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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(216); 四間飛車に玉頭位取り

2016-07-15 | 大山将棋研究
昭和50年4月、石田和雄先生と第24期王将戦です。


大山先生の四間飛車に石田先生(まだ6段の若手時代)は玉頭位取りです。

大山先生は石田流に。(石田先生が石田流を相手にするのでややこしいですね)

石田先生の44歩から45歩では玉の囲いを優先するのもありました。それを見て大山先生から動きます。

石田先生は右銀で角を追いやります。

一段落して78銀と引くのが感心します。77桂にひもを付けて飛車の打ち込みを減らそうということですね。普通は58銀ですが65歩を突いてしまっているので22角の利きが大きいです。

飛車交換になりました。

石田先生の86歩が先か88飛が先かは難しいのですが

後から88飛だったので69銀と変化されました。

大山先生は先に桂を取っているので55桂から63桂成

銀をはがして74竜ですが、76歩と受けられる方が嫌な感じです。

99馬だったので銀で壁ができて

角をさばけました。

79歩まで打ててこれなら文句はないでしょう。

でも端を詰められて77歩で形勢は難しく

大山先生は銀を捨ててと金を使います。

この銀打ちは石田先生苦心の手。

馬を引き付けて頑張ります。

大山先生は強引に銀を打ち

尻金で桂を取ります。

石田先生は中段玉で頑張ります。

角を打って粘るのがなかなかの手で、よい攻め方が見えません。

ここに桂を打てば逆転模様。

清算して銀を打って

35の金を抜きます。

竜もはがして

61にいた馬が使えました。これで石田先生が優勢です。

98の竜で金を取ったのですがこれが敗着。自玉はまだ安泰なので入玉だけ阻止しておけばなんとでもなったのですが

先手玉がつかまりません。打ち歩詰めですね。

仕方なく39飛成では後手玉がほとんど詰みです。

投了図。


難しいわかれですが、居飛車が十分指せていたはず。大山先生の78銀には感心しましたが、それでよしというわけでもなかったのです。後手玉に食いついたところでは大山先生がよいかと思いましたが、石田先生が中段玉からうまくしのいで勝ちがあったはず。詰まないので残念大魚を逃した、という将棋です。

互いに力のこもった好局です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:石田和雄6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4二銀(31)
19 3八銀(39)
20 5三銀(62)
21 6七銀(78)
22 3五歩(34)
23 7五歩(76)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 3三銀(42)
27 7八飛(68)
28 9四歩(93)
29 6八角(77)
30 8四飛(82)
31 5六歩(57)
32 3四銀(33)
33 7六飛(78)
34 4四歩(43)
35 7七桂(89)
36 4五歩(44)
37 4六歩(47)
38 5五歩(54)
39 同 歩(56)
40 4六歩(45)
41 同 角(68)
42 6四銀(53)
43 5七角(46)
44 5五銀(64)
45 5六歩打
46 6四銀(55)
47 6五歩(66)
48 5三銀(64)
49 4七金(58)
50 4二金(41)
51 7八銀(67)
52 4三金(52)
53 7四歩(75)
54 同 飛(84)
55 同 飛(76)
56 同 歩(73)
57 7一飛打
58 8六歩(85)
59 8一飛成(71)
60 8八飛打
61 6九銀(78)
62 7七角成(22)
63 5五桂打
64 4四金(43)
65 6三桂成(55)
66 5四銀(53)
67 7二龍(81)
68 6三銀(54)
69 同 龍(72)
70 8九飛成(88)
71 7四龍(63)
72 9九馬(77)
73 7八銀(69)
74 9八龍(89)
75 4五歩打
76 同 銀(34)
77 4六歩打
78 3四銀(45)
79 7五角(57)
80 5三歩打
81 8六角(75)
82 4三金(44)
83 6四歩(65)
84 6二歩打
85 7九歩打
86 1五歩(14)
87 7一龍(74)
88 1六歩(15)
89 1八歩打
90 7七歩打
91 6二龍(71)
92 6一歩打
93 5一龍(62)
94 7八歩成(77)
95 6三歩成(64)
96 6二銀打
97 同 と(63)
98 同 歩(61)
99 4五銀打
100 3三馬(99)
101 3四銀(45)
102 同 馬(33)
103 4五銀打
104 3三馬(34)
105 3四銀打
106 同 金(43)
107 同 銀(45)
108 同 馬(33)
109 3一金打
110 4三玉(32)
111 2一金(31)
112 2五香打
113 5五桂打
114 3三玉(43)
115 5三角成(86)
116 同 金(42)
117 同 龍(51)
118 2四玉(33)
119 4四金打
120 6一馬(34)
121 3三龍(53)
122 1四玉(24)
123 2二金(21)
124 4一角打
125 3四金(44)
126 7七と(78)
127 4八金(47)
128 1五桂打
129 3五金(34)
130 2七桂成(15)
131 同 銀(38)
132 同 香成(25)
133 同 玉(28)
134 2五銀打
135 3八玉(27)
136 2七銀打
137 同 玉(38)
138 2六銀打
139 3八玉(27)
140 2七銀打
141 4七玉(38)
142 3五銀(26)
143 同 龍(33)
144 3六金打
145 同 歩(37)
146 同 銀(25)
147 同 龍(35)
148 同 銀成(27)
149 同 玉(47)
150 2五馬(61)
151 4五玉(36)
152 3五飛打
153 5四玉(45)
154 4二桂打
155 6四玉(54)
156 4八龍(98)
157 同 金(49)
158 7四金打
159 5三玉(64)
160 5二馬(25)
161 4四玉(53)
162 3四馬(52)
163 5三玉(44)
164 5二馬(34)
165 4四玉(53)
166 3四馬(52)
167 5三玉(44)
168 5二馬(34)
169 4四玉(53)
170 3四飛(35)
171 4五玉(44)
172 3九飛成(34)
173 1五銀打
174 同 玉(14)
175 2六銀打
176 同 玉(15)
177 3七銀打
178 1五玉(26)
179 2六銀打
180 1四玉(15)
181 1五飛打
182 2四玉(14)
183 2五香打
184 3三玉(24)
185 2三香成(25)
186 同 角(41)
187 同 金(22)
188 同 玉(33)
189 3五桂打
190 投了
まで189手で先手の勝ち


