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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(286); 三間飛車乱戦

2016-09-23 | 大山将棋研究
昭和51年3月、米長邦雄先生と第15期十段戦です。


大山先生の先手三間飛車、米長先生は34歩としないので何か考えていたのでしょうが、やっと突きました。

急戦を見せて

玉頭位取り、これでは作戦分裂です。

大山先生は35の歩を狙いますが、8筋はおとなしく受けておきます。

35銀は防げないので、6筋から攻められることになります。

これをどう受けるか。

55歩が軽い受けでした。そして8筋を伸ばします。これで勝てる将棋は少ないものですが。

銀を打たれても米長先生はあくまで勢いよく攻めます。

大駒を両方引き上げてから再攻撃。

大山先生は駒損でも8筋突破で勝てるとみているのですね。驚きです。

と金はできました。

米長先生も6筋を破りました。

大山先生のほうは攻め駒は十分にありますから攻め合い勝ちで、受ける必要はないと見たんですね。駒損でも大駒の働きが違います。

しっかり上部を抑えて、24桂や35桂のねらい。

あとはなるべく駒を渡さずに寄せればよいだけです。

1手詰みまで指して、米長先生はよほど悔しかったのでしょう。


この二人の将棋は心理面まで考えると面白いです。だいたいケンカ腰の将棋です。米長先生は「序盤の2下手」(もう一人は谷川先生)と後に自嘲していましたが、終盤重視で、序盤は気の向いたことをやっている感じです。74歩と35歩は両方同時にやってはいけないのですが、やってからどうにかならないかと考えるんですよね。それで乱戦です。
これに大山先生は駒損でも受け流して8筋突破を間に合わせました。どこまで読んでいたのか知りたいものですが、感覚でどうにかなると思っていたのでしょう。
どちらをまねしてもひどいことになりそうですが、とても面白い将棋です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:米長邦雄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 6二銀(71)
5 6八銀(79)
6 4二玉(51)
7 4八玉(59)
8 3二玉(42)
9 3八玉(48)
10 3四歩(33)
11 6六歩(67)
12 4二銀(31)
13 2八玉(38)
14 8五歩(84)
15 7七角(88)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 5四歩(53)
19 5八金(69)
20 5二金(61)
21 5六歩(57)
22 3三銀(42)
23 5七銀(68)
24 3五歩(34)
25 6八角(77)
26 3一角(22)
27 8八飛(78)
28 3四銀(33)
29 4六銀(57)
30 2二角(31)
31 6七金(58)
32 6四歩(63)
33 3五銀(46)
34 8六歩(85)
35 同 歩(87)
36 3五銀(34)
37 同 角(68)
38 6五歩(64)
39 5五歩(56)
40 5三銀(62)
41 8五歩(86)
42 6二飛(82)
43 6五歩(66)
44 5五角(22)
45 6六銀打
46 6五飛(62)
47 5七角(35)
48 2二角(55)
49 8四歩(85)
50 6三飛(65)
51 8六飛(88)
52 6五歩打
53 7七銀(66)
54 6六銀打
55 6八歩打
56 8五歩打
57 同 飛(86)
58 5七銀成(66)
59 同 金(67)
60 7三桂(81)
61 8六飛(85)
62 6六歩(65)
63 8三歩成(84)
64 6五桂(73)
65 5六金(57)
66 7七桂成(65)
67 同 桂(89)
68 6七歩成(66)
69 7三と(83)
70 6四飛(63)
71 6五桂(77)
72 5八銀打
73 8二飛成(86)
74 4九銀(58)
75 同 銀(38)
76 5七と(67)
77 3四銀打
78 4四角(22)
79 9一龍(82)
80 4七と(57)
81 2五香打
82 6一歩打
83 2三銀成(34)
84 4二玉(32)
85 3四桂打
86 5一玉(42)
87 7二銀打
88 5五歩(54)
89 6一銀成(72)
90 投了
まで89手で先手の勝ち

