名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(224); 角交換向い飛車

2016-07-23 | 大山将棋研究
昭和50年5月、内藤国雄先生と第16期王位戦です。


内藤先生は振り飛車封じに角交換をしますが

大山先生は54歩を突いてから向い飛車に。54歩としないでダイレクト向い飛車のように指す棋譜も並べましたね。

25歩と伸ばせたのはいいのですが53の地点をカバーしなければいけないので玉が薄くなります。

内藤先生は金で2筋を守っておいて銀を守りにつける構想でした。

先に玉を固められたので仕掛けます。でもやや無理気味。45同桂は46金なので45同銀に

金をぶつけます。

金打で受けるあたりが大山先生らしいです。

内藤先生は歩切れなので攻め駒3枚では手を作りにくいです。3歩突き捨てて桂を跳ねれば、大山先生は飛車をうくのがピッタリした受けです。

角の打ちあいは桂を取れるほうが大きく

内藤先生は74歩まで打てればよいのですが

その余裕がありません。

駒得ならそれを使って固めるのが手堅く

金を寄せて守るのは大山流。

角を取れれば受けきれるでしょう。

内藤先生の手がかりが無くなりました。

22銀はひねり出した手。大山先生は寄せ合いですっきり勝とうとしています。

桂飛と取らせ、銀金とはがして寄りです。

74桂にも馬が利いています。

投了図。

内藤先生の無理な動きから、大山先生に余裕を持って受けられ、最後まで差は詰まりませんでした。
その遠因は序盤の1手損にあるわけですが、それなら持久戦にして手損の影響をなくすというのが理屈です。
後手をもって受けを学び、また、攻めに転じるタイミングを学べます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2二角成(88)
4 同 銀(31)
5 6八銀(79)
6 3三銀(22)
7 7八金(69)
8 5四歩(53)
9 4八銀(39)
10 2二飛(82)
11 4六歩(47)
12 2四歩(23)
13 4七銀(48)
14 6二玉(51)
15 6九玉(59)
16 7二玉(62)
17 3六歩(37)
18 2五歩(24)
19 7九玉(69)
20 6二銀(71)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 6六歩(67)
24 4四銀(33)
25 3八金(49)
26 6四歩(63)
27 3七金(38)
28 8二玉(72)
29 5六銀(47)
30 5五歩(54)
31 6七銀(56)
32 7二金(61)
33 4八飛(28)
34 3三桂(21)
35 8八玉(79)
36 7四歩(73)
37 4五歩(46)
38 同 銀(44)
39 4六金(37)
40 同 銀(45)
41 同 飛(48)
42 4二金打
43 3五歩(36)
44 同 歩(34)
45 6五歩(66)
46 同 歩(64)
47 7五歩(76)
48 同 歩(74)
49 7七桂(89)
50 2四飛(22)
51 8六飛(46)
52 3八角打
53 4六角打
54 2九角成(38)
55 5五角(46)
56 7三桂(81)
57 6四銀打
58 6三桂打
59 4六角(55)
60 5五歩打
61 同 銀(64)
62 同 桂(63)
63 同 角(46)
64 7四銀打
65 1六飛(86)
66 5二金(41)
67 4四歩打
68 5三金(42)
69 8六桂打
70 6三金(52)
71 7六歩打
72 4四金(53)
73 7四桂(86)
74 同 金(63)
75 7五歩(76)
76 5五金(44)
77 7四歩(75)
78 同 飛(24)
79 7五歩打
80 4四飛(74)
81 2二銀打
82 6六歩(65)
83 3三銀(22)
84 6七歩成(66)
85 4四銀(33)
86 7八と(67)
87 同 玉(88)
88 6六桂打
89 同 飛(16)
90 同 金(55)
91 7四桂打
92 同 馬(29)
93 同 歩(75)
94 8八金打
95 同 玉(78)
96 7六桂打
97 投了
まで96手で後手の勝ち
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20160723今日の一手<その360>; いろいろな受け

2016-07-23 | 今日の一手

20160723今日の一手

昨年の社会人団体リーグから、私とSさんとの対局です。形勢判断と次の一手(というかこの後の構想)を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒銀1枚
後手の攻め駒は55飛13角と持ち駒銀で3枚。

総合すれば互角です。

大局観として

すぐに駒得になる手もないですから、玉を固めるか攻め駒を増やすかという選択です。
先手の攻め駒はまだ1枚しかないので、単純に攻め合うというわけにはいきません。
比較すれば先手玉のほうが堅いですが、後手は5,6筋を狙っていて、現状でも57歩(場合によって57銀)がありますね。持ち歩が2枚あるので拠点を作ってはがせます。だから形勢不明なのです。57の地点をどう守るかというのが問題です。


