名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(206); 四間飛車穴熊に位取り

2016-07-05 | 大山将棋研究
昭和49年12月、丸田祐三先生と第24期王将戦です。


どちらが振るかという出だしでしたが、丸田先生が居飛車

大山先生は四間飛車で、互いに位を取りました。

丸田先生の74歩は75銀を嫌ったのですが、先に53銀のほうが安全でした。それを見てから大山先生は穴熊に。4筋の位を取られているので美濃囲いでは進展性がないのでこのほうが自然でしょう。

丸田先生の73桂は欲張りで、玉を固めておくべきです。位取りにしながら攻めも狙うのは空中分解しやすいのです。

隙ありと見て穴熊のパンツ脱ぎ、この場合の好手です。穴熊でも堅さを重視しないのが大山先生らしいです。

銀を引かれて46歩があるので丸田先生は動かなくてはいけません。

角交換を狙えば飛車をうくのが好手。45桂があるので取るしかなさそうです。

丸田先生は困っています。12玉としたくても16歩から端攻めを狙われます。

73角成としてもらえれば、と期待をしても角を打たれて

2枚換えです。角を合わせればとりあえずは収まりましたが

大山先生は素朴に銀を打ちます。35歩とやりたくなりますが、穴熊に傷が増えますね。

銀を取られても桂を取って37桂を使えば4枚目の攻め駒です。これで優勢。

お代わりで金銀をはがしてから飛車を入手。

41飛に31角しかないのが苦しいですね。いろいろな決め方がありそうですが、大山先生は金を攻めます。

端に銀を放り込んで

丸田先生は金がないので竜を追い払えず、端玉には端歩、で投了図。


位取りは穴熊に対しても有力なのですが、もっと囲いに手をかけてじっくり指したいです。後で1,2筋から攻めると穴熊は堅くはありません。丸田先生が右桂まで使おうとしたので、大山先生の37桂が好手になってしまいました。
振り飛車穴熊の気持ちのいい勝ち方です。

この数日後に、第25期棋聖戦第3局があって、大山先生が居飛車側をもって上手く指していますのでもう一度ご覧ください。(大山全集では最初に解説付きの棋譜があるので順序が変わっています。)


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:丸田祐三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 4四歩(43)
5 6八銀(79)
6 4二銀(31)
7 6七銀(68)
8 4三銀(42)
9 5六歩(57)
10 5四歩(53)
11 6五歩(66)
12 1四歩(13)
13 9六歩(97)
14 6二銀(71)
15 6六銀(67)
16 4二玉(51)
17 6八飛(28)
18 3二玉(42)
19 4八玉(59)
20 4五歩(44)
21 3八玉(48)
22 5二金(61)
23 5八金(69)
24 8四歩(83)
25 2八玉(38)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 7四歩(73)
29 1八香(19)
30 3三角(22)
31 1九玉(28)
32 2二玉(32)
33 2八銀(39)
34 3二金(41)
35 3九金(49)
36 7三桂(81)
37 4八金(58)
38 9四歩(93)
39 3六歩(37)
40 5三銀(62)
41 3七桂(29)
42 4四銀(53)
43 5七銀(66)
44 8六歩(85)
45 同 歩(87)
46 5三銀(44)
47 6六飛(68)
48 同 角(33)
49 同 角(77)
50 5五歩(54)
51 同 角(66)
52 4四銀(53)
53 7一角打
54 6五桂(73)
55 4四角(55)
56 同 銀(43)
57 同 角成(71)
58 3三角打
59 同 馬(44)
60 同 桂(21)
61 6六銀(57)
62 6九飛打
63 4四銀打
64 6六飛成(69)
65 3三銀成(44)
66 同 金(32)
67 4五桂(37)
68 4四銀打
69 3三桂成(45)
70 同 銀(44)
71 4五桂打
72 4四銀打
73 3三桂成(45)
74 同 銀(44)
75 5五角打
76 同 龍(66)
77 同 歩(56)
78 8六飛(82)
79 4一飛打
80 3一角打
81 4三銀打
82 同 金(52)
83 同 飛成(41)
84 3二銀打
85 1三銀打
86 同 玉(22)
87 3二龍(43)
88 2二銀打
89 1六歩(17)
90 投了
まで89手で先手の勝ち

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20160705今日の一手<その351>; 相手に動いてもらう

2016-07-05 | 今日の一手

20160705今日の一手

東海団体リーグから、私とTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は56銀と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は55銀64角で2枚。

総合すれば互角かやや後手もちです。

大局観として
47金と上がっている分だけ先手玉が薄いのですが、角が手持ちです。後手の64角の働きが悪くなる、あるいは角をいじめることができればよくなるという理屈です。
後手の65歩73桂64角は好形で、73の桂を跳ねて攻められれば一気によくなります。(先後逆ですが)先手が88玉77銀の形で後手が85桂86銀55銀と攻めてよし、というは昔からの定跡(私が学生のころ開発されて角換わり腰掛銀の第二のブームになった)です。問題図の場合は77銀と上がっていない(先手で22角成として1手損でこの図にした)ので、73の桂馬がすぐに使えないからこの局面は何とも言えません。
先手陣を見ると右の飛角銀桂の働きが悪いですね。これが動き出せば理想的です。
まずは銀を取ったらどうか、取らなければどうか、そこから考えます。


× 55銀と取るのが自然な手ですが

55同角で後手を引きます。77桂には85桂

もし56歩と角を追えば77桂成同銀同角成

77同金85桂78金66歩同歩77銀

と一気に敗勢になりそうな変化が待っています。

85桂に同桂と取れば

99角成は73桂成でよさそうですから、85同歩77銀に95歩同歩73角

これで95香と55桂が見合いです。後手が指しやすそうです。

では77銀と受けたらどうか。

75歩同歩85桂88銀66歩

66同歩同角67歩77歩

これもつぶれそうです。

もう少し工夫はできそうですが、つぶれる変化がいくつもあって、それは後手の角銀桂が十分さばける(攻め駒になる)ためです。飛車も働くようになったらつぶれます。


× ということで、実戦では88角と打ちました。

これで68銀の形を生かしたつもりです。66歩同歩56銀同歩85桂

後手から銀を取らせれば64の角が窮屈で、桂馬を跳ねるのは仕方がないようですが、65歩73角64銀82角25桂

後手にやや疑問手があってこれなら十分です。33の銀を逃げにくく、銀を取って73銀打と俗手で駒得にして、ゆっくり指して時間切れで勝ちです。(30分切れ負けで、千日手指し直しという厳しい条件でした。)

後手は66歩と暴れないで54歩としておくのが最善です。

これでよい手が見つかりません。55銀同歩45歩同歩同桂44銀46歩

これは9筋を攻められそうです。

戻って45歩同歩同銀なら46歩

56金同銀同銀47歩成

47同飛46金49飛37金35歩55桂

88角がうまく使えないのでこれもよいとは言えません。
互いに角が働かないのなら88角は壁なので悪いです。


△ では45歩でどうか。

45同歩同銀44歩56銀

1歩交換はしたけれどここまでです。形勢互角。

前の変化みたいに45同銀の時に46歩なら

56金同銀同銀47歩成同飛46金49飛37金55銀打

と角を殺せるのでこれならいいのですけど。

では桂馬で取ったらどうか。

44銀上46歩56銀同歩75歩

今度は55銀が緩和されているので後手が攻めやすくなります。


× 25歩のような待つ手は22玉

とされて得をしていません。41銀の傷はできても後手が攻めやすくなるのです。


○ 77銀でどうか。

これは55銀同角56歩64角55銀という角の詰めろ。
54歩なら83角と打って

63金55銀同角71銀42飛61角成

馬を作ったのはいいのですが71銀も使いにくいのは不満です。

少し工夫して72から銀を打ちます。

53金56歩64角71銀不成42飛74角成

これならやや指しやすそうです。64馬から53角が残っています。


○ 77桂は角換わりでは見ない手ですが

やはり角の詰めろで、54歩なら65桂と使えます。

56銀73桂成47銀成62成桂48成銀52成桂58成銀

と一直線に進めば負けですが

56銀に同金として

65桂なら同金で悪くないでしょう。後手が歩切れで反撃しにくいです。

後手は95歩と工夫はできます。

放置して取り込ませるわけにはいきません。95同歩85桂に65桂

と跳ね違えば、97桂成には55銀同角97香


56銀同金97桂成には73銀


あるいは95香同香56銀同金97角成69玉

どれも十分指せそうです。


後手のねらいは55銀同角から攻めることです。まともに食らったらまずいです。
先手としては56銀と取らせたいのです。それで64の角が窮屈になります。

実戦の88角はたまに見る自陣角ですが、実戦のように攻めてもらえば十分です。ただし54歩と落ち着かれたら88角が働かなくて苦しかったはずです。

77銀と上がれば88角と同じ効果がありました。56銀と取らせれば狙い通り。54歩に83角から馬を作ってどうか。銀を取れるので工夫できます。

77桂はさらに積極的で、65の歩を狙っています。62飛が陰で支えているし、端も弱くなるのでまったくの盲点ですが、後手の持ち歩がないので十分成立しているようです。

あとは45歩とか25歩とか、無理をしなければ互角ではあるのですが、形がほぐれないと先手陣のほうが形が悪いので難しいです。

今回は相手に動いてもらうという高級手筋でした。鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス、ということですね。

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