20160715今日の一手<その356>; 角換わりの四手角はつまらない2

2016-07-15 | 今日の一手

20160715今日の一手

昨年の東海団体リーグから、私とIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが、後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は46角1枚。
後手の攻め駒は65銀95香で2枚。61飛も数えてよいでしょう。ほぼ3枚です。
総合すればやや先手もちです。

大局観として
後手玉は42のままで守りが薄いのですが猛攻を仕掛けられました。角の働きの差、何度か書きましたが84角と46角では46角の方が働いていますから受けやすいです。ここは自信を持って受けられます。
方針としては後手の攻め駒を4枚にしないこと。95の香が働く展開にはなりにくいので、84角と73桂が働かなければよくなります。特に73桂ですね。そして反撃に回れば後手玉が薄いのですぐに勝てるでしょう。


× やってはいけないのは65同銀です。

自然といえば自然な手なのですが、73の桂馬が働きます。65同桂66銀77歩

取るしかありません。77同桂同桂成同金上54桂

駒損で受けるのではだめですね。

と言って77同銀は75角

これは後手が十分にさばけています。攻め駒5枚。


○ 実戦では66歩と打ちました。

銀を引くわけにもいかないので2通り、76歩65歩77歩成同桂

これは受け止めた感じです。以下は64歩72銀91飛83銀成

75角に76歩と催促して97角成

97同香同香成92歩81飛72角

後手の攻め駒が4枚あるとはいえ、端を破られただけです。飛車も切って猛攻されましたが反撃のほうが厳しく、私の勝ちになりました。

後手の選択肢は66歩に56銀

56同金65歩74歩66歩62歩

62同飛73歩成61飛64桂

52桂成が王手になるのでこれくらいで十分です。ほかの受け方もあるでしょう。


○ 角の利きで64歩と止めるのもあります。

56銀同金65銀には72銀

62飛83銀成56銀同歩75角

73成銀39角成62成銀同金92飛

28の飛は逃げるかどうか悩みますが、後手玉が囲いの外なので寄せ合いで勝てそうです。


○ 63から歩を打つのもあります。

同じように56銀同金65銀には72銀

飛車は横に逃げるしかないので83銀成から角を取ればいいでしょう。

63歩には同飛と取るわけですが64歩

で先手が取れます。62飛に66銀とぶつけます。

75角と出さないようにするわけです。66同銀同金に86歩同歩85歩と攻めれば、歩をもらったので63銀

63同金同歩成同飛64歩61飛83金

やはり角が取れます。

戻って66銀に54銀と引き上げれば74歩

これも十分でしょう。


△ 他には55銀とかわす手があります。

76歩同銀同銀同金67銀が気になりますが

62歩同飛63歩同飛64歩78銀成同玉61飛74銀

これでどうにか受かりそうです。

55銀に75角は

66歩74銀76歩84角64銀62金37桂

でこれからです。


条件が良いので受けるのは苦になりません。角換わりで4手角の位置に角を打つのはあまりうまくいかないので、特に46角(64角)と打ちあいになる場合はやめておきましょう。端攻めも狙えるのでやりたくなるのですけど。72銀から83銀成とか、金を手に入れて83金とか、角を取られやすいのも難点です。

問題図では後手玉が戦場に近いので、受けて反撃を狙えば勝ちやすいです。

66歩と打って問題がない(すぐにとられたりしない)場合は一番手堅いです。56銀に同金というのが手厚い形です。

64歩と打つのは角筋を止めるので危ない時がありますが、飛の利きを止めるので考えられる手です。

63歩と打てば1歩損で1手儲ける手です(1歩と1手の交換、といいます)。その先の見通しがないと歩切れでまずい時がありますが、形勢が悪くなければ考慮に値する手です。(形勢が悪い時はごまかしに行った手という感じがします。)

55銀とかわすのは形勢互角の時に考える手、という感じです。銀交換しない、あるいは交換する位置をずらすので、複雑化します。形勢が良ければほかにシンプルなよい手があるでしょう。