
大山先生の先手三間飛車、米長先生は34歩としないので何か考えていたのでしょうが、やっと突きました。

急戦を見せて

玉頭位取り、これでは作戦分裂です。

大山先生は35の歩を狙いますが、8筋はおとなしく受けておきます。

35銀は防げないので、6筋から攻められることになります。

これをどう受けるか。

55歩が軽い受けでした。そして8筋を伸ばします。これで勝てる将棋は少ないものですが。

銀を打たれても米長先生はあくまで勢いよく攻めます。

大駒を両方引き上げてから再攻撃。

大山先生は駒損でも8筋突破で勝てるとみているのですね。驚きです。

と金はできました。

米長先生も6筋を破りました。

大山先生のほうは攻め駒は十分にありますから攻め合い勝ちで、受ける必要はないと見たんですね。駒損でも大駒の働きが違います。

しっかり上部を抑えて、24桂や35桂のねらい。

あとはなるべく駒を渡さずに寄せればよいだけです。

1手詰みまで指して、米長先生はよほど悔しかったのでしょう。
この二人の将棋は心理面まで考えると面白いです。だいたいケンカ腰の将棋です。米長先生は「序盤の2下手」(もう一人は谷川先生)と後に自嘲していましたが、終盤重視で、序盤は気の向いたことをやっている感じです。74歩と35歩は両方同時にやってはいけないのですが、やってからどうにかならないかと考えるんですよね。それで乱戦です。
これに大山先生は駒損でも受け流して8筋突破を間に合わせました。どこまで読んでいたのか知りたいものですが、感覚でどうにかなると思っていたのでしょう。
どちらをまねしてもひどいことになりそうですが、とても面白い将棋です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:米長邦雄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 6二銀(71)
5 6八銀(79)
6 4二玉(51)
7 4八玉(59)
8 3二玉(42)
9 3八玉(48)
10 3四歩(33)
11 6六歩(67)
12 4二銀(31)
13 2八玉(38)
14 8五歩(84)
15 7七角(88)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 5四歩(53)
19 5八金(69)
20 5二金(61)
21 5六歩(57)
22 3三銀(42)
23 5七銀(68)
24 3五歩(34)
25 6八角(77)
26 3一角(22)
27 8八飛(78)
28 3四銀(33)
29 4六銀(57)
30 2二角(31)
31 6七金(58)
32 6四歩(63)
33 3五銀(46)
34 8六歩(85)
35 同 歩(87)
36 3五銀(34)
37 同 角(68)
38 6五歩(64)
39 5五歩(56)
40 5三銀(62)
41 8五歩(86)
42 6二飛(82)
43 6五歩(66)
44 5五角(22)
45 6六銀打
46 6五飛(62)
47 5七角(35)
48 2二角(55)
49 8四歩(85)
50 6三飛(65)
51 8六飛(88)
52 6五歩打
53 7七銀(66)
54 6六銀打
55 6八歩打
56 8五歩打
57 同 飛(86)
58 5七銀成(66)
59 同 金(67)
60 7三桂(81)
61 8六飛(85)
62 6六歩(65)
63 8三歩成(84)
64 6五桂(73)
65 5六金(57)
66 7七桂成(65)
67 同 桂(89)
68 6七歩成(66)
69 7三と(83)
70 6四飛(63)
71 6五桂(77)
72 5八銀打
73 8二飛成(86)
74 4九銀(58)
75 同 銀(38)
76 5七と(67)
77 3四銀打
78 4四角(22)
79 9一龍(82)
80 4七と(57)
81 2五香打
82 6一歩打
83 2三銀成(34)
84 4二玉(32)
85 3四桂打
86 5一玉(42)
87 7二銀打
88 5五歩(54)
89 6一銀成(72)
90 投了
まで89手で先手の勝ち