× 56歩と打つのは普通の守り方ですが

歩切れになってしまうのが問題です。歩切れになれば歩損ですね。ゆっくりしていられないので、51飛に25桂31角(24角は35銀)

から63銀と攻めてみます。63同銀同歩成同金31角成同金33桂成35歩

33の成桂は取られてしまいそうです。一気に攻めつぶせるわけでもありません。


○ 57歩と打つ方が手堅い守り方です。

56飛や56銀の余地があります。54飛25桂24角56飛55歩36飛

とやるのは34歩86角35歩39飛33桂

という調子で、持ち歩がない持久戦はだんだん後手の形がよくなってきます。

ですから54飛には56銀として

65の歩を取りに行きます。95歩65銀51飛86角96歩75歩

という感じで飛車は玉頭方面に使う構想が考えられます。64の拠点が生きるので作戦勝ちでしょう。

57歩には51飛のほうがいいのでしょうけれど、同じ構想で指すことができます。


× 56銀は頑張った手ですが

ここで35銀の切り合いは歓迎します。51飛に57歩なら前の変化に戻りますが、65銀は57歩

があるのでまずいですね。

51飛に25桂は考えられますが

68角成同金35銀

でも危ないです。


△ 25桂は微妙な手で

68角成同玉57歩

とされると59銀があるので取れません。48金58銀56銀打では千日手か。

戻って68角成を同金として59飛成に56飛

これならまあまあ指せそうです。
59飛成の前に66歩とか57銀とか工作はできますが先手がどうにか指せるようです。

25桂に31角なら

63銀同銀同歩成同金31角成同金56飛

と派手なケンカをして、後手は51飛の傷があるので先手有利です。

また、25桂に24角なら35銀です。

駒得になっても褒められた手ではないのですが、45飛24銀同歩41角

として、63歩成があるので金の逃げ方に困るので先手が指せます。

ということで24角は変化が多いですが先手が指せそうです。


× 56飛はどうか。

56同飛同銀57歩

これで困っています。取れば角を切られるし、逃げても飛車か銀を先手で打たれます。


○ そこで、実戦は56飛を含みに63銀と打ちこみました。

63同銀同歩成同金なら56飛の予定です。

56同飛同銀57歩59金29飛にも51飛で

61銀52銀62金には

61銀成同金同飛成同玉63銀

その時これがみえていたかどうか怪しいのですが、これは寄っています。

62金ではなく72銀打の時は

63銀成同銀62歩同玉21飛成

でよいです。まあ実戦なら29飛には69金寄と受けてしまいそうですけど、58銀と打たれたら51飛61銀52銀62金の変化を読めないと危ないです。

後手は63銀に61銀と受けると

手駒が無くなったので56銀51飛65銀

と力をためればいいでしょう。

ということで、実戦は63銀に57歩です。

この局面でどうすればいいかわかりますか?私は59金と逃げてしまったのですが、堂々と57同金左(直)同角成同金同飛成に

62銀成同玉35角

私はこういう手が見えないのです。53竜には63歩成でも54歩でも竜が取れます。

飛車から行けば51飛ですね。

ぴったりとした手がありました。
つまり、63銀とするのは間接的に57歩を防いでいたのです。

実戦では59金として

58銀に62銀成同玉63金71玉72金同玉63歩成

取れば64銀です。82玉は仕方なく、56飛とぶつけて67銀成

67同金56飛同金67銀

とされましたが先手玉は詰まず、勝ちになりました。

実は56飛には同飛同銀61金

がしぶとくて、わけがわかりません。後手玉に詰めろがかからず、先手玉は59銀不成は詰めろ。これは逆転模様です。多分48銀から受けに回るのでしょうがよいとは思えません。

正しくは56飛とぶつけるのではなく58銀と銀を取り

同歩成同金上57歩59金58銀に64角

から飛車を取りに行ってどうにか勝ちです。

☆ まとめ

57歩を受けるだけでもいろいろありました。

一番しっかりしているのは57歩で、飛角を止めているので安心できますし、56銀から65銀を狙えます。

先手を取るようでも56歩は歩切れがたたりそうです。

56銀は危なっかしくて、そのあと57歩のつもりならよいのですが、強気に行くとつぶれます。

25桂の利かしは入るかどうか、また31角や24角の時にもその先がわからないと指せません。

56飛は飛車交換で飛車の利きを受けたともいえるのですが、それでも57歩と打たれると不利です。

実戦の63銀は王手竜や王手馬が見えていれば立派な受けの手と言えました。私は寄せ合いのつもりで打ったのですが危なかったですね。実戦的には王手の筋が増えると相手が間違いやすくなるので、ということはあります。


受ける手でも手堅い受けから薄い(弱い)受け、受けたことにならない手や、返し技を見ている受け、反撃だけ考えている手もあります。棋風や棋力を反映しているのではないかと思いますが、あなたはどれを選びましたか?


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