛成同金(同玉は41飛51飛43角成)82飛72銀83銀71飛

後手も左側は駒が多いので抵抗できます。この図は難しいです。
88銀89馬79金と馬を捕獲して、79同馬同銀75香に85角

から63角成を狙って・・・とすることはできますが、まあここまでは読めませんね。進行の例です。


△ 最後に84飛というのは変な手ですが

83歩34飛33歩23飛23歩に43角成

と強攻すれば先手がまあまあ指せます。後手の壁銀がひどいのです。


先手玉が堅い(というか手がついていない)ことを生かして強攻するというのが有力でした。駒損しても後手陣を破れば取り返せそうです。76の角はお荷物なので、いないほうが指しやすくなるようです。

実戦の22歩ではぬるく、74香が気になります。後手の26飛には21歩成として、76の角を飛車で取ってもらえるのなら悪くはなかったのですが。

より厳しく23銀や43角成と強攻すれば攻めを考えるだけで済みます。3枚しか攻め駒がないのに1枚捨てるのでは前途多難なようでも飛車を打って桂香を拾う展開になれば相当に手が続くのです。

83歩の利かしは微妙。最後の持ち歩ですから読んだとしても指しにくいですね。

84飛はひねった手ですが、8筋方面の逃げ道を塞いで強攻する狙いです。


この横歩取りの世界は定跡が整備されつつあるのですが、定跡を全部マスターするのは大変です。後手がやや不利になりやすくても選択権があるので、我々アマチュアレベルでは後手が勝ちやすいのかもしれません。
私の場合は「両取り見えない病」を持っているので、華々しい変化は苦手です。(頭の中の将棋盤が広くないのでしょう。)だからこの戦型には手を出さないことにしています。誘導されそうになっても相掛かりで逃げています。

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