20160923今日の一手<その391>; 先に寄せの形を作る

2016-09-23 | 今日の一手

20160923今日の一手

9月10日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂歩と銀の交換で馬を作られています。持ち歩があるので歩をカウントしませんが、少し損でしょう。でもこれくらいは終盤ですから考慮しなくてよいです。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は15香と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は65銀1枚。

総合すれば互角かやや先手もちです。


大局観として

終盤の寄せ合いに入ろうとするところです。駒がごちゃごちゃぶつかっていますが、後手は65の歩を54の銀で取って攻めようとしました。実はこれが問題で、質駒が銀桂桂と3枚もある状態なのです。65の歩を桂馬で取っていれば質駒は桂2枚だけで金駒を渡しませんし、54の銀は守りにも働いていました。

先手としては、玉を有効に固める手が見えないので、攻め駒を増やしたいです。28飛か36金が候補。また、質駒である65銀か73桂か74桂を取ることも考えます。とはいえ質駒を取ると相手にも駒を渡すので自玉の危険度が上がるので、できれば飛か金を使いたいと考えるところでしょう。


○ 34歩とたたく手は

34同金に25金とぶつけるのが継続手。25同金同歩なら飛車も働きやすくなります。33歩34金同金同歩44歩

最後の44歩では25歩も有力です。これで33歩が詰めろになりますし、43金も厳しいですから先手有利です。


○ 35金と前に出て

34歩を狙ってもよいです。拠点ができれば打ち込む駒が手に入る状態です。34歩と受けても44金同金同歩

前と比べて1歩得ですが、持ち歩は多いのでどちらでもよいでしょう。


○ 18飛として

端を狙うのもあります。76馬65銀同桂(など銀を1枚手に入れれば)に13香成。

13同香同飛成同玉31角

はピッタリ詰んでいます。

13香成に32玉でも

34歩同金23成香同玉11飛成

これも先手優勢です。後手は飛車の横利きがないので受からないのです。


× 先に質駒を取るとどうなるか。実戦では65同銀でした。

65同桂に攻防という感じで46角と打ちましたが77歩

これは後手が先に寄せている感じです。金を逃げれば78銀と打ちこまれますし、桂で取れば清算して65桂、こういう形は受かりません。実戦では77同金でしたが同桂成同桂76馬

これも望み薄です。後手の攻めは切れませんし、後手玉に詰めろもかからなそうです。


○ 73銀成は

73の桂馬を逃げられると64銀の働きが無くなるので考えてもよい手です。64の銀は守りにも働いていませんから。73同桂に25桂

13香成の筋もありますし、金を逃げる手も追撃があります。これは先手が指しやすそうです。


△ 74銀とこっちの桂馬を取れば

74同馬75銀63馬25桂

これでもよいようですが、後手は馬が手厚い感じです。44歩と取り込めば36の金に当たるので
43金35金76銀44歩42金引

となると難しいです。76の銀と82飛が後手の攻め駒に加わり、寄せ合い負けではないかという感じです。


× 77桂も駒を取りに行く手ですが

76馬65桂同桂同銀同馬

25桂で難しいとはいえ、後手の馬が攻防に利くので負けそうです。


いろいろな手がありましたが、それぞれは長く読まなくても良さそう、悪そう、というのがわかりやすかったのではないでしょうか。
方針として攻め駒を増やす、4枚にする、というのがしっかりしていれば

34歩あるいは35金として、36の金を生かす。
18飛で28の飛を生かす。
この二つは攻め駒を3枚にする手です。そして質駒というか、玉頭方面で銀か桂が手に入れば4枚の攻めです。先に攻めやすい形を作っておくのがよさそうです。

73銀成は自玉の危険度があまり上がらないので考えてもよさそうな手ですが
65同銀同桂では後手の攻め駒が2枚増えてしまいます。それから飛車や金を使うのでは相手の攻めが速くなるのです。
74銀や77桂は自玉の守りが薄くなる上に、後手の馬が働き出すのも気がかりです。

終盤では相手の攻めを手抜いて自分が攻めるというのも必要なテクニックです。攻め駒の数に注意しながら寄せの形を作りましょう。