名南将棋大会ブログ 名古屋

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将棋が強くなるための記事を書きます。
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大山将棋研究(204); 三間飛車に中央位取り

2016-07-03 | 大山将棋研究
昭和49年12月、中原先生と第13期十段戦第5局です。


大山先生の三間飛車で、74歩を見て美濃囲いですが、中原先生には穴熊を指してもうまくいかないので、ということもあるでしょう。

中原先生は中央位取り。三間飛車は56歩を突くので普通はこうならず、珍しい組み合わせです。

中原先生は6筋の歩を交換し

大山先生は5筋の歩を交換する。

そのあとはじっくりした駒組みになり、中原先生は銀桂を前に出してから7筋で開戦です。

でも飛車を回られて攻撃続行を断念。75歩と抑えて角筋を通す手を見た左桂の交換に。

大山先生は素直に桂を交換して角銀を引いて軽くさばくつもりでしょう。でも居飛車の銀銀桂が相手なのでさばけるかどうか。

86歩に同角も大山先生の好きそうな手です。端を連打して香を取りに行きますが歩切れですから今一つの感じです。

馬を作られても一応飛車にひもは付いているし、87馬は85歩があるし、77角とぶつけられそうだし、ということで意味が解りました。でも相手が相手だしうまくいくのかな?と不安です。

65桂と跳ねられて、金を出るのでは薄くなるのでうまくなさそうです。57歩だってありそうです。

87馬に85歩とたたいて角を引く。角は取りにくいですが

馬は作り、飛馬交換でさばけたというのは大きいです。でも中原先生が桂馬を取って縦に飛車を成り、さらに銀取りというのが味の良い手で、ここでは金銀が離れているので大山先生が苦しそうです。

78角と打つのはあまり働きがなく、手順に香を取られて桂香の打ちあいですが

あっさり寄ってしまいました。これで投了図。指すなら18玉しかありませんが45の金を取られて困ります。

これで大山先生は十段位を取り返されました。まだ棋聖を保持しています。

200局並べても、居飛車が手数をかけて攻めてこられた時に振り飛車がどういう形で迎え撃つべきか、というのはわかりません。本局では角銀を引いて端攻めで、という構想でしたがうまくさばけませんでした。振り飛車党の方、どういう形で待つべきか教えてください。
58銀と引かないほうがいいのだろう、という気はするのですが。
と言って中原先生の作戦がよいとは思えません。私もこれと似たことを試したことがあるのですが、うまくいかなかった記憶だけです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:中原誠名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 5四歩(53)
19 5八金(69)
20 1四歩(13)
21 1六歩(17)
22 5五歩(54)
23 6七銀(68)
24 5三銀(62)
25 4六歩(47)
26 6四歩(63)
27 3六歩(37)
28 4二銀(31)
29 4七金(58)
30 5四銀(53)
31 9六歩(97)
32 9四歩(93)
33 9七香(99)
34 8四飛(82)
35 5八飛(78)
36 6五歩(64)
37 同 歩(66)
38 同 銀(54)
39 6六歩打
40 5四銀(65)
41 5六歩(57)
42 同 歩(55)
43 同 銀(67)
44 5五歩打
45 6七銀(56)
46 7三桂(81)
47 2六歩(27)
48 5三銀(42)
49 3七桂(29)
50 4二金(41)
51 2七銀(38)
52 6四銀(53)
53 3八金(49)
54 4四歩(43)
55 2五歩(26)
56 4三金(52)
57 5九飛(58)
58 7五歩(74)
59 7九飛(59)
60 7六歩(75)
61 同 銀(67)
62 7五歩打
63 6七銀(76)
64 4五歩(44)
65 同 歩(46)
66 3三桂(21)
67 5八銀(67)
68 4五桂(33)
69 同 桂(37)
70 同 銀(54)
71 4六歩打
72 5四銀(45)
73 5九角(77)
74 8六歩(85)
75 同 角(59)
76 5六歩(55)
77 1五歩(16)
78 同 歩(14)
79 1二歩打
80 同 香(11)
81 1三歩打
82 同 香(12)
83 1四歩打
84 同 香(13)
85 2六桂打
86 6六角(22)
87 1四桂(26)
88 8八角成(66)
89 6九飛(79)
90 6五桂(73)
91 5六金(47)
92 8七馬(88)
93 8五歩打
94 同 飛(84)
95 7七角(86)
96 6九馬(87)
97 2二角成(77)
98 4一玉(32)
99 6九銀(58)
100 8九飛成(85)
101 7八角打
102 8六龍(89)
103 4五金(56)
104 9七龍(86)
105 4四香打
106 2六桂打
107 同 銀(27)
108 2七香打
109 投了
まで108手で後手の勝ち

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20160703今日の一手<その350>; 角を生かす

2016-07-03 | 今日の一手

20160703今日の一手

東海団体リーグから、私とKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は66角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は65角と持ち駒桂桂で3枚。77歩成とすれば(これはほぼ手抜きができず)71飛も働きますから4枚に近いです。

総合すればやや後手が指しやすいです。

大局観として

形勢を回復するには、駒得にするか、玉を堅くするか(後手玉を薄くするか)、攻め駒を増やすかということです。
すぐに駒得にするなら持ち駒の桂を後手の金銀と交換することですね。問題図は後手が63の銀を54に上がって両取りを避けたところです。それでも角筋を生かして駒得を狙うことはできそうですね。その時には先手玉の安全を気にしなくてはいけません。後手の攻め駒は多く、左辺を攻められる分にはまだよいのですが65の角が38玉をにらんでいるので注意です。間違えると一気に敗勢です。
先手玉を堅くするには左の金銀を右に寄せるか、玉を移動するか。この場合は左に移動するわけにもいかないので28に寄せる、そのためには局面を収めなければいけません。
後手玉を薄くするなら桂で金銀をはがすのが有力なわけで、うまくいけば一気によくなります。
攻め駒を増やすなら飛や左の金銀を使うことです。金銀を盛り上げて飛車を移動して、ということです。そのためには一度後手の攻め駒を減らす、つまり飛や角を封じてからです。

そういうことを考え併せれば、角筋を生かして桂馬で攻めるか、持久戦にして玉を固め、飛や左の金銀を使うか、という2通りです。


× 45桂と打ちたくなります。

これで金か銀と交換になるわけですが、45同銀同歩46歩同銀54桂

はまずいですね。すぐに返し技を食らいます。

46歩に58銀右と引いても

54桂55角66桂打

取れば56角が王手金取り、77歩成もあるし、つぶれています。


○ 45桂の前に55歩

としたのが実戦です。この歩を突くのは後手の角筋が通るので怖いのですが、63銀45桂44金左56銀左83角54歩

とほぼ一本道です。桂馬をちぎられるのを防いだ手順です。54同銀44角同金33金

これは楽勝かと思っていたのですが、冷静に見れば攻め駒が2枚だけなので後手玉を裸にできるとは言っても攻め駒が足りません。12玉53桂成21桂

で混戦になり、終盤で互いにミスがあり後でミスをした私の負けです。

戻って53桂成の前に15歩から工作するのが正しく

取り込めば詰めろです。15同歩14歩同銀55歩

と決めてしまえばよかったのです。金銀を渡しにくいですし、銀を引けば53桂成です。2枚の攻めでも19香が働けば3枚で、薄い後手玉は受けにくいのです。

後手はそこまで読んで45桂に44歩と我慢しても

33桂成同金75歩

駒得で玉の堅さでも上回ったので有利になります。ここからは56銀左から45歩同歩37桂とやっていくのでしょう。


× 玉を固めるために角筋を避ける28玉は指したいのですが

75桂58銀左77歩成同金87桂成

という筋で攻められます。

銀桂交換は仕方ないと55歩としても

67桂成同金47角成

47同金58銀57金左47銀成同金65銀

なんていう怖い筋もあります。


× 68金と寄せて固めることもできます。

75桂には78銀と引けるのですが、77歩成

金で取れば76歩ですし、角や銀では87桂成です。受けにはなりませんでした。


△ 受けるなら75桂を防いで75歩です。

83桂と控えて打たれても55歩から56銀で耐えているのでなんとか収まって、44歩55歩63銀56銀左83角87金

と金銀を使う展開でしょうか。65歩57角64銀76金54歩同歩55歩67銀42桂

後手のほうがスムーズに駒を使える感じです。
かなり先の話なのでいろいろ考えられるのですが、飛角の働きに差が出やすいようでやや不満です。


○ 73歩というのが工夫した手で

後手は今すぐ取らなくてもよいので44歩から守っておくのかもしれませんが、73同飛と取れば84角から74飛51角成、どう逃げても馬が作れます。

77歩成には75歩同飛66銀

と出られればいいですね。

後手は84角に83飛でしょうか。

62角成86飛66銀

でどうか。駒得になりそうですし、まだまだ大変ですが互角以上に戦えます。



この将棋、角交換のツノ銀で、元は阪田流向い飛車です。後手から筋違い角を打って、私も55角から応戦して、という将棋でしたが、どちらの主役も角です。65に収まって先手玉をにらむ65角と、それに頭をぶつけている66角は後手玉をにらんでいます。
問題図では私がやや悪いようにも見えるのですが、その角の利きが1重で止まっているか2重で止まっているかという違いがあります。33金1枚で止まっているだけで、いかにも攻める手がありそうなのです。後手玉は金銀4枚が守りですが、33の金が動けないのでこの瞬間は堅くもありません。

ということで、45桂を最初に考えるでしょう。金を逃げれば食いちぎって・・・と楽しくなりますね。でも銀で取られてはいけません。

そこで55歩から一工夫、後で突き捨てればいいのだと気が付けば正解です。

まだ駒組みを進めたいとおもえば75桂を防がなくてはなりません。
無難なのは75歩ですが、後手に44歩と守られると角が使いにくく、後手玉が安定して先に攻めの体制を作られそうです。

73歩はちょっと考えてみたい手で、差の先がいろいろ分かれるのですが、取ってくれるなら馬ができるというのがポイントです。

20170703 細かい間違いを訂正しました